記事一覧

当ブログについて

NPB2022

NPB2021

選手

打線

投手陣

球場

記録

分析

2015年戦力分析とドラフト 中日ドラゴンズ編

□2015年チーム総合成績
pac2015d1.png pac2015d2.png
それぞれの数値は、各部門で「リーグ平均に対し何点分の利得を作れたか」を示します。
打撃は球場の影響を排除したwRAA[1]、守備はDER守備得点[2]、投球は球場と守備の影響を排除したRSAA[3]を使用しました。

2015年は谷繁捕手兼任監督2年目のシーズンとなりました。
長期的なスパンで見ても、チームの大きな弱みとなっている投手陣にやや改善の兆候が確認できる一方で、
黄金期の中核を担った野手が次々に抜け、野手全体の貢献が年々落ちてきているのは気がかりな点ですが、
若返りは順調に進んでおり、痛みを伴う世代交代の最中にあると考えるべきかもしれませんね。

□2015年ポジション別攻撃評価
D160622.png
各ポジションの先発出場数上位3人について、本拠地を考慮した上で「同ポジションの平均的な選手と比べて何点分チームの得点を増やしたか」をまとめたものです。

右翼の平田良介が大きな利得を生み出す中軸打者に成長したほか、一三塁でルナも例年通り活躍を見せました。
昨季の時点では中堅を除くセンターライン(捕手,二塁,遊撃)が大穴となっていましたが、
捕手では杉山翔大桂依央利、二塁では亀澤恭平、遊撃では遠藤一星が台頭を見せています。
次世代のレギュラー候補を着々と揃えてくる辺り、歴史的にも低迷の少ないチームである中日のしたたかさが窺えるように感じます。

□2015年投球評価
pac2015d4.png
先発投手について「平均的な先発投手と比べて何点分チームの失点を減らしたか
救援投手について「平均的な救援投手と比べて何点分チームの失点を減らしたか」を失点率とFIP[4]の観点から調べたものです。


先発投手陣は若松駿太バルデスの登場によりやや改善しましたが、依然としてチーム最大の弱みとなっています。
他にも大野雄大も上々を投球を見せており、先発陣の柱になれる選手は揃っている印象を受けますが、
絶対的に頭数が足りておらず4番手以降のマイナスが無視できない大きさとなっています。
救援投手陣は又吉克樹福谷浩司の勝ちパターンが崩壊し、終盤に逆転されるケースが目立ちましたが、
救援陣全体の投球内容はそこまで悪いものではなく、試合終盤の投打の噛み合わせの悪さが原因と考えられます。

□総評
昨年に続いて先発投手不足がネックとなり、ローテーションの「裏」で借金を増やした一年となりました。
ドラフトで獲得した即戦力投手が全く定着できなかったのも大きな誤算だったかもしれません。
貯金が作れなくても、試合を作れるイニングイーターをもう少し揃えたいところです。
救援陣は多く試合を落としましたが、又吉克樹祖父江大輔岡田俊哉田島慎二と役者は揃っており、
前述の通り全体の数字ではそこまで悪くありません。良い投手を上手く勝ちパターンに配置する運用が求められます。

野手は中堅を除くセンターラインの入れ替わりが一気に進んだ一年となりましたが、現時点では穴が小さくなった状態に過ぎません。
黄金時代には井端弘和荒木雅博谷繁元信と3人の絶対的レギュラーが収まっていたことを考えると、
強豪に返り咲くためには、チームの強みとなるポジションをこの3つの中から作り出したいところです。
特に遊撃手としては高い打力を持ち、守備もそつなくこなせる遠藤一星には期待がかかります。

□2015年ドラフト
ドラフト1位 小笠原慎之介 18歳 投手  打 東海大相模高
ドラフト2位 佐藤優    22歳 投手  右投打 東北福祉大
ドラフト3位 木下拓哉   23歳 捕手  右投右打 トヨタ自動車
ドラフト4位 福敬登    23歳 投手  打 JR九州 
ドラフト5位 阿部寿樹   25歳 遊撃手 右投右打 Honda
ドラフト6位 石岡諒太   23歳 一塁手 打 JR東日本


1位を除く全員が大社卒で、昨年に続いて即戦力中心のドラフトとなりました。
チームの弱点(投捕二遊)を的確に突く、ツボを押さえた指名だったように感じます。
小笠原慎之介佐藤優福敬登の3人の中から1人でも先発ローテーションに定着させたいところです。

