簡易WARの答え合わせ2014
- 2015/04/19
- 12:01
「プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート4」を買いました。
morithyさんの「オールタイム・ゴールデングラブへの道」は
奪アウト率評価における他選手補殺補正を更に突き詰めた手法を提示するとても興味深い内容で、
従来考慮されていた他内野補殺増による内野刺殺増だけでなく、投手の内外野打球分布、走者増による外野補殺増など、
刺殺補殺に掛かる様々なバイアスをシンプルに一律で排除できる革新的なアイデアだと感じました。
何故か外野守備得点歴代1位は福本豊だとずっと思っていたのですが(刺殺記録を持っているからでしょうか)、意外な選手でしたね。
守備成績についてはようやく1962年まで遡れる当てができたので、データが手に入り次第自分でも算出してみたいと考えています。
外野では山本浩二、福本豊、秋山幸二、張本勲がどの辺りまでスコアを伸ばすのか、とても楽しみです。
この本から得られるデータで試してみたいことは色々あるのですが、
今回は個人で算出した簡易WARとDELTA社のWARを比較してみました。答え合わせ的な意味合いが強いかもしれません。
DELTA社WARについては順位のみ記載。上位30人を併記。野手のみ。
打撃、守備位置補正、代替補正を算出する際に必要な情報は一般的に公開されているボックススコアから殆ど分かるものの、
守備はボックススコアから分かることがかなり限定されているため、守備評価部分の差が特に大きくなっています。
内野手は恐らく打球の偏りが原因で上下に外れている選手も見られました。(鳥谷・菊池・鈴木ほか)
外野手は内野手と比較するとズレが大きくなっていて、UZRとレンジ系指標の乖離が浮き彫りになったように感じます。
・「肩」の評価が難しいこと
今回はホールドの評価が難しいことから肩の評価は一切行っていませんが、
UZRのアームレーティングを見ると±5点以上の選手もちらほら居り、+10点以上を記録した選手も存在します。
・「譲り合い」の評価が難しいこと
外野は内野と比べると「どちらでも捌ける打球」の割合が多いため、
チーム内の「こうした打球をどちらが捌くか」の取り決めが刺殺数に顕著に現れます。
現状のレンジ系外野守備指標は上のような欠点がありますが、大島と秋山はいずれもアームレーティングで好成績を残している上に、
いずれも隣のポジションをリーグを代表する名手が務めたために、平均的な中堅手より多くの打球を譲ったと考えられるため、
大島秋山のいずれも現状のレンジ系指標では評価が難しい部分で守備利得を稼いだ可能性が高いと言えます。
今後はこの辺りの改善が重要な課題となりそうですね。
morithyさんの「オールタイム・ゴールデングラブへの道」は
奪アウト率評価における他選手補殺補正を更に突き詰めた手法を提示するとても興味深い内容で、
従来考慮されていた他内野補殺増による内野刺殺増だけでなく、投手の内外野打球分布、走者増による外野補殺増など、
刺殺補殺に掛かる様々なバイアスをシンプルに一律で排除できる革新的なアイデアだと感じました。
何故か外野守備得点歴代1位は福本豊だとずっと思っていたのですが(刺殺記録を持っているからでしょうか)、意外な選手でしたね。
守備成績についてはようやく1962年まで遡れる当てができたので、データが手に入り次第自分でも算出してみたいと考えています。
外野では山本浩二、福本豊、秋山幸二、
この本から得られるデータで試してみたいことは色々あるのですが、
今回は個人で算出した簡易WARとDELTA社のWARを比較してみました。答え合わせ的な意味合いが強いかもしれません。
順位 | 選手名 | 守 | 簡易WAR | 総合 | 攻撃 | 守備 | 投球 | pos | DELTA社WAR順位 | ||
1位 | 陽岱鋼(日本ハム) | 中 | 7.1 | 50 | 26 | 26 | 0 | -2 | 1位 | 山田哲人 | |
2位 | 菊池涼介(広島) | 二 | 7.0 | 47 | 13 | 25 | 0 | 8 | 2位 | 陽岱鋼 | |
3位 | 山田哲人(ヤクルト) | 二 | 6.9 | 45 | 39 | -2 | 0 | 9 | 3位 | 糸井嘉男 | |
4位 | 丸佳浩(広島) | 中 | 6.5 | 42 | 35 | 9 | 0 | -2 | 4位 | 安達了一 | |
5位 | 安達了一(オリックス) | 遊 | 6.4 | 42 | 1 | 36 | 0 | 5 | 5位 | 丸佳浩 | |
6位 | 糸井嘉男(オリックス) | 右 | 6.3 | 41 | 48 | -4 | 0 | -3 | 6位 | 坂本勇人 | |
7位 | 雄平(ヤクルト) | 右 | 5.9 | 39 | 22 | 19 | 0 | -3 | 7位 | 雄平 | |
