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2017年戦力分析 東京ヤクルトスワローズ編


チーム全体の状況

20180214_S.png 
※打撃・守備・投球の数値は、各部門で「リーグ平均に対し何点分の利得を作れたか」を示す。打撃はwOBA[1]、守備はUZRとDER[2]、投球はFIP[3]をベースに算出。
※「P勝率」は得点と失点から期待される勝率(ピタゴラス勝率)、「B勝率」はwOBAとUZRとFIPから期待される勝率(Baserun勝率)を示す。


2017年、東京ヤクルトスワローズは6位となりました。最下位は3年ぶり。
球団最多敗記録を更新するなど歴史的な苦戦を強いられました。

打撃・守備・投球全てで負債を作る厳しい状況ですが、特に深刻なのが打撃面(wOBA)の低迷。
畠山和洋・川端慎吾の長期離脱により、かつてチームの売りだった打線の得点力が大幅に低下。
打撃だけで得点換算で100点以上のマイナスを記録しており、歴史的な低迷の最大の要因になったと言えます。


各ポジションの状況

20180211_S野手
※打撃はwOBA、守備はUZRを用いて「同ポジションの平均的な選手と比較してチームの得失点改善に何点分貢献したか」を評価。右のグラフは打撃と守備の合算値です。

野手は5ポジションで合計175点分の致命的なマイナスを計上しました。
畠山和洋・川端慎吾・雄平の長期離脱に加え、カバー要員の確保にも苦労したことでマイナスが増大しています。
この数値を勝利数に換算すると、ここだけでチームの借金を35以上増やした計算になります。

二塁手の山田哲人はリーグトップクラスの成績をキープ。
例年と比べて調子を落としたものの、依然としてヤクルトの強みであることは変わりません。
中村悠平・バレンティンが良い働きを見せたため、捕手・左翼手でもプラスを記録しました。


20180211_S投手
※右端の投球利得はFIPを用いて「平均的な先発(救援)投手と比較してチームの失点を何点分減らしたか」を評価。
※同点~3点リードの状況での登板割合が50%以上かつ30登板以上の投手を「勝ちパターン」と定義しました。[4]

先発投手は駒不足がやや目立つ結果となりました。
上位ローテでは小川泰弘を中心に、石川雅規・原樹理もまずまずの投球内容を見せた一方、
下位ローテでのマイナスがやや大きくなっており、先発投手はチームの弱みとなりました。

救援投手も勝ちパターンとそれ以外の格差が大きい状況。
大差リード時、ビハインド時でのマイナスが特に目立つなど選手層の薄さが目立った一方、
石山泰稚・ルーキ・秋吉亮らの勝ちパターンで稼いだプラスは大きく、救援陣全体ではそこまで悪い数値にはなっていません。


来季の戦力向上に向けて

野手の5ポジションのマイナス圧縮を狙うのが最も効率が良さそうです。
平均的な控え選手で代替できれば、それだけで得点換算で75点分、貯金換算で15個分を上積みできます。
(平均的な控え選手は一般的に年間で-20を計上するので、5ポジションに配置できれば-175点→-100点)

その中でも最優先で狙いたいのは一塁手の新規獲得ではないでしょうか。
全ポジション中最大のマイナスを計上した現状、及び補強の容易さを考えると狙わない手はありません。
畠山和洋が復調できればそれに越したことはありませんが、近年の成績を見ると復帰しても活躍できるかは不透明な状況です。

残りの弱点ポジションについては、三塁手は川端慎吾、右翼手は雄平の復帰で底上げが狙えそうな一方、
遊撃手と中堅手はリターン組による底上げが見込めず、補強も難しいため基本的には育成中心で底上げしなければなりません。
遊撃手は二軍で好成績を残している廣岡大志が楽しみな存在ですが、中堅手はプロスペクト不在で厳しい状況になっています。

投手の方は先発でやや大きめのマイナスを計上したことに加え、ルーキの退団が確定している状況です。
野手と比べて優先度は落ちますが、テコ入れが必要なポジションの一つであることは間違いありません。
二軍も調整で起用される選手が多く高齢化が目立っているため、即戦力と並行して有望な若手の確保も進めていきたいところ。


