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2017年戦力分析 阪神タイガース編


チーム全体の状況

20180213_T順位3 
※打撃・守備・投球の数値は、各部門で「リーグ平均に対し何点分の利得を作れたか」を示す。打撃はwOBA[1]、守備はUZRとDER[2]、投球はFIP[3]をベースに算出。
※「P勝率」は得点と失点から期待される勝率(ピタゴラス勝率)、「B勝率」はwOBAとUZRとFIPから期待される勝率(Baserun勝率)を示す。


2017年、阪神タイガースは2位となりました。Aクラスは2年ぶり。

打撃・守備・投球の中で最も改善が著しかったのが打撃(wOBA)。
若手打者の定着と糸井嘉男の加入で打線が充実し、昨季と比べて得点を70点以上増やしました。
守備も含めると野手が負債を作っている状況は変わりませんが、投手陣の頑張りも重なってAクラスに返り咲いています。


各ポジションの状況

20180211_T野手
※打撃はwOBA、守備はUZRを用いて「同ポジションの平均的な選手と比較してチームの得失点改善に何点分貢献したか」を評価。右のグラフは打撃と守備の合算値です。

ポジションを固定しない方針を取ったこともあり、強みと弱みがあまりはっきりしない状態です。
打撃(wOBA)で利得を作りながらも、守備(UZR)では大きな負債を出しているポジションがあり、
適性のないポジションでの出場を強いられた選手の存在が窺えます。

平均をやや下回るポジションを多く抱えているのが気になるところ。
明確な強みとなったのが二塁手。レギュラーに固定された上本博紀が優秀な成績を残しています。
その一方で昨季新人王の高山俊が成績を下げたことが響き、左翼手では大きめのマイナスを計上。


20180211_T投手
※右端の投球利得はFIPを用いて「平均的な先発(救援)投手と比較してチームの失点を何点分減らしたか」を評価。
※同点~3点リードの状況での登板割合が50%以上かつ30登板以上の投手を「勝ちパターン」と定義しました。[4]

先発投手は上位ローテと下位ローテの格差が大きくなっています。
上位ローテ(秋山拓巳・能見篤史・メッセンジャー)は莫大な利得をチームにもたらした一方、
4番手以降の人員確保に苦しんだ結果、下位ローテのマイナスも大きくなってしまいました。

救援投手は桑原謙太朗・ドリス・マテオが強力な勝ちパターンを形成。
岩崎優・藤川球児・高橋聡文など、勝ちパターンから漏れた投手も優秀な投球を見せており、
救援陣のFIPはセリーグ唯一の2点台をマーク。今季の阪神における最大の強みとなりました。


来季の戦力向上に向けて

野手では中谷将大・大山悠輔ら若手の台頭が著しいシーズンとなりました。
それはそれで喜ばしいことではありますが、ベテランが攻撃型ポジションに移動しつつあることもあり、
打撃特化型の野手が多い一方、センターラインを任せられる守備特化型の野手が不足している状況です。

現在は守備型ポジションに打撃特化型の選手を回してカバーしていますが、
適性のないポジションでの出場を強いられた選手も多く、あまり健全な状態とは言えないのが現状です。
この構成の偏りを是正するため、守備型野手の増強と打撃型野手の整理を中心に進めていきたいところ。

来季は一定の守備力が求められる三塁手・遊撃手・中堅手の埋め方が鍵となりそうです。
レギュラーの大和・糸井嘉男・鳥谷敬が他ポジションに回り(or退団し)、戦力低下が避けられない状況。
三塁手は大山悠輔、遊撃手は北条史也と糸原健斗、中堅手は中谷将大と俊介の活躍次第となる見込みに。

上本博紀のレギュラー剥奪が示唆されている二塁手も少々気になるところ。
来季は鳥谷敬がコンバートされますが、守備力低下を指摘される中でどれだけ守れるかは未知数な状況。
大きな利得を積み上げた上本博紀の出場が減ることで、チームの強みをスポイルする可能性もあります。

左翼手は最大のマイナスを出すチームの大きな弱点となりましたが、
外野転向して二軍で好成績を残した陽川尚将も含め、打撃特化型の若手の育成が順調に進んでいること、
更に糸井嘉男が両翼に回ることを考えると、マイナスが解消される見込みは強いのではないでしょうか。

