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RSAAに守備力補正をかける

投手の貢献量を図る上で基礎となる指標であるRSAAですが、以下の2つの欠点があることが知られています。
①本拠地の影響が考慮されていないこと
②チームの守備力の影響が考慮されていないこと
今回、②を解消するためチーム守備力に関する補正を試験的に行なってみました。
2013年の田中将大選手を例に挙げると以下のようになります。


■具体的な手順
1)チームのDERを算出する
 2013年の楽天のDERは.693でした。
 DERは大まかに言えばインプレーになった打球の内、アウトになった割合を示す指標です。
 (実際はファールフライも含まれるため厳密には異なります)
 「グラウンド上に飛ばされた打球がアウトになるかどうかについて、投手は大きく関与できない」とする
 DIPSの前提を基に考えると、この値はチームの守備力を表していることになります。

2)リーグ全体のDERを算出する
 2013年のパリーグのDERは.689でした。

3)1)から2)を引く
 .693 - .689 = .004
 楽天の野手は、リーグの平均的な野手が守った場合と比べると
 インプレー打球1000個あたり約4個のアウトを多く獲得していることが分かりました。

4)田中将大のインプレー打球の数に3)をかける
 2013年の田中将大が打たれたインプレー打球の数は589個でした。
 589 × 0.004 = 2.4
 楽天の野手は、田中将大が投球を行っている時に
 リーグの平均的な野手が守った場合と比べると2.4個のアウトを多く獲得したことが分かりました。

5)4)にアウト一つ当たりの得点価値をかける
 アウト一つ当たりの得点価値を0.78点とすると
 2.4 × 0.78 = 1.9
 楽天の野手は、リーグの平均的な野手が守った場合と比べると
 田中将大の失点を1.9点減らしたことが分かりました。
 アウト一つ当たりの得点価値についてはこちらを参考にさせていただきました:SMR「DERでチーム守備力を計測する」
 この場を借りてお礼を申し上げます。

6)RSAAから5)を引く
 2013年の田中将大のRSAAは57.9点だったので、
 57.9 - 1.9 = 56.0
 チーム守備力補正を行った場合の田中将大のRSAAは56.0と求めることが出来ました。

2005年以降の投手についてこの補正を計算してみました。
数値はリーグの平均的な野手が後ろを守る場合と比べて、どれだけ守備による失点が多かったかを示しています。
+が大きいほど後ろの守備が悪いことを示し、-が大きいほど後ろの守備が良いことを示します。

■守備の恩恵を受けられなかった投手[2005-2013]
+29点 岩隈久志
+24点 三浦大輔
+22点 朝井秀樹
+21点 一場靖弘
+21点 有銘兼久
+20点 金子千尋
+20点 田中将大
+17点 山村宏樹
+16点 寺原隼人
+15点 高崎健太郎
+14点 永井怜
+14点 青山浩二
+14点 岸田護
+12点 山本省吾
+11点 木佐貫洋
+11点 近藤一樹
+11点 平野佳寿
+11点 西勇輝
+10点 福盛和男
*+9点 工藤公康

黎明期の楽天は守備成績が特に奮わなかったため、楽天の選手が多くなっています。

■守備の恩恵を受けた投手[2005-2013]
-41点 ダルビッシュ有
-35点 武田勝
-28点 ブライアン・スウィーニー
-23点 攝津正
-22点 吉見一起
-22点 杉内俊哉
-22点 八木智哉
-18点 武田久
-18点 D.J.ホールトン
-17点 和田毅
-16点 内海哲也
-16点 山田大樹
-15点 ライアン・グリン
-15点 藤井秀悟
-15点 中田賢一
-14点 チェン・ウェイン
-13点 岩嵜翔
-13点 建山義紀
-12点 多田野数人
-12点 吉川光夫

守備成績が良好だった日本ハム・中日・ソフトバンクの選手が中心となっています。

これを踏まえた上で、守備力を考慮したRSWINを算出すると以下のような結果になりました。
[ ]内は補正値を示しています。

■チーム守備力考慮RSWIN[2005-2013]
24.1[+2.2] 田中将大
23.0[-4.2] ダルビッシュ有
18.8[-2.5] 杉内俊哉
18.5[+0.2] 藤川球児
16.7[+1.0] 前田健太
13.5[+2.2] 金子千尋
11.1[-1.9] 和田毅
10.8[+3.0] 岩隈久志
10.4[+0.9] 成瀬善久
*9.7[-0.7] 山口鉄也
*9.4[-3.7] 武田勝
*8.6[-1.8] 内海哲也
*8.6[-0.5] 館山昌平
*8.5[-0.8] 岩瀬仁紀
*8.4[-2.5] 吉見一起
*8.2[+0.2] 松坂大輔
*8.1[-0.9] 浅尾拓也
*8.1[-0.3] 能見篤史
*7.8[+0.3] 黒田博樹
*7.4[-1.9] 武田久

田中将大とダルビッシュ有の順位が入れ替わる結果となりました。
防御率の傑出度ではダルビッシュが大きくリードしていますが、FIPの傑出度で見るとそこまで差はないため、
2人の防御率の差は後ろの守備の差に起因している可能性があります。

今後、時間があれば通史的にこの補正を行なっていきたいと思います。

コメント

No title

この補正方法はBaseball Referenceの守備力補正と同じですね
BIPベースでのDER補正を与えた失点率とチームや選手個人のFIPを比較すると面白そうです

Re: No title

コメントありがとうございます!

チーム守備得点をBIPに応じて分配するという点でBaseball Referenceと同じですね。
あちらは守備得点の算出にもっと上等なDRSという指標を使っていますが、NPBにおいてこれを個人で算出するのは不可能なのでDERで代用しなければならないのが苦しい所です。


FIPベースで算出したRSWIN(PitchingRunと同じ要領で算出した値を失点率スケールに変換したもの)と比較してみると、1936年-2013年でFIPを算出することができたのべ14293人分の投手シーズン成績について

DER補正無しRSWINとFIPベースRSWINの相関係数:0.740
DER補正有りRSWINとFIPベースRSWINの相関係数:0.956

となりました。DER補正込み失点率の方がFIPとの相関はかなり高くなるようですね。


実は「DER補正込み防御率傑出度」なるものも既に算出していまして、その内データを出そうと思っています。
これにPF補正を加えるとBaseball ReferenceのERA+にかなり近いものになるので、余裕があれば取り組んでみたいですね。

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