2015年戦力分析

2015年戦力分析 東京ヤクルトスワローズ編
2015年戦力分析 読売ジャイアンツ編
2015年戦力分析 阪神タイガース編
2015年戦力分析 広島東洋カープ編
2015年戦力分析 中日ドラゴンズ編
2015年戦力分析 横浜DeNAベイスターズ編
2015年戦力分析 福岡ソフトバンクホークス編
2015年戦力分析 北海道日本ハムファイターズ編
2015年戦力分析 千葉ロッテマリーンズ編
2015年戦力分析 埼玉西武ライオンズ編
2015年戦力分析 オリックス・バファローズ編
2015年戦力分析 東北楽天ゴールデンイーグルス編

中日ドラゴンズ戦力分析

2014年戦力分析 中日ドラゴンズ編
2015年戦力分析 中日ドラゴンズ編
2017年戦力分析 中日ドラゴンズ編

2015年の二軍を俯瞰する 中日ドラゴンズ編

[1] 参考:Baseball-LAB Archives「打撃指標wOBA」 本拠地補正については2013年-2015年の得点PF値を使用しました。
[2] 参考:Baseball-LAB Archives「
DERでチーム守備力を計測する
[3] 守備補正はDER守備得点を使用しました。本拠地補正については2013年-2015年の得点PF値を使用しました。
[4] FIP投球得点は失点率スケールに変換したものを使用しました。本拠地補正については2013年-2015年の得点PF値を使用しました。

コメント

極端に投手有利な球場がホームで失点の価値が重いことが
特定のリリーフが登板過多に陥る一因になっているように思います
この環境で計算できる先発の不足は致命的ですね

思いきって3点差は勝ちパターン以外の投手を起用しても面白いのではないかと考えたりもしますが
現実にはセーブ、ホールドは選手の査定にも関わってくるでしょうし難しそうです

Re: タイトルなし

カンザスさん、コメントありがとうございます!

横浜スタジアムとか神宮と比べるとナゴヤドームの1点の重みは全然違うので、
確かに終盤における3点差はセーフティリードと言ってもいいような気がしますね。
ただ、仰る通り選手側はホールドやセーブを稼いだ方が査定で有利になりますし、
球団側も「ホールドやセーブを多く稼ぐスター選手」が欲しいでしょうから難しいところです。

ただ、それを差し引いても近年の中日のリリーフ運用を見ていると、
さほど重要でない場面で勝ちパターンの投手が登板するケースが多すぎる印象があります。
この点は同じピッチャーズパークを本拠地としている阪神とはかなり対照的ではないかと思いますが、
もしかしたら両チームの先発の層の厚さの違いが原因かもしれません。

コメントの投稿

非公開コメント

コンテンツ

■2022年シーズンデータ
 ポジション別wRAAと先発救援別RSAA
 セリーグ パリーグ 各種PF


■選手INDEX(球団/五十音/守備)
  De
  西 他消滅球団
 
 

■打線アーカイブ
  De
  西 他消滅球団
 歴代打線得点力評価[-2020]
 歴代打線守備力評価[-2020]

■投手陣アーカイブ
  De
  西 他消滅球団

■打撃に関する記録
 wRAA通算 シーズン チーム
 wRC+通算 シーズン チーム
 BABIP+通算 シーズン チーム
 K%-通算 シーズン チーム
 BB%+通算 シーズン チーム
 ISO+通算 シーズン チーム

■投球に関する記録
 通算 シーズン RSWIN
 通算 シーズン RSWIN(PF/DER)
 通算 シーズン RSWIN(リリーフ)
 RSWINで見る強力ダブルエース
 RSWINで見る強力勝利の方程式

■守備に関する記録
 守備得点

■球場に関する記録
 一軍PF 2021 2020 2019
 二軍PF 2019 2018 2017
 セPF 得点 本塁打 BABIP
単打 二塁打 三塁打
三振 四球 FIP
 パPF 得点 本塁打 BABIP
単打 二塁打 三塁打
三振 四球 FIP
 球場別 東京ド 後楽園
甲子園
バンド ナゴヤ球場
マツダ 広島市民
De 横浜 川崎球場
神宮
PayPay 平和台 大阪球場
西 メラド 小倉球場
京セラ GS神戸 阪急西宮
ZOZO 東京スタジアム
札幌ド 駒沢球場
楽天生命
日本生命 藤井寺

■RCWINに関する記録
 RCWIN歴代記録[-2020]
 通算 シーズン RCWIN
 通算 シーズン RCWIN(PF)
 通算 シーズン RCWIN(PF/POS)
 RCWINで見る強力打撃コンビ
 RCWINで見る強力打撃トリオ
 ポジション別
 

