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DERチーム守備得点の改良案

DERは「(打席-安打-四球-死球-三振-失策)/(打席-本塁打-四球-死球-三振)」で表され、
端的に言えば「インプレー打球の内、チームがアウトにした割合」を示します。

現時点ではボックススコアからチームの守備力を推定するのに使える最良の指標と言えますが、
1つの欠点としてゴロとフライの区別ができていないことが挙げられます。
一般的にアウトを取れないと長打になる可能性の高いフライアウトよりゴロアウトの得点価値の方が低く、
ゴロピッチャーが多く所属するチームは、守備陣が獲得するアウトのうちゴロアウトの占める割合が大きいため、
ゴロとフライを区別しないDERの式中ではゴロアウトの数が過小評価されることになります。

今回はこの影響の排除を試みます。
Baseball Concreteにおいてクロスケさんが考案されているゴロ割合を推計する方法


 推計ゴロ割合=(総補殺-外野補殺-捕手補殺)÷(対戦打席-被本塁打-与四死球-奪三振-失策)


を用いて、投手の推計ゴロ割合が平均的であった場合の期待推計ゴロアウト数を求め、
実際の推計ゴロアウト数からこれを引くことで、リーグ平均に対しゴロアウトがどの程度を多いかを求めます。


 期待推計ゴロアウト数=チーム総守備アウト(打席-被安打-与四死球-奪三振-失策)×リーグ平均推計ゴロ割合
 余剰推計ゴロアウト数=(チーム総補殺-チーム外野補殺-チーム捕手補殺)-期待推計ゴロアウト数


こうして求められる2014年の各チーム余剰推計ゴロアウト数は以下のようになります。

巨人 +74 ソフトバンク +58
阪神 -61 オリックス +5
広島 +82 日本ハム +59
中日 -26 ロッテ -65
DeNA -11 西武 -42
ヤクルト -57 楽天 -15 

巨人、広島、ソフトバンク、日本ハムは投手陣がゴロを記録する傾向が強く、
阪神、ヤクルト、ロッテ、西武は投手陣がフライを記録する傾向が強かったと推測されます。

Baseball-Labのコラム「守備を得点換算で評価する」によると、
内野アウトの得点価値は1つあたり0.72点、外野アウトの得点価値は1つあたり0.84点となっており、
内野アウトの打球が誤って外野アウトだと見積もられた場合、チーム守備得点は0.12点だけ過大に評価されると考えられます。
表中で最も大きいプラスを記録した広島を例に挙げると、
絶対数の少ない内野フライを無視した場合、ゴロアウトの数=内野アウトの数と見なすことができ、
DERの式中では84個の内野アウトが外野アウトとして見積もられていることになるため、


 0.12×84=10.08


約10点分だけDER守備得点が過大に評価されているということが分かります。
同様にして全球団について補正値を求め、補正を加えたDER守備得点は以下のようになります。

球団 補正DER守備得点 DER守備得点
巨人 +15 +23
阪神 -17 -24
広島 -9 +1
中日 +50 +47
DeNA -18 -19
ヤクルト -21 -28
球団 補正DER守備得点 DER守備得点
ソフトバンク +31 +38
オリックス +25 +25
日本ハム -4 +3
ロッテ -14 -22
西武 -2 -7
楽天 -36 -38 

ゴロピッチャーの多く所属する球団は守備得点が相対的に低くなり、投手のゴロ/フライ傾向による影響を補正することができました。

データスタジアムのコラム「2014年プロ野球 おさえておきたい守備(UZR)の話10選!~後編~」において、
2014年のセリーグのチームUZRの数値が公開されているため、補正前後のDER守備得点との相関を見てみると


 補正DER守備得点とチームUZRの相関係数:0.86
 補正DER守備得点とチームUZRの相関係数:0.90


今回は補正によりUZRとの相関が強くなっていることが確認できました。
もう少しサンプルを増やして見る必要はありますが、ある程度の効果が期待できるのではないでしょうか。
ボックススコアのみから行える補正であるため、Batted-ballデータが存在しない過去の記録にも適用できるのが強みです。