8位 | 平田良介(中日) | 右 | 5.3 | 36 | 6 | 33 | 0 | -3 | 8位 | 栗山巧 | |
9位 | 坂本勇人(巨人) | 遊 | 5.1 | 30 | 12 | 13 | 0 | 5 | 9位 | 菊池涼介 | |
10位 | 柳田悠岐(ソフトバンク) | 中 | 5.1 | 29 | 37 | -7 | 0 | -2 | 10位 | 大島洋平 | |
11位 | H.ルナ(中日) | 三 | 4.9 | 30 | 28 | 6 | 0 | -4 | 11位 | H.ルナ | |
12位 | 梶谷隆幸(DeNA) | 右 | 4.8 | 27 | 9 | 22 | 0 | -3 | 12位 | 鳥谷敬 | |
13位 | 栗山巧(西武) | 左 | 4.5 | 22 | 13 | 16 | 0 | -7 | 13位 | 秋山翔吾 | |
14位 | E.メヒア(西武) | 一 | 4.4 | 28 | 30 | 5 | 0 | -7 | 14位 | 柳田悠岐 | |
15位 | 内川聖一(ソフトバンク) | 左 | 4.4 | 25 | 24 | 9 | 0 | -8 | 15位 | 梶谷隆幸 | |
16位 | W.バレンティン(ヤクルト) | 左 | 4.2 | 26 | 30 | 1 | 0 | -5 | 16位 | 本多雄一 | |
17位 | 長谷川勇也(ソフトバンク) | 右 | 4.2 | 23 | 15 | 10 | 0 | -3 | 17位 | 平田良介 | |
18位 | 上本博紀(阪神) | 二 | 4.1 | 21 | 9 | 4 | 0 | 8 | 18位 | 中村剛也 | |
19位 | 鈴木大地(ロッテ) | 遊 | 4.0 | 18 | 9 | 4 | 0 | 6 | 19位 | 上本博紀 | |
20位 | 銀次(楽天) | 三 | 3.9 | 20 | 14 | 12 | 0 | -5 | 20位 | 松田宣浩 | |
21位 | 本多雄一(ソフトバンク) | 二 | 3.9 | 24 | 3 | 16 | 0 | 5 | 21位 | M.マートン | |
22位 | 中村剛也(西武) | 三 | 3.7 | 21 | 28 | 1 | 0 | -8 | 22位 | 銀次 | |
23位 | T-岡田(オリックス) | 一 | 3.6 | 17 | 17 | 8 | 0 | -8 | 23位 | 筒香嘉智 | |
24位 | 李大浩(ソフトバンク) | 指 | 3.4 | 13 | 19 | 5 | 0 | -11 | 24位 | E.メヒア | |
25位 | 角中勝也(ロッテ) | 右 | 3.3 | 14 | 17 | 2 | 0 | -4 | 25位 | 李大浩 | |
26位 | 松田宣浩(ソフトバンク) | 三 | 3.3 | 18 | 17 | 4 | 0 | -3 | 26位 | 阿部慎之助 | |
27位 | 筒香嘉智(DeNA) | 左 | 3.2 | 17 | 19 | 2 | 0 | -5 | 27位 | 田中広輔 | |
28位 | 森野将彦(中日) | 一 | 3.2 | 12 | 13 | 9 | 0 | -10 | 28位 | 片岡治大 | |
29位 | 田中広輔(広島) | 三 | 3.1 | 19 | 5 | 13 | 0 | 1 | 29位 | W.バレンティン | |
30位 | 阿部慎之助(巨人) | 捕 | 3.0 | 12 | 1 | 0 | 0 | 10 | 30位 | 今宮健太 |
打撃、守備位置補正、代替補正を算出する際に必要な情報は一般的に公開されているボックススコアから殆ど分かるものの、
守備はボックススコアから分かることがかなり限定されているため、守備評価部分の差が特に大きくなっています。
内野手は恐らく打球の偏りが原因で上下に外れている選手も見られました。(鳥谷・菊池・鈴木ほか)
外野手は内野手と比較するとズレが大きくなっていて、UZRとレンジ系指標の乖離が浮き彫りになったように感じます。
・「肩」の評価が難しいこと
今回はホールドの評価が難しいことから肩の評価は一切行っていませんが、
UZRのアームレーティングを見ると±5点以上の選手もちらほら居り、+10点以上を記録した選手も存在します。
・「譲り合い」の評価が難しいこと
外野は内野と比べると「どちらでも捌ける打球」の割合が多いため、
チーム内の「こうした打球をどちらが捌くか」の取り決めが刺殺数に顕著に現れます。
現状のレンジ系外野守備指標は上のような欠点がありますが、大島と秋山はいずれもアームレーティングで好成績を残している上に、
いずれも隣のポジションをリーグを代表する名手が務めたために、平均的な中堅手より多くの打球を譲ったと考えられるため、
大島秋山のいずれも現状のレンジ系指標では評価が難しい部分で守備利得を稼いだ可能性が高いと言えます。
今後はこの辺りの改善が重要な課題となりそうですね。