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球団史上最高の4人を選ぶ 広島東洋カープ編

はじめに

ヤクルトと同様のアプローチで、NPBで「フランチャイズ・フォー」と同様の企画が実施された場合、
RCAAまとめblogとしてはどういった選手に投票するか、データを基に独断と偏見を交えて考えてみました。
今回は第7弾として、「広島東洋カープ」の歴代選手TOP4を選出します。

おおまかな選出の方針

・「同ポジションの平均的な控え選手に対し、どの程度利得を作れたか」(=WAR)を基軸に評価。
・基本的には通算成績の優劣で決定。長くチームに貢献した選手を優先する。
・通算成績がほとんど横並びの場合、全盛期の優劣で決定。
・「球団史上」なので、MLB期間の成績については一切考慮しない。

以上を踏まえて、RCAAまとめblogが選出した「広島東洋カープ史上最高の4人」は以下のようになりました。

広島東洋カープ史上最高の4人

□山本浩二[1969-1986]
KyamamotoFC4.png
※守備位置補正は守備位置補正RCWINの方法で算出しました。「守RCAA」は球場補正を含めた守備位置補正RCWINです。

広島黄金時代を牽引した「ミスター赤ヘル」。通算2339安打は球団史上歴代2位。
同ポジションの平均的な選手(中堅手→左翼手)に対して+399点の打撃利得を稼ぎました。
通算で積み上げたRCWIN51.02は中堅手としてはNPB歴代1位。外野手全体でも張本勲、山内一弘に次ぐ歴代3位となっています。

31歳時にキャリア初の40HRを記録し、そこから5年連続で40HRを記録するなど晩成型の選手として知られています。
パークファクターを見ると、広島は1978年に使用球を飛びやすいものに変更した可能性が高いほか、
セリーグ全体を見ても飛ぶボールの導入が原因と思われる打高化が1975年頃から始まっています。
こうした打高環境と山本の打撃の相性が良かったと考えられることも、「晩成型」となった要因の一つではないでしょうか。

守備に関しては入団以降、1980年頃まで一貫してリーグトップクラスの外野守備貢献を記録しています。
34歳まで高い守備力を維持し続けたことは、当時の選手寿命の短さを考えるとかなり驚異的と言えるでしょう。
ただし、おそらく1980年日本シリーズでの負傷が原因で1981年,1982年には大きなマイナス貢献を計上、
1983年以降は左翼に転出していますがこちらでも奮わず、マイナスシーズンの数値も非常に大きくなっています。

□長谷川良平[1950-1963]
HasegawaFC4.png

広島カープの初代エース。通算197勝は北別府学に次ぐ球団歴代2位。
平均的な投手に対して+285点の投球利得を稼ぎましたが、こちらは球団歴代最高値となっています。

上表の数値を眺めると、異常な値になっている守備力補正値が目を引きます。
1950年に結成されたセントラルリーグは8球団中5球団が新設球団の玉石混交とも言える状態でした。
その中でも広島は同じ新設球団である国鉄や大洋と比べて守備力の整備に時間を要したようで、
DERがリーグ平均程度の値を記録するのに、古葉毅、平山智、森永勝治らが台頭する1957年まで待たねばなりませんでした。
こういった環境下で最も大きく割を食ったのが長谷川であり、DER守備補正値+126点はNPB歴代最高値となっています。
「NPB史上最も守備の恩恵を受けられなかった投手」という見方もできるかもしれません。

投手としては奪三振と与四球は並みの数値ながら被本塁打が少ないのが特徴で、
被本塁打率傑出度は通算2000投球回以上の投手では別所毅彦に次ぐ歴代2位の値となっています。
シュートを決め球としていたことから極端なゴロピッチャーであった形跡が窺えます。

□大野豊[1977-1998]
OhnoFC4.png

黄金時代からビッグレッドマシン時代まで息の長い活躍を見せました。通算148勝は球団歴代3位。
平均的な投手に対して球団歴代2位となる+210点の投球利得を稼ぎました。

通算防御率2.90は、平成時代にプレー経験のある通算2000投球回以上の投手の中では斎藤雅樹に次ぐ歴代2位。
1年目こそ防御率135.00に終わっていますが、一軍定着後は不調と思われる年が無いのが特徴です。
43歳の引退時までリーグ平均を下回る失点率を維持し続け、長いキャリアを通じてチームに及ぼした貢献は北別府に匹敵しており、
先発に専念していれば通算200勝に到達した可能性も考えられます。投手分業制確立の過渡期ならではの事情かもしれません。

FIPの観点から見ると高い奪三振率(傑出度117%)、低い与四球率(同93%)、低い被本塁打率(同72%)と三拍子揃っており、
PFを考慮したFIPベースのRSWINでは山田久志、斎藤雅樹を上回る数値を記録しています。200勝に届いていない投手では最大値。