今オフの動き

□外部補強
 山田大樹   29歳 投手 打 トレード ソフトバンク
 カラシティー 26歳 投手 右投右打 新外国人 アイオワ(3A)
 アルメンゴ  31歳 投手 打 自由契約 中日
 ハフ     33歳 投手 投両打 新外国人 LG(KBO)
 青木宣親   35歳 外野 右投打 自由契約 NYM(MLB)
 田代将太郎  28歳 外野 打 自由契約 西武

リベロとグリーンが放出され、新規獲得がなかったため外国人野手はバレンティンのみに。
野手1:投手3で外国人枠を回していく構想だと考えられますが、
現状の野手と投手の戦力バランスを考えると、これが適切かどうかは一考の余地があるかもしれません。

青木宣親はオープン戦を見る限りでは中堅手として起用される見込み。
年齢的に守備面に不安がありますが、中堅手のマイナスはプラスに転換する可能性も出てきました。
中堅以下の人材不足に悩まされる外野手の育成に猶予が生まれた格好で「渡りに船」ともいえる復帰になったように感じます。

□ドラフト
 村上宗隆  18歳 捕手 右投打 ドラフト1位 九州学院高
 大下佑馬  25歳 投手 右投打 ドラフト2位 三菱重工広島
 蔵本治孝  22歳 投手 右投右打 ドラフト3位 岡山商科大
 塩見泰隆  24歳 外野 右投右打 ドラフト4位 JX-ENEOS
 金久保優斗 18歳 投手 右投打 ドラフト5位 東海大市原望洋高
 宮本丈   22歳 遊撃 右投打 ドラフト6位 奈良学園大
 松本直樹  24歳 捕手 右投右打 ドラフト7位 西濃運輸
 沼田拓巳  24歳 投手 右投右打 ドラフト8位 石川(BCリーグ)

野手に比重が偏ったドラフトとなりました。野手4人指名は2010年代に限ればチーム最多。
近年では投手中心のドラフト指名を行うことが多かったため、久しぶりに若手野手を多く確保できた格好です。
捕手には比較的余裕のあるチーム事情もあり、ドラフト1位の村上宗隆は三塁手に転向する見込みのようです。


2017年戦力分析

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2017年戦力分析 阪神タイガース編
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2017年戦力分析 読売ジャイアンツ編
2017年戦力分析 中日ドラゴンズ編
2017年戦力分析 東京ヤクルトスワローズ編
2017年戦力分析 福岡ソフトバンクホークス編
2017年戦力分析 埼玉西武ライオンズ編
2017年戦力分析 東北楽天ゴールデンイーグルス編
2017年戦力分析 オリックス・バファローズ編
2017年戦力分析 北海道日本ハムファイターズ編
2017年戦力分析 千葉ロッテマリーンズ編

東京ヤクルトスワローズ戦力分析

2014年戦力分析 東京ヤクルトスワローズ編
2015年戦力分析 東京ヤクルトスワローズ編
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[1] 参考:Baseball-LAB Archives「打撃指標wOBA」 球場補正は2015年-2017年の得点PFを使用しました。
[2] 参考:1.02 - Essence of Baseball リーグ平均が0となるように調整を行いました。
  2013年以前についてはDELTA社のUZRが公表されていないため、DER守備得点で代用しました。参考:Baseball-LAB Archives 「DERでチーム守備力を計測する
[3] 失点率スケールに変換して、球場補正は2015年-2017年のFIP-PFを使用しました。
[4] イニング途中で登板した投手の点差状況は手に入らなかったため、入手できたデータの範囲で評価しました。

コメント

No title

ギルメットは防御率こそ3.62とそれほどでもなかったですがリリーフとしてのFIPは優秀なので
外国人枠に余裕があってリリーフに弱点を抱える球団は獲っても面白いと思ったんですが……。
ヤクルトに残留することも他球団に移籍することもなく惜しいです。