□補正DERチーム守備得点[2005-2014]
年度 巨人 阪神 広島 中日 DeNA ヤクルト SB オリ 日本ハム ロッテ 西武 楽天
2014 +15 -17 -9 +50 -18 -21 +31 +25 -4 -14 -2 -36
2013 +30 +40 +2 -8 -17 -47 +9 -38 -14 -7 +30 +19
2012 +24 -6 -31 +64 -18 -34 +47 -52 +9 +37 -13 -28
2011 +15 +0 -6 +38 -34 -14 +98 -32 -14 -13 -29 -9
2010 -6 +4 -15 +56 -44 +4 -11 -34 +23 +19 +5 -3
2009 +37 -21 -15 +25 -44 +18 8 -42 +33 -31 +34 -3
2008 -1 -29 +21 -19 -2 +30 -19 -3 +94 -5 -23 -44
2007 +22 -32 +12 +19 -50 +28 +30 -44 +105 -12 +24 -103
2006 -6 -6 +0 +60 -23 -24 +4 +12 +48 -34 +20 -51
2005 -29 +0 -56 -32 +58 +59 +27 -5 -12 +79 -4 -85

2005年-2014年の補正DER守備得点は以上のような結果となります。
ロッテと西武はフライピッチャーが多く、オリックスと広島はゴロピッチャーが多いという傾向が見られました。

コメント

いつも面白いデータと、分かりやすい説明、ありがとうございます

Re: タイトルなし

コメントありがとうございます!大変励みになります。
これからも新しいデータを更新していきますので、今後ともご愛顧のほどよろしくお願いします。

No title

ちょっと細かい質問なんですが、補正前のチーム守備得点と、ゴロ/フライの偏りによる補正値との、それぞれの分散(偏差)はどれくらいの比率なんでしょうか。

DERで算出した守備得点のうち、何%程度が「守備の責任」と言えるのか前から考えていたもので。

Re: No title

MANNINGさん、コメントありがとうございます。

現時点でデータが得られている1992年-2014年では
補正前のチーム守備得点の標準偏差:32.8点
補正値の標準偏差:7.0点
となっています。

この補正は内野アウトと外野アウトの得点価値の差に関するボックススコアから行える簡易的な補正であり、
投手の打球傾向がDERに対し直接的に与える影響は補正できていない点は注意が必要です。
この部分についてはbatted ballデータに頼るしかありません。

1992年-2014年のボックススコアを見る限りでは、内外野のアウトの偏りとDERの間にはほとんど相関が見られず
「ゴロとフライの処理難度はほぼ同じ」と見なしてもよいと考えられるため、
この影響は「投手がライナーをどれだけ多く打たれたか」という問題に帰着すると思います。
ライナーは全打球に占める割合が少ないため、この影響はかなり限定的ではないかと私は考えます。

batted ballデータを用いたDERの分析についてはプロ野球セイバーメトリクスReference様が優れた考察を発表されています。
こちらが参考となるかもしれません。
http://blog.livedoor.jp/npbsaber/archives/17641431.html

No title

どうもありがとうございました。NPBとMLBの2014年チームUZRの標準偏差を調べたらどちらも偶然32.2点だったので、DERでも特に過大な数字が出るわけではないようですね。

Re: No title

MANNINGさん、返信ありがとうございます。

> NPBとMLBの2014年チームUZRの標準偏差を調べたらどちらも偶然32.2点だったので、
このデータは初耳でした。記事本文でも触れた通りUZRとDERは高い相関を持っているため、
ボックススコアからチームの守備得点を求める方法としては、DERは非常に強力と言えるかもしれませんね。

No title

質問ですが、チーム総守備アウト(打席-被本塁打-与四死球-奪三振-失策)となっているところは、アウトになっていない打席(単打、二塁打、三塁打)も含むので、BIPなんじゃないでしょうか。厳密にいえば失策の扱いがBIPと違いますが。

Re: No title

MANNINGさん、コメントありがとうございます!

ご指摘ありがとうございます!「チーム総守備アウト(打席-被本塁打-与四死球-奪三振-失策)」ですが、
これは表記ミスで「チーム総守備アウト(打席-被安打-与四死球-奪三振-失策)」が正しいです。DERの分子ですね。
記事の方も修正しました。今後ともご指導のほどよろしくお願い致します。

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