□高橋慶彦[1975-1989]
YtakahashiFC42.png
※守備位置補正は守備位置補正RCWINの方法で算出しました。「守RCAA」は球場補正を含めた守備位置補正RCWINです。


広島黄金時代には一貫してリードオフマンを務めました。通算464盗塁は球団歴代1位。
同ポジションの平均的な選手(遊撃手)に対して+167点の打撃利得を稼ぎました。

攻撃型遊撃手の代表格としてしばしば名前が挙がりますが、不思議と守備については語られることの少ない選手です。
奪アウトの観点から見れば補殺数が異常に多く、平均的な遊撃手に対して+100点以上失点を抑止しており、
後年の井端弘和・宮本慎也と肩を並べる、セリーグの歴史を代表すると言っても良い名手だったようですが、
全盛期には大洋の山下大輔、阪神の平田勝男の後塵を拝し、キャリアを通じてゴールデングラブ賞に一度も届きませんでした。
「データによる評価基準は守備率だけ」という時代において、失策の多かった高橋の守備は十分な評価を得られなかったようですね。

盗塁数は多いものの盗塁成功率は69.8%と低く、通算の盗塁利得は+18点とやや物足りない評価で、
これは後年の緒方孝市(+19点/268盗塁)・山崎隆造(+18点/228盗塁)とほぼ変わらない数値です。
同僚の山本浩二や衣笠祥雄も該当しますが、赤ヘル黄金時代は盗塁数自体は多いものの精度はいまひとつの選手が多く、
「機動力により広島は黄金時代を形成した」という認識は語弊があるのかな、と感じます。

安定した高打率と長打力を武器に、同時代に強打の遊撃手として鳴らした宇野勝と比較しても遜色の無い打撃成績を残しており、
攻守合せた総合的な評価では優れたプレイヤーだったようです。NPBの歴史において五指に入る遊撃手ではないでしょうか。

次点

□北別府学[1976-1994]
「精密機械」と称される制球力を武器に白星を積み上げた黄金時代のエース。通算213勝は球団史上最多。
平均的な投手に対して+85点の投球利得を積み上げました。
与四球率は当時の平均に対して38%低く、通算2000投球回以上を記録している投手では歴代8位の低水準。
奪三振率は平均を下回っていることから、狙ったところに投げ込むコマンド能力の優秀さが窺えます。
同僚の大野豊と比べると投球の質では劣るものの、20年近くローテーションに入り続けたために稼働量は凄まじい値です。

□衣笠祥雄[1965-1987]
連続試合出場世界記録を樹立した「世界の鉄人」。通算2543安打は球団史上最多。
入団当初は一塁手を務めましたが、1975年にルーツ監督の手によって三塁手にコンバート。
同ポジションの平均的な選手(一塁手→三塁手)に対して+139点の打撃利得を稼ぎました。
一塁手時代の補殺数は、同じ時代を代表する一塁手である王貞治や松原誠を明確に上回っているほか、
morithyさんの研究を見ると刺殺を含めた奪アウト率も高く、セリーグの歴史を代表する名手だった可能性が窺えます。
三塁に回ってからの補殺数は歴代ワーストクラスで、長期的な観点から見ると三塁コンバートは失敗だったのかもしれません。

□佐々岡真司[1990-2007]
90年代から00年代にかけて活躍した低迷時代のエース。通算138勝は球団歴代4位。
平均的な投手に対して+119点の投球利得を稼ぎました。この数値は前述の北別府を上回っています。
リリーフ時代に同点の場面での登板が多かったのか、投球回に対して責任試合の数が異常に多いのが特徴。
この時に敗戦数がかさんだ影響か、惜しくも通算では負け越しています。
投手としての武器は北別府と同じく制球力で、与四球率は平均より28%低い値となっています。

□緒方孝市[1987-2009]
旧市民球場時代末期に活躍した、走攻守三拍子揃った名外野手。現在は監督としてお馴染み。
通算241HRは広島のフランチャイズプレイヤーとしては山本浩二(536)、衣笠祥雄(504)、前田智徳(295)に次ぐ球団歴代4位。
同ポジションの平均的な選手(右翼手→中堅手)に対して+147点の打撃利得を稼ぎました。
高奪四球力による出塁率の高さが持ち味で、全盛期には同僚の前田智徳と比べても遜色ない打撃成績を残したほか、
レンジ系守備指標では中堅右翼で大きな守備貢献も叩き出しています。
23年間と言う長い現役生活の中で規定到達はわずか8回。もし故障に強ければ、と思わずにはいられない選手の一人です。