No title

中日とは逆に極端な打者有利球場なので、生の数字だと投手陣が崩壊しているように見えるのが厄介ですね。
山田の存在のおかげで他ポジションで負債がなければ十分戦えるはずなんですが、
そのせいで危機感を抱くのが遅れた印象があります。数年前から三塁、外野のプロスペクトは不足していましたから。
今のヤクルトは個人的に2000年代後半のソフトバンクと被るんですよね。
ここまで極端ではないですが松中に得点生産を依存した結果、衰えと同時に打線が弱体化しました。
山田はここからピークと言っていい年齢ですし、なんとか立て直してほしいんですが…

投手では山田大樹に頑張ってもらいたいです。
二軍では結果を出すも一軍で活躍できないシーズンが続いていましたが、環境を変えて戦力になってほしいですね。
三振を取れるタイプではないので狭い球場のリスクがどう出るか気になるところですが。

No title

ヤクルトの編成が楽観的なのは、1塁以外の弱点となるポジションに、半分程度イニングを消化してくれる選手がいるからじゃないでしょうか?
2軍の編成もままならない状況で、これ以上悪化しなければよいのですが…。

Re: No title

コメントありがとうございます!
返信が遅くなりまして申し訳ございません。

ギルメットは化けそうなポテンシャルの片鱗を見せていましたね。
特に中日はリリーフが薄く外国人投手も二人だけなので、獲得してもよかったのではと私も思います。
(ジーとガルシアがシーズン通して一軍に帯同するとはちょっと考えにくいので)

Re: No title

カンザスさん、コメントありがとうございます!
返信が遅れまして申し訳ございません。

>そのせいで危機感を抱くのが遅れた印象があります。
仰る通り、対応が後手に回ったのは否定できませんよね。
近年のヤクルトは極端な投手偏重ドラフトを行っていて、2012年-2016年に4位以内で指名された野手はわずか3人だけでした。
育成の巧拙以前に単純な駒数が足りなかったために育成が進まなくて二軍の選手層が薄くなり、
一軍レギュラーの故障でその二軍野手が一軍に引っ張り出され、野手WARマイナスという異常事態を引き起こしたように思います。

最近だと楽天が投手偏重ドラフト気味だったところを、バランスを是正して徐々に野手を充実させつつありますが、
ヤクルトも同じ方向に舵を切っていくことをいくことを望みます。
そういう意味では今年のドラフトはエポックメイキング的な要素を含む指名になりましたね。

ソフトバンクは松中がいるうちにチームを立て直すことができましたが、
ヤクルトも是非そうなってほしいですね。山田が元気なうちは優勝も狙える機会もあると思います。

山田大は二軍では優秀な成績を残していますし、新天地での活躍を私も期待しています。
個人的にはフライピッチャーという印象があるのですが、その辺りはどうなのでしょう?

返信ありがとうございます

山田にフライピッチャーという印象はあまりないですね。二軍のGB/FBがないのであやふやなんですが、
どちらかというと真っスラで芯を外すスタイルで
二軍だとあまり四球を出さないのに、一軍だとゾーンで勝負できずに崩れる印象があります。

Re: No title

Yamagamiさん、コメントありがとうございます!
返信が遅くなりまして申し訳ございません。

全てが上手く回ればそうなるのは間違いないと思います。
ただ、復帰組が依然と同じ成績を残すとは限りませんし、楽観できる状況では絶対にないとは思うんですけどね。
(昨季ほどのマイナスを計上するような事態にはならないとは思いますが)

Re: 返信ありがとうございます

カンザスさん、コメントありがとうございます!
返信が大変遅くなりまして申し訳ございません。

貴重な情報をありがとうございます。
それですと、上手くはまれば神宮で活躍できそうですね。

ただ今季はキャンプ中にコンディション不良になってしまって、
今のところ二軍でも登板が一度もないんですね。ちょっと心配です。

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 現役20代選手の通算安打(2017年版)
 「8番投手」は珍しいのか?
 2017年各種パークファクター
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 2016年広島打線、得点力向上の要因は?
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 2000本安打の展望
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