■傑出度に関する記録
 打撃歴代記録[-2020]
 通算 シーズン 打率傑出度
 通算 シーズン 出塁率傑出度
 通算 シーズン 長打率傑出度
 通算 シーズン OPS傑出度
 投球歴代記録[-2020]
 通算 シーズン 防御率傑出度
 通算 シーズン 奪三振率傑出度
 通算 シーズン 与四球率傑出度

■戦力分析とドラフト評価
 2019年一軍分析
  De 西
 2019年二軍分析
  De 西
 2019年補強・ドラフト評価
  De 西
 2017年戦力分析
  De 西
 2015年戦力分析
  De 西
 2014年戦力分析
  De 西
 2013年戦力分析
  De 西
 2015年二軍評価
  De 西
 2015年ファーム得点PFと選手評価
 打順の組み方を眺める
 2016年 セリーグ パリーグ

■選手の個人評価
 ポジション別に最優秀打者を選ぶ
 2017年 セリーグ パリーグ
 2016年 セリーグ パリーグ
 2015年 セリーグ パリーグ
 2014年 セリーグ パリーグ
 2013年 セリーグ パリーグ
 2016年打者の通信簿
  De 西
 2015年打者の通信簿
  De 西
 2014年選手別守備得点と総合貢献
 総括
 簡易WARの答え合わせ2014
 球団史上最高の4人を選ぶ
    De 西
 

■2018年の特筆記事
 現役打者の2000本安打達成確率を考える
 現役20代選手の通算安打(2018年版)

■2017年の特筆記事
 現役20代選手の通算安打(2017年版)
 「8番投手」は珍しいのか?
 2017年各種パークファクター
 2017広島打線は史上最強か?

■2016年の特筆記事
 2016年における2000本安打の展望
 2016年広島打線、得点力向上の要因は?
 2016年各種パークファクター
 パリーグ野手編成と野手運用の私的評価
 セリーグの犠打減少を考える
 糸井嘉男の成績低下リスクを考える


■2015年の特筆記事
 2000本安打の展望
 違反球の再来?2015年セリーグ
 こちらも違反球?2015年パリーグ
 秋山と柳田が挑む、もうひとつの日本記録
 秋山翔吾の安打記録更新の確率を考える
 「余剰安打」で見る、安打新記録の価値
 山田哲人は何位?二塁手シーズンHR記録
 二塁手史上最高の打撃?2015年山田哲人
 30HRと30盗塁の両立
 三浦大輔、23年連続安打
 谷繁元信、27年連続本塁打
 坂本勇人、7年連続二桁本塁打
 阪神タイガース、得失点差-59で貯金
 2015年はどのくらい打低だったのか?
 2015年各種パークファクター

■考察のようななにか
 □分析結果系
 貯金と得失点差の関係を整理する
 徹底比較 ダルビッシュ有と田中将大
 平成の大投手 三浦大輔
 ポスト松井稼頭央時代の遊撃手総合力評価
 恐怖の8番打者
 稲葉篤紀、現役引退表明
 0本塁打のスラッガー
 シーズン二桁本塁打に関する記録
 20盗塁カルテットに関する記録
 ピタゴラス勝率を用いた采配評価の妥当性
 鈴木啓示の先発勝利に関する疑義
 セリーグの野手世代交代に関する考察
 □分析手法系
 RSAAに守備力補正をかける
 守備イニング推定手法の改良案
 RRFの考え方
 外野刺殺指標試案
 外野補殺指標試案
 NPB版oWAR(試案)

■データ置き場
 通算 シーズン 守備位置別安打記録
 通算 シーズン 奪三振率
 通算 シーズン 与四球率
 通算 シーズン K%
 通算 シーズン BB%
 通算 シーズン wSB(盗塁得点)
 投手のシーズン本塁打記録
 セパ年度別 打低打高早見表
 年度別タイトル・表彰獲得者一覧
 平成時代のポジション別最多安打打者
 日本時代のイチローの全試合成績


■当ブログのデータについて
 Kazmix World
 日本プロ野球記録
 スタメンデータベース
 日本プロ野球私的統計研究会
 を参考にさせていただいています。

■お問い合わせ
 ご意見ご感想、間違いのご指摘など
 お問い合わせは コメント欄 及び
 ranzankeikoku.npbstats★gmail.com
 にお願い致します。(★を@に変換)

Twitter

検索フォーム

訪問者カウンター