球団史上最高の4人を選ぶ 中日ドラゴンズ編
- 2015/08/11
- 08:02
はじめに
ヤクルトと同様のアプローチで、NPBで「フランチャイズ・フォー」と同様の企画が実施された場合、
RCAAまとめblogとしてはどういった選手に投票するか、データを基に独断と偏見を交えて考えてみました。
今回は第5弾として、「中日ドラゴンズ」の歴代選手TOP4を選出します。
おおまかな選出の方針
・「同ポジションの平均的な控え選手に対し、どの程度利得を作れたか」(=WAR)を基軸に評価。
・基本的には通算成績の優劣で決定。長くチームに貢献した選手を優先する。
・通算成績がほとんど横並びの場合、全盛期の優劣で決定。
・「球団史上」なので、MLB期間の成績については一切考慮しない。
以上を踏まえて、RCAAまとめblogが選出した「中日ドラゴンズ史上最高の4人」は以下のようになりました。
中日ドラゴンズ史上最高の4人
□杉下茂[1949-1960]

球団初優勝時のエース。平均的な投手に対して球団歴代1位の+310点の投球利得を稼ぎました。
NPBにおける元祖「フォークボールの神様」として知られています。
杉下の奪三振率傑出度は通算139%で、これは通算2000投球回以上の投手としては歴代5位の数値。
フォークに免疫のない当時の打者の目には、杉下のそれは正に魔球として映っていたのかもしれません。
1954年にはNPBシーズン最高記録となるRSWIN10.31を記録しています。現代で言えば、ダルビッシュ2人分の活躍でした。
□高木守道[1960-1980]

※守備位置補正は守備位置補正RCWINの方法で算出しました。「守RCAA」は球場補正を含めた守備位置補正RCWINです。
引退まで一貫して二塁手を務め、平均的な二塁手に対して+166点の打撃利得を稼ぎました。
近年では出塁率の低さばかりがクローズアップされている嫌いがありますが、
通算236HRは通算二塁での先発出場率が90%を超えている選手の中では歴代最多であり、
通算打率.272もキャリアの多くが打低時代だったことを考えるとかなり優秀です。
また、レンジ系指標による二塁守備評価はNPB史上歴代最高値が出ており、
レギュラー定着から引退年に至るまで20年に渡り、明確に標準を上回る守備能力を維持し続けました。
2015年現在、攻守合せた評価ではNPB歴代最高の二塁手と言えるでしょうね。
□中利夫[1955-1972]

※守備位置補正は守備位置補正RCWINの方法で算出しました。「守RCAA」は球場補正を含めた守備位置補正RCWINです。
50年代から70年代にかけて中日の中堅手を務めました。
1963年と1965年にはセリーグ記録となる350刺殺を記録するなど、非常に広い守備範囲を誇り、
レンジ系守備評価では、セリーグの外野手としては歴代最高クラスの守備貢献を叩き出しています。
中日はいつの時代を切り出しても、歴史的な守備の名手が在籍しているのは興味深い点ですね。球団の特色の一つでしょうか?
