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防御率1点台の負け越し投手

Gエース菅野がプロ初中4日も実らず…防御率1点台キープも負け越しの11敗目(Full-count)
(前略) シーズンを通し、菅野は先発の仕事を果たした。味方の援護に恵まれず、10勝11敗となったが、防御率は1点台(27日終了時1.91)をキープ。斎藤投手コーチは「2桁勝つまで大変だったが、防御率を見れば彼が頑張っていたことはわかる」と気持ちを代弁したこともあった。


Kaxmix Worldさんによると、今季の菅野智之の援護率3.13は規定到達者の中でワースト2位の値とのこと。
2015年セリーグ平均失点率、つまり平均援護率は3.64であり、平均よりも援護点が9回あたり0.5点ほど少ない計算となります。
ただし菅野の失点率(2.31)は援護率(3.13)よりも低く、この援護率の低さで勝ち越しても不思議ではない投球内容ではありますが、
ヌルデータ置き場さんを見ると援護点が一部の試合に集中しており、先発した25試合中17試合は援護点が2点以下のようです。
以上の点から、「援護点自体が少ない」こと、「援護点と失点の巡り会わせが悪い」ことが勝てない主な原因だと考えられます。

菅野は今季179イニングを投げ、RSWIN(平均的な投手が投げる場合と比べて、投球で増やしたチーム勝利数)2.95を記録しています。
およそ9イニングに1つ、責任試合が記録されることを考えると、勝敗数の合計はおよそ20程度(≒179÷9)になります。
RSWINは3前後ですから、援護が順当にもらえた場合「13勝7敗」程度は記録できると予想されます。

以下はシーズン130投球回以上を記録し、防御率1点台以下で負け越した投手。

20150929sugano2.png

2015年の菅野智之も含めて、過去に17例が記録されています。
その内13例は戦前戦中の低防御率時代に記録されており、セパ分立(1950年)以降では4例しか存在しません。

戦前戦中は戦争の影響で品質に問題のあるボールが使用されていたため打球が極端に飛ばず、
平均的な投手が防御率1点台を記録できる時代だったため、貯金を記録するためには更に低い防御率が求められました。
そんな中、南海の黎明期にプレーした石田光彦は1941年に防御率0点台で負け越しという驚異的な記録を残しています。

戦後では違反球時代並みの打低環境だった1956年パリーグにおいて、太田正男が初めて達成しました。
太田の所属した大映スターズはお世辞にも優秀な打線を持っているとは言えませんでしたが、
興味深いことに、同じ大映に所属して太田と同程度の防御率を記録した三浦方義は最多勝を取っています。

次は、1974年パリーグで南海の佐藤道郎が達成しています。最も打高傾向の強いシーズンに記録されました。
佐藤は最優秀防御率タイトルも獲得していますが、先発登板0の救援投手であるためやや事情が異なります。
恐らくリード時の登板が多くを占め、先発投手より勝利を記録しにくい環境にあったと考えるべきでしょうね。

次は、まだ記憶に新しい2012年野村祐輔。言わずと知れた違反球シーズンの記録です。

最後が2015年菅野智之となります。
失点率はリーグ平均よりも1.33点低いですが、これは1974年佐藤道郎の1.68点に次ぐ数値です。
この点を見ると、今年の菅野智之の「勝ちの付かなさ」は歴史的な出来事なのかもしれません。
そこで菅野の勝ち運について、もう一つ異なる視点から見てみます。

ピタゴラス勝率との乖離

勝率は失点の2乗と得点の2乗から予想できることが経験的に知られています。

計算式 : 予想勝率 = (チーム得点の2乗)÷(チーム得点の2乗+チーム失点の2乗)

この式を菅野の成績に適用してみます。

菅野の今季の失点率は2.31でした。菅野が平均的な援護(援護率3.64)を獲得できた場合、勝率は「.713」になると予想されます。
10勝11敗を記録している菅野の実際の勝率は「.476」であるため、予想より「.236」だけ勝率が低くなっていることが分かります。
同様の計算をシーズン130投球回以上を記録した全投手について適用してみました。

20150929sugano8.png

チーム事情により負けが先行し、投球内容から予想される値を下回る勝率を記録した投手20傑。
2015年菅野智之は130投球回以上を記録した約3000投手の中では、54番目に低い数値でした。
プロ野球の歴史において、少なくとも2年に一度くらいは観測される「勝ちの付かなさ」であるようです。

上位を見ると、最優秀防御率タイトルを獲得しながら4勝9敗に終わった2002年金田政彦、
異常とも言える援護率の低さが話題になった2009年渡辺俊介、2010年加賀繁など、最近の投手もちらほら入っていますね。
歴代最低値は大映の1955年飯尾為男。平均より優秀な失点率を記録しながら2勝13敗に終わりました。

20150929sugano9.png

こちらは「逆」。勝ちが先行し、投球内容から予想される値を上回る勝率を記録した投手20傑。
近年では2005年斉藤和巳、2011年ボビー・ケッペルの名前が確認できます。

歴代最高値は、田中将大の前にシーズン無敗を達成した1981年の間柴茂有でした。
この時の日本ハム打線がこちら。3割40HRを記録した4番ソレイタを中心に強力打線を形成しました。
間柴茂有の高勝率の裏には、強力打線による潤沢な援護があったことは否定できないでしょうね。

ちなみに、同じくシーズン無敗を達成した2013年の田中将大は「+0.124」と際立った値にはなっていません。
今季のNPBだけを見ても、スタンリッジと攝津正が同年田中より高い数値を記録しています。

負け越し投手のRSWIN記録

最後に、負け越し投手のシーズンRSWIN(平均的な投手が投げる場合と比べて、投球で増やしたチーム勝利数)記録。

20150929sugano4.png

投球内容は良くてもチームは負けていることを意味しているため、どちらかと言えば不名誉な記録かもしれませんが、
この中の投手の多くは、他の年には大きな貯金を作り出すことに成功しています。菅野もこの状況に挫けず、頑張ってほしいですね。

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