投手はチームの強みにはなっているものの、プラスの大半がベテランと外国人投手に集中しているため、
今後の持続性を考えると予断を許さない状況が依然として続いています。
竹安大知や島本浩也ら若手が順調に育ってきていますが、今後も手を緩めずに頭数を確保したいところ。


今オフの動き

□外部補強
 ロサリオ 28歳 一塁 右投右打 新外国人 ハンファ(KBO)
 モレノ  30歳 投手 右投右打 新外国人 TB(MLB)
 呂彦青  21歳 投手 打 新外国人 国立台湾体育運動大(台湾)
 尾仲祐哉 23歳 投手 右投打 FA補償 DeNA
 山崎憲晴 31歳 遊撃 右投右打 戦力外  DeNA

最大の目玉はロサリオ。年俸3億4000万と気合の入った補強になりました。
打撃特化型の野手が豊富な構成上、現行メンバーでも一塁手は平均程度で代替できる見込みが強いため、
一塁手がストロングポイントとなるくらい打てなければ元が取れません。打棒爆発に期待したいところ。

個人的に気になるのが尾仲祐哉。大和のFA補償での入団が決まりました。
二軍でFIP0.58を記録した若手リリーフで、このレベルの投手を補償で獲得できたのは僥倖と言えます。
将来的には勝ちパターンに組み込めるだけのポテンシャルを秘めているほか、金本監督は先発での起用も考えているようです。

□ドラフト
 馬場皐輔 22歳 投手 右投右打 ドラフト1位 仙台大
 高橋遥人 22歳 投手 打 ドラフト2位 亜細亜大
 熊谷敬宥 22歳 遊撃 右投右打 ドラフト3位 立教大
 島田海吏 22歳 外野 右投打 ドラフト4位 上武大
 谷川昌希 25歳 投手 右投右打 ドラフト5位 九州三菱自動車
 牧丈一郎 18歳 投手 右投打 ドラフト6位 啓新高

高卒1人の即戦力ドラフト。若手野手陣が中堅世代となるまでに優勝を狙いに行く覚悟が見えました。
人材不足気味のセンターラインに対して即戦力の遊撃手と中堅手を確保できたほか、
ドラフト上位を使って投手の頭数を確保するなど、ツボを押さえたドラフトとなったように感じます。


2017年戦力分析

2017年戦力分析 広島東洋カープ編
2017年戦力分析 阪神タイガース編
2017年戦力分析 横浜DeNAベイスターズ編
2017年戦力分析 読売ジャイアンツ編
2017年戦力分析 中日ドラゴンズ編
2017年戦力分析 東京ヤクルトスワローズ編
2017年戦力分析 福岡ソフトバンクホークス編
2017年戦力分析 埼玉西武ライオンズ編
2017年戦力分析 東北楽天ゴールデンイーグルス編
2017年戦力分析 オリックス・バファローズ編
2017年戦力分析 北海道日本ハムファイターズ編
2017年戦力分析 千葉ロッテマリーンズ編

阪神タイガース戦力分析

2014年戦力分析 阪神タイガース編
2015年戦力分析 阪神タイガース編
2017年戦力分析 阪神タイガース編


[1] 参考:Baseball-LAB Archives「打撃指標wOBA」 球場補正は2015年-2017年の得点PFを使用しました。
[2] 参考:1.02 - Essence of Baseball リーグ平均が0となるように調整を行いました。
  2013年以前についてはDELTA社のUZRが公表されていないため、DER守備得点で代用しました。参考:Baseball-LAB Archives 「DERでチーム守備力を計測する
[3] 失点率スケールに変換して、球場補正は2015年-2017年のFIP-PFを使用しました。
[4] イニング途中で登板した投手の点差状況は手に入らなかったため、入手できたデータの範囲で評価しました。

コメント

No title

長打に頼らず四球で強みを生み出す阪神のスタイルは、本拠地を考えると理にかなってますよね。
その中でも攻守で貢献している上本の扱いは私も気になります。いい選手だと思うんですが…

リリーフは盤石なので、もう一枚若い先発に出てきてほしいところです。
藤浪が本来の力を発揮すれば一気に改善しそうなんですが。

Re: No title

カンザスさん、コメントありがとうございます!