□広島東洋カープ簡易oWAR10傑[-2014]
順位 選手名 守備 実働期間 年数 試合 打席 打率 HR 打点 盗塁 RCW 球場補正 POS補正 守RCW oWAR
1位 山本浩二 中堅 1969-1986 18年 2284 9409 0.290 536 1475 231 51.02 -1.06 -8.66 41.30 72.7
2位 衣笠祥雄 三塁 1965-1987 23年 2677 10634 0.270 504 1448 266 24.04 -0.86 -8.48 14.70 50.1
3位 前田智徳 中堅 1990-2013 24年 2188 7785 0.302 295 1112 68 23.85 -1.75 -4.12 17.98 43.9
4位 高橋慶彦 遊撃 1975-1989 15年 1541 6695 0.285 154 572 464 4.84 -2.10 14.10 16.85 39.2
5位 金本知憲 左翼 1992-2002 11年 1184 4850 0.287 244 708 123 25.29 -1.03 -1.40 22.87 39.0
6位 野村謙二郎 遊撃 1989-2005 17年 1927 7787 0.285 169 765 250 4.68 -0.91 7.84 11.60 37.6
7位 緒方孝市 中堅 1987-2009 23年 1808 6178 0.282 241 725 268 18.14 -1.39 -1.85 14.90 35.5
8位 江藤智 三塁 1989-2009 11年 1050 4361 0.279 248 670 57 24.09 -0.10 -3.72 20.27 34.8
9位 山本一義 右翼 1961-1975 15年 1594 5582 0.270 171 655 22 19.62 0.27 -4.09 15.81 34.4
10位 藤井弘 一塁 1955-1969 15年 1504 5055 0.238 177 603 34 13.71 -1.10 -6.21 6.40 23.3
※守備位置補正は守備位置補正RCWINの方法で算出しました。「守RCAA」は球場補正を含めた守備位置補正RCWINです。代替補正は600打席で2勝としました。

□広島東洋カープ簡易投手WAR10傑[-2014]
順位 選手名 実働期間 年数 試合 先発 投球回 防御率 FIP 勝利 敗戦 RSW 球場補正 守備補正 補RSW WAR
1位 長谷川良平 1950-1963 14年 621 315 3376 1/3 2.65 2.80 197 208 16.50 1.24 13.60 31.34 76.4
2位 大野豊 1977-1998 22年 707 224 2231    2.90 3.14 148 100 21.77 1.90 -1.81 21.85 51.6
3位 北別府学 1976-1994 19年 515 460 3113    3.67 3.69 213 141 7.81 3.01 -2.10 8.73 50.2
4位 佐々岡真司 1990-2007 18年 570 303 2344 1/3 3.58 3.53 138 153 7.10 1.85 3.28 12.24 43.5
5位 外木場義郎 1965-1979 15年 445 318 2419 1/3 2.88 2.92 131 138 13.91 -2.56 -1.37 9.98 42.2
6位 川口和久 1981-1994 14年 350 319 2212    3.30 3.46 131 122 12.93 1.46 -1.82 12.58 42.1
7位 黒田博樹 1997-2007 11年 271 244 1700 1/3 3.69 3.72 103 89 6.59 3.18 4.11 13.89 36.6
8位 前田健太 2007-2014 8年 189 188 1303 1/3 2.44 2.84 82 59 18.62 -0.56 0.99 19.04 36.4
9位 備前喜夫 1952-1962 11年 446 247 2119 1/3 2.96 2.78 115 149 -6.11 1.08 8.01 2.98 31.2
10位 大石清 1959-1966 8年 370 220 1858    3.01 2.94 113 111 -1.26 3.30 1.29 3.33 28.1
※代替補正は控え投手勝率を.380と仮定して算出しました。

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広島東洋カープ選手一覧 カープ歴代選手の変遷
広島東洋カープ打線一覧 カープ歴代打線の変遷

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 簡易WARの答え合わせ2014
 球団史上最高の4人を選ぶ
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■2017年の特筆記事
 現役20代選手の通算安打(2017年版)
 「8番投手」は珍しいのか?
 2017年各種パークファクター
 2017広島打線は史上最強か?

■2016年の特筆記事
 2016年における2000本安打の展望
 2016年広島打線、得点力向上の要因は?
 2016年各種パークファクター
 パリーグ野手編成と野手運用の私的評価
 セリーグの犠打減少を考える
 糸井嘉男の成績低下リスクを考える


■2015年の特筆記事
 2000本安打の展望
 違反球の再来?2015年セリーグ
 こちらも違反球?2015年パリーグ
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 30HRと30盗塁の両立
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 2015年はどのくらい打低だったのか?
 2015年各種パークファクター

■考察のようななにか
 □分析結果系
 徹底比較 ダルビッシュ有と田中将大
 平成の大投手 三浦大輔
 ポスト松井稼頭央時代の遊撃手総合力評価
 恐怖の8番打者
 稲葉篤紀、現役引退表明
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 鈴木啓示の先発勝利に関する疑義
 セリーグの野手世代交代に関する考察
 □分析手法系
 RSAAに守備力補正をかける
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 DERチーム守備得点の改良案
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 外野補殺指標試案
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