打撃面は首位打者を獲得できるアベレージの高さに加えて、走塁で三塁打を多く生み出しており、
平均的な中堅手に対して+119点の打撃利得を稼ぎました。高木と同じく、攻守揃った好プレイヤーだと言えます。
□山本昌[1984-]

※2015年8月3日時点
NPB最後の200勝投手。平均的な投手に対して+112点の投球利得を稼ぎました。
杉下と対照的な非常に長いキャリアが特徴で、30年に渡り先発ローテーションの一角に収まり続けています。
平均に対し25%四球を少なく抑える制球力が持ち味。
制球力は一般的に加齢による衰えが小さいので、これは長寿の一つの要因かもしれませんね。
四球の価値が相対的に高くなるナゴヤドームでは、四球さえ出さなければ勝てるという好例かもしれません。
また、200勝投手では珍しく奪三振率は同時代の平均を下回ります。(他は東尾,若林,皆川,北別府の4人だけ)
次点
□木俣達彦[1964-1982]
1969年には捕手として史上2人目、セリーグでは初となるシーズン30HRを記録するなど強打の捕手として活躍。
1974年には正捕手として巨人のV10阻止に貢献。通算で平均的な捕手に対して+273点の打撃利得を稼ぎました。
盗塁阻止率などの守備的な要素を見ても、同時代の捕手平均を明確に上回っており、
古田敦也(田淵幸一?)が登場するまではセリーグ歴代最高捕手だったと考えられます。
□江藤慎一[1959-1969]
1960年代中日の4番打者。同ポジションの平均的な選手(一塁手・左翼手)に対して+300点の打撃利得を稼ぎました。
全盛期には3年連続で王貞治に本塁打王を阻止されています。タイトルレースの観点から見ると最大の被害者かもしれません。
獲得タイトルの少なさが尾を引いて、現在の過小評価につながっている印象が否めません。この時代はこういう打者が多いですね。
ちなみに江藤自身も1964年,1965年に首位打者を獲得し、王貞治の三冠王を2年連続で阻止しています。
元々は捕手であり肩は良かったと思われますが、外野守備に関してはレンジ系指標を見る限り良好ではなかったようです。
□立浪和義[1988-2009]
高卒1年目でレギュラーに定着し、球団史上最多の2480安打を記録した「3代目ミスタードラゴンズ」。
出始めの頃からストライクゾーンの管理能力に優れていたようで、三振を少なく抑えつつ四球を多く選び、
同ポジションの平均的な選手に対して+156点の打撃利得を稼ぎました。
二遊間を中心に守った選手で、通算1000四球を記録したのは立浪ただ一人となっています。
5度のゴールデングラブ賞を獲得していますが、レンジ系指標で見るといずれのポジションもいまひとつな守備貢献に留まります。
□福留孝介[1999-2007]
同ポジションの平均的な選手(右翼手・遊撃手)に対して+271点の打撃利得を稼ぎました。
ミート・長打・選球眼の全てを兼ね備えた完璧な打者であり、00年代中日黄金期の最大の立役者。
特に2006年の成績は本拠地がナゴヤドームであることを考慮すれば、歴史的な打撃成績でした。
外野に回ってからは守備指標もかなり優秀であり、ポストイチロー松井時代のNPBNo.1野手だったと言えます。
□中日ドラゴンズ簡易oWAR10傑[-2014]
順位 | 選手名 | 守備 | 実働期間 | 年数 | 試合 | 打席 | 打率 | HR | 打点 | 盗塁 | RCW | 球場補正 | POS補正 | 守RCW | oWAR | |
1位 | 木俣達彦 | 捕手 | 1964-1982 | 19年 | 2142 | 7442 | 0.277 | 285 | 872 | 20 | 13.04 | 0.24 | 16.63 | 29.91 | 54.7 | 次 |
2位 | 江藤慎一 | 左翼 | 1959-1969 | 11年 | 1416 | 5742 | 0.292 | 268 | 845 | 66 | 37.47 | 0.28 | -3.89 | 33.85 | 53.0 | 次 |
3位 | 立浪和義 | 二塁 | 1988-2009 | 22年 | 2586 | 10033 | 0.285 | 171 | 1037 | 135 | 8.76 | 3.17 | 4.35 | 16.27 | 49.7 | 次 |
4位 | 高木守道 | 二塁 | 1960-1980 | 21年 | 2282 | 9110 | 0.272 | 236 | 813 | 369 | 7.69 | 0.49 | 10.54 | 18.72 | 49.1 | ★ |
