最後に、秋山翔吾のシーズン安打記録更新の確率を考える
- 2015/09/14
- 00:33
はじめに
秋山翔吾はこの後の第4打席でもライトへタイムリーヒットを放ち、今季の安打数を「201」まで伸ばしました。秋山史上6人目200安打達成 イチローに次ぐスピード記録(スポニチアネックス)
◇パ・リーグ 西武―ロッテ(2015年9月13日 西武プリンス)
西武の秋山翔吾外野手(27)が13日のロッテ戦に「1番・中堅」で出場。5回の第3打席に左前打を放ち、史上6人目(7度目)のシーズン200安打を達成した。131試合目の到達はイチロー(オリックス)の122試合に次ぐ史上2位のスピード記録となった。
西武は残り12試合を残しており、マートンが2010年に記録したシーズン安打記録「214」へあと一歩のところまで迫っています。
秋山翔吾、シーズン安打記録更新の確率は?
6月22日に行なった検討では、秋山がシーズン安打記録を更新する確率を「14%」と予想しました。
改めて、秋山翔吾のシーズン安打記録更新の確率を考える
7月24日に行なった検討では、秋山がシーズン安打記録を更新する確率を「32%」と予想しました。
秋山は依然として好調を維持していますが、達成確率はどう変動したでしょうか?
前回及び前々回と同様のアプローチで見ていきましょう。
最後に、記録更新のためにはどれくらいの打率が必要か?
秋山はチーム131試合目でパリーグ最多の555打数を記録しています。ここから先も同じペースで打数を積み重ねると仮定した場合、
シーズン終了時点には歴代9位相当の605打数に達する見込みです。つまり、あと50打数が与えられると予想されます。
この場合、どの程度の打率が必要となるでしょうか?

ここから先を .280(50打数14安打) で215安打となり、シーズン安打記録歴代単独1位となります。
ここから先を .260(50打数13安打) で214安打となり、シーズン安打記録歴代1位タイとなります。
ここから先を .180(50打数*9安打) で211安打となり、シーズン安打パリーグ歴代単独1位となります。
ここから先を .160(50打数*8安打) で210安打となり、シーズン安打パリーグ歴代1位タイとなります。
ここから先、打率3割を多少割り込むくらいでも安打記録更新は可能という結果になりました。
現在の秋山の打率の高さ(.362)を考えると、かなり楽観的な見通しと言えますね。
ここからは、記録更新のために必要となる「打率.280」をどのくらいの確率で記録できるか考えていきます。
通算打率と二項分布モデルを用いた記録更新確率
秋山はレギュラー定着した2012年以降、2015年9月13日までに1997打数594安打を記録しています。
打率.297(=594/1997)を運の要素を排除した「秋山の真の打率」と仮定して、
「打数を記録した場合に29.7%の確率でヒットを打つ」と仮定します。
この場合、秋山はどのくらいの確率でシーズン安打記録を更新できるのでしょうか?

左端の数値は「二項分布により予想される達成確率」を示します。
マット・マートンの持つシーズン安打記録更新は66%の確率で達成される見込みとなりました。
かなり高い確率と言えますが、まだまだ確実とは言えない水準です。今後の秋山の頑張りに期待したいですね。
イチローの持つパリーグ記録の更新は96%で達成される見込みとなっています。
こちらは故障による欠場さえなければ、まず間違いなく達成されるでしょう。
次に、柳田悠岐の日本記録更新確率を考える
まず、柳田悠岐の200安打達成確率について考えていきます。
柳田はレギュラー定着した2013年以降、2015年9月13日までに1288打数425安打を記録しています。
打率.330(=425/1288)を運の要素を排除した「柳田の真の打率」と仮定します。
残り試合で柳田には71打数が与えられると考えられるため、確率は以下のように予想されます。

長谷川勇也の持つ球団記録を更新する確率は15%、球団史上初の200安打は10%となっています。
ここから先を4割近い打率が求められるため、非常に厳しい確率になっています。
現在、柳田は秋山よりも高い打率を記録していますが、高打率に対して安打数がおとなしいのは
秋山が1番、柳田が3番を打っているという背景もありますが、柳田が待球型の打撃スタイルを取っていることも大きな要因です。
柳田は安打と共に四死球も量産しており、現在124試合時点で261出塁を記録していますが、
これは143試合換算で301出塁、王貞治が1974年に記録した日本記録「294出塁」も上回りうるペースとなっています。
柳田はレギュラー定着した2013年以降、2015年9月13日までに1509打席642出塁を記録しています。
出塁率.425(=642/1509)を運の要素を排除した「柳田の真の出塁率」と仮定します。
残り試合で柳田には85打席が与えられると考えられるため、確率は以下のように予想されます。

王貞治の持つシーズン出塁数記録更新の確率は72%、驚くことに秋山翔吾の安打記録更新より高い値が出ています。
2010年に西岡剛と青木宣親が迫っているように、王の持っている中では比較的アンタッチャブル度の低い記録ではありますが、
依然として統一球による打低傾向が続いている中で、柳田は素晴らしい活躍をしていると思います。
数年前まで野手は人材不足と言われていましたが、秋山翔吾と柳田悠岐、そして山田哲人と次世代を担う若手が着々と台頭しています。
先日、21世紀初頭に活躍した歴史的な大打者2人が引退宣言を行いましたが、世代交代は着々と進んでいるようですね。