この記事は6月22日時点での記録達成確率を予測したものです。最新版(9月13日時点)はこちら。
最後に、秋山翔吾のシーズン安打記録更新の確率を考えるはじめに
西武・秋山が早くもシーズン100安打 200安打を記録した先輩たちのペースは?
西武の秋山翔吾が13日のヤクルト戦の第1打席で、今季100安打をマークした。63試合目で100安打に到達した秋山のシーズン安打ペースは229。このままいくと、シーズン最多安打記録更新にも期待がかかる。(ベースボールキング)
この後も秋山は安打を順調に積み上げ、現在チーム67試合目で110安打を記録しています。
現状のペースを維持した場合、143試合終了時点で234安打まで数字が伸びることになり、
マット・マートンが2010年に記録したNPBシーズン安打記録「214」を大きく上回る計算となります。
秋山が記録を更新する可能性はどの程度なのでしょうか?この記事ではそれを見ていきたいと思います。
記録更新のためにはどれくらいの打率が必要か?
秋山はチーム67試合目でパリーグ1位となる290打数を記録しています。
ここから先、シーズン終了まで同じペースで打数を積み重ねると仮定した場合、あと329打数が与えられると考えられます。

ここから先を .258(329打数
*83安打) で195安打となり、シーズン安打記録歴代8位タイとなります。
ここから先を .274(329打数
*90安打) で200安打となり、史上6人目のシーズン200安打達成者となります。
ここから先を .316(329打数104安打) で214安打となり、シーズン安打記録歴代1位タイとなります。
ここから先を .319(329打数105安打) で215安打となり、シーズン安打記録歴代単独1位となります。
秋山の打率(.379)を考えると、上記の打率を達成するのは一見容易に見えます。
しかしながら、打率は再現性がとても低い指標であることが知られており、[1]
ある期間に相対的に高かったから、次の期間も変わらず高いという保証はありません。
(例を挙げると、2季連続で.319以上の高打率を記録した選手は青木宣親(2007,2008)以降現れていません。)
一方で「.258」や「.274」程度なら、秋山の実力であれば簡単に記録することができそうです。
通算打率と二項分布モデルを用いた記録更新確率
秋山はレギュラー定着した2012年以降、2015年6月22日までに1732打数503安打を記録しています。
打率.290(=503/1732)を運の要素を排除した「秋山の真の打率」と仮定して、
「打数を記録した場合に29.0%の確率でヒットを打つ」と仮定します。
この場合、秋山はどのくらいの確率でシーズン安打記録を更新できるのでしょうか?
左端の数値は「二項分布により予想される達成確率」を示します。
※BINOMDIST関数の取り扱いに誤りがあったため修正しました。(9/13追記)
シーズン200安打は77%の確率で達成する見込み。離脱がなければおそらく達成できそうですね。
一方で歴代単独1位のシーズン215安打は14%で、単純な安打ペースの数字と比較するとかなり厳しい確率になっています。
秋山はシーズン通して打率3割に乗せたことが一度もないため、実績の不足がこの結果に繋がっています。
上記のモデルでは「レギュラー定着後の通算打率」を「真の打率」と仮定して予測を行いました。
打撃向上により現在の秋山の「真の打率」が.290以上となっている可能性も大いに考えられるため、
実際の確率は上表で示したものよりもう少し高いものとなるかもしれません。
野球の記録は常に「真の実力」+「運」で表されるため、この辺りの扱いは非常に難しいところです。
[1] 参考:
打撃指標年度間相関(2008) Baseball Concrete Blog