5位 | 福留孝介 | 右翼 | 1999-2007 | 9年 | 1074 | 4503 | 0.305 | 192 | 647 | 71 | 26.11 | 3.51 | -0.79 | 28.83 | 43.8 | 次 |
6位 | 中利夫 | 中堅 | 1955-1972 | 18年 | 1877 | 7336 | 0.277 | 139 | 541 | 347 | 22.45 | 0.45 | -9.20 | 13.70 | 38.2 | ★ |
7位 | 谷沢健一 | 一塁 | 1970-1986 | 17年 | 1931 | 7632 | 0.302 | 273 | 969 | 42 | 25.89 | 0.69 | -14.78 | 11.80 | 37.2 | |
8位 | 宇野勝 | 遊撃 | 1977-1992 | 16年 | 1727 | 6703 | 0.264 | 334 | 923 | 78 | 5.74 | -0.11 | 8.84 | 14.47 | 36.8 | |
9位 | 落合博満 | 一塁 | 1987-1993 | 7年 | 863 | 3668 | 0.307 | 210 | 625 | 18 | 28.46 | -0.60 | -6.72 | 21.14 | 33.4 | |
10位 | 西沢道夫 | 一塁 | 1937-1958 | 18年 | 1298 | 5096 | 0.296 | 187 | 784 | 45 | 20.99 | 0.00 | -5.35 | 15.64 | 32.6 |
□中日ドラゴンズ簡易投手WAR10傑[-2014]
順位 | 選手名 | 実働期間 | 年数 | 試合 | 先発 | 投球回 | 防御率 | FIP | 勝利 | 敗戦 | RSW | 球場補正 | 守備補正 | 補RSW | WAR | |
1位 | 杉下茂 | 1949-1960 | 12年 | 493 | 241 | 2756 2/3 | 2.23 | 2.60 | 211 | 117 | 38.75 | 0.00 | -5.45 | 33.29 | 70.1 | ★ |
2位 | 山本昌 | 1984-2014 | 31年 | 579 | 512 | 3347 1/3 | 3.45 | 3.57 | 219 | 165 | 17.23 | -5.10 | -0.62 | 11.51 | 56.1 | ★ |
3位 | 郭源治 | 1981-1996 | 16年 | 496 | 230 | 1971 | 3.22 | 3.54 | 106 | 106 | 13.77 | -0.38 | 3.00 | 16.38 | 42.7 | |
4位 | 小松辰雄 | 1978-1994 | 17年 | 432 | 246 | 1940 2/3 | 3.44 | 3.60 | 122 | 102 | 10.32 | -0.45 | 2.69 | 12.56 | 38.4 | |
5位 | 鈴木孝政 | 1973-1989 | 17年 | 586 | 170 | 1788 1/3 | 3.49 | 3.62 | 124 | 94 | 8.85 | -0.81 | 1.20 | 9.24 | 33.1 | |
6位 | 服部受弘 | 1939-1958 | 16年 | 259 | 165 | 1576 1/3 | 2.81 | 2.84 | 112 | 65 | 11.59 | 0.00 | -0.52 | 11.06 | 32.1 | |
7位 | 川上憲伸 | 1998-2014 | 14年 | 275 | 259 | 1731 | 3.24 | 3.42 | 117 | 76 | 15.79 | -5.54 | -1.94 | 8.32 | 31.4 | |
8位 | 今中慎二 | 1989-2001 | 13年 | 233 | 187 | 1395 1/3 | 3.15 | 3.07 | 91 | 69 | 10.98 | 0.64 | 1.17 | 12.79 | 31.4 | |
9位 | 大矢根博臣 | 1954-1960 | 7年 | 221 | 139 | 1223 1/3 | 1.99 | 2.46 | 84 | 52 | 13.95 | 0.04 | -1.25 | 12.73 | 29.0 | |
10位 | 岩瀬仁紀 | 1999-2004 | 16年 | 889 | 1 | 904 | 2.08 | 2.40 | 54 | 43 | 19.76 | -2.87 | -1.35 | 15.55 | 27.6 |
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