> 長打に頼らず四球で強みを生み出す阪神のスタイルは、本拠地を考えると理にかなってますよね。
阪神は2003年、2005年の打線躍進も四球増加がキーになっていますし、
やはりピッチャーズパークを本拠地にするチームは、四球を増やしてナンボだなあと思っています。

> その中でも攻守で貢献している上本の扱いは私も気になります。いい選手だと思うんですが…
上本は実績のわりに過小評価が著しい選手だと思います。(打撃も守備も)
今季にもFA権を取得する見込みですが、首脳陣の評価を見ていると大和のように流出する可能性もありそうですね。
仮にこれをDeNAが獲得すると、状況次第では広島と張り合えるところまで行けそうでかなり面白いと思うのですが...

> リリーフは盤石なので、もう一枚若い先発に出てきてほしいところです。
> 藤浪が本来の力を発揮すれば一気に改善しそうなんですが。
先発は上位ローテが一流の面子なので、イニングイーターレベルの投手でも一人加われば一気に強みに転じそうです。
仰るように藤浪が本来の調子を取り戻せれば百人力なのですが、
来季は練習に動作解析などを取り入れるとのことでちょっと期待しています。

投稿お疲れ様です。

投手、特に先発に関しては、メッセと能見が高齢なので、思ったより枚数が必要になってきますね(藤浪の不調が痛い…)。

野手に関しては、監督が二塁で鳥谷の起用を明言してるのが気掛かりです。
上本を外してまで使う必要があるとは思えませんが…。

Re: タイトルなし

yamagamiさん、コメントありがとうございます!

先発は気を抜くと弱みになりかねない状況なので、
仰る通り、今後は力を入れて補強していくべきポジションだと思います。
二軍の投手育成が順調に進んでいるように見えるので、来季は彼らの台頭に期待したいですね。

守備の衰えた三塁手が二塁手に回って息を吹き返したケースはあまりないと思うので、鳥谷のコンバートはちょっと心配ですね。
個人的には鳥谷は一塁手へ回すのがよいのではと思っています。(ロサリオの獲得で難しくなってしまいましたが)

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 二軍PF
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 セリーグ パリーグ BABIP-PF
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 セリーグ パリーグ 三塁打PF
 セリーグ パリーグ 三振PF
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 2016年 セリーグ パリーグ
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 簡易WARの答え合わせ2014
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■2018年の特筆記事
 現役打者の2000本安打達成確率を考える
 現役20代選手の通算安打(2018年版)

■2017年の特筆記事
 現役20代選手の通算安打(2017年版)
 「8番投手」は珍しいのか?
 2017年各種パークファクター
 2017広島打線は史上最強か?

■2016年の特筆記事
 2016年における2000本安打の展望
 2016年広島打線、得点力向上の要因は?
 2016年各種パークファクター
 パリーグ野手編成と野手運用の私的評価
 セリーグの犠打減少を考える
 糸井嘉男の成績低下リスクを考える


■2015年の特筆記事
 2000本安打の展望
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 秋山と柳田が挑む、もうひとつの日本記録
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 二塁手史上最高の打撃?2015年山田哲人
 30HRと30盗塁の両立
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 谷繁元信、27年連続本塁打
 坂本勇人、7年連続二桁本塁打
 阪神タイガース、得失点差-59で貯金
 2015年はどのくらい打低だったのか?
 2015年各種パークファクター

■考察のようななにか
 □分析結果系
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 平成の大投手 三浦大輔
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 恐怖の8番打者
 稲葉篤紀、現役引退表明
 0本塁打のスラッガー
 シーズン二桁本塁打に関する記録
 20盗塁カルテットに関する記録
 ピタゴラス勝率を用いた采配評価の妥当性
 鈴木啓示の先発勝利に関する疑義
 セリーグの野手世代交代に関する考察
 □分析手法系
 RSAAに守備力補正をかける
 守備イニング推定手法の改良案
 DERチーム守備得点の改良案
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