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2015年戦力分析とドラフト 読売ジャイアンツ編

□2015年チーム総合成績
pac2015g1.png pac2015g2.png
それぞれの数値は、各部門で「リーグ平均に対し何点分の利得を作れたか」を示します。
打撃は球場の影響を排除したwRAA[1]、守備はDER守備得点[2]、投球は球場と守備の影響を排除したRSAA[3]を使用しました。

2015年は、10年間にわたる第2次原政権における最終シーズンとなりました。
「少ない戦力で...」と評されることも多かった今季の巨人ですが、失点数はセリーグで最も少ない「443」に抑えており、
守備・投球で構成されるディフェンス面に大きな強みを持ったチームだったと言えるでしょう。
一方で攻撃力は2年連続でリーグ平均以下に沈む結果となりましたが、現時点ではチームの致命的な弱点となるには至っていません。

□2015年ポジション別攻撃評価
G160602.png
各ポジションの先発出場数上位3人について、本拠地を考慮した上で「同ポジションの平均的な選手と比べて何点分チームの得点を増やしたか」をまとめたものです。

遊撃手の坂本勇人が例年通りの活躍を見せたほか、捕手の相川亮二が阿部慎之助の穴を埋めました。
二塁手も値自体はマイナスですが片岡治大の活躍が光り、「-7」は山田哲人のヤクルトに次ぐリーグ2番目の数値でした。
一塁手に回った阿部慎之助は50%程度の出場に留まりましたが、一塁手平均以上の打撃を披露しています。

昨年に比べるとポジションの固定率が大きく下がり、マイナスを記録するポジションの多さが目立ちました。
それでも、打線全体の攻撃力は昨年からそこまで変わっていないという結果を見るに、
「捕手阿部」のカードが使えない中、やりくりで攻撃力の低下を上手く抑えたという見方もできるかもしれません。

□2015年投球評価
pac2015g4.png
先発投手について「平均的な先発投手と比べて何点分チームの失点を減らしたか
救援投手について「平均的な救援投手と比べて何点分チームの失点を減らしたか」を失点率とFIP[4]の観点から調べたものです。


先発投手陣は菅野智之マイコラスの2人が柱となって大きな利得を生み出したほか、
FIPを見ると先発平均レベルの投球ができる投手が多く揃い、「ローテーションの谷間」が存在しない状態でした。
今季は年間通して9人の投手が先発登板しましたが、これはセパ全球団で最少の人数です。

救援投手陣は新しく守護神に抜擢された澤村拓一が大車輪の活躍を見せましたが、
チームの3連覇を支えた山口鉄也マシソンは不振に終わるなど、来季に向けて不安の残る内容となっています。

□総評
阿部慎之助の一塁手転向により、第二次原政権における最大のストロングポイントは消滅し、
2007年から続く黄金時代は一区切りを迎えたと評してもよさそうです。
今後も同じような頻度で優勝していくためには、これまでとは違う部分で強みを生み出していくしかありません。

更に近年ではベテラン野手の補強が多かったためか、野手陣全体の高齢化も目立ちました。
井端弘和金城龍彦高橋由伸ら引退者の多かった今季を機に、世代交代による野手陣の再編を図りたいところです。

ポジション別に攻撃面を見ると、マイナスになっているポジションは現時点で5つ存在します。
ただし、一塁手は阿部慎之助の出場機会が伸びればプラス転換も期待できること、
二塁手は前述の事情で数値が低く出ていることに加え、片岡治大の守備貢献の大きさを考えると、
重点的に若手を伸ばしていきたいポジションは、三塁手・左翼手・右翼手の3つではないかと考えられます。

投手陣は、阪神程ではないものの先発投手と救援投手の間に格差が見られます。
救援陣のマイナスがやや気になりますが、澤村拓一と同じように先発から救援に回すことである程度は対応できそうです。

□2015年ドラフト
ドラフト1位 桜井俊貴  22歳 投手  右投右打 立命館大
ドラフト2位 重信慎之介 22歳 外野手 右投打 早稲田大
ドラフト3位 與那原大剛 17歳 投手  右投右打 普天間高
ドラフト4位 宇佐美真吾 22歳 捕手  右投打 城西国際大
ドラフト5位 山本泰寛  22歳 遊撃手 右投右打 慶應義塾大
ドラフト6位 巽大介   18歳 投手  打 岩倉高
ドラフト7位 中川皓太  21歳 投手  打 東海大
ドラフト8位 松崎
啄也  23歳 一・捕 右投右打 日本製紙石巻

先月新たに三軍の設置が告知されましたが、それを見据えてか8人(育成も含めて16人)の大量指名となりました。
矢野謙次が退団、一軍で主力だった高橋由伸金城龍彦に加えてファーム外野最多出場の隠善智也も引退したため、
外野手の人材不足がやや否めません。もう一人くらい外野手を指名しても良かったかもしれませんね。


2015年戦力分析

2015年戦力分析 東京ヤクルトスワローズ編
2015年戦力分析 読売ジャイアンツ編
2015年戦力分析 阪神タイガース編
2015年戦力分析 広島東洋カープ編
2015年戦力分析 中日ドラゴンズ編
2015年戦力分析 横浜DeNAベイスターズ編
2015年戦力分析 福岡ソフトバンクホークス編
2015年戦力分析 北海道日本ハムファイターズ編
2015年戦力分析 千葉ロッテマリーンズ編
2015年戦力分析 埼玉西武ライオンズ編
2015年戦力分析 オリックス・バファローズ編
2015年戦力分析 東北楽天ゴールデンイーグルス編

読売ジャイアンツ戦力分析

2014年戦力分析 読売ジャイアンツ編
2015年戦力分析 読売ジャイアンツ編
2017年戦力分析 読売ジャイアンツ編

2015年の二軍を俯瞰する 読売ジャイアンツ編

[1] 参考:Baseball-LAB Archives「打撃指標wOBA」 本拠地補正については2013年-2015年の得点PF値を使用しました。
[2] 参考:Baseball-LAB Archives「
DERでチーム守備力を計測する
[3] 守備補正はDER守備得点を使用しました。本拠地補正については2013年-2015年の得点PF値を使用しました。
[4] FIP投球得点は失点率スケールに変換したものを使用しました。本拠地補正については2013年-2015年の得点PF値を使用しました。

コメント

No title

坂本はまだ元気ですが、阿部に内海、杉内、「スコット鉄太郎」と近年の黄金期を支えた選手たちの衰えが顕著で
ベテランが引退したこともあり大きな転換期となりそうです
順位には差がありますが、チーム事情としては中日に近い印象を受けます
小林、岡本、立岡、太田と若手~中堅の野手のレギュラー定着が期待されます

三軍制に関して、SBも設立時は育成ドラフトでの大量指名に加え、他球団の戦力外の選手を空いたポジションの穴埋めに取っていました
三軍は期待株なのにチーム事情で二軍の出場機会が少なくなる選手数名のために存在するので、半数は酷な言い方ですが「試合成立要員」だと思います
独立からの大量の育成指名は切りやすさ、後腐れのなさも考えてのことではないでしょうか
SBでは切った後にスタッフとしての雇用や就職斡旋などもある程度行っていたようです
巨人は面倒見がいいほうなので何かしら準備はしているかもしれませんね

Re: No title

カンザスさん、コメントありがとうございます!

力を落とした準レギュラー格のベテランが多く存在するという点も中日とは似ていますね。
野手プロスペクトがある程度揃っているという点では中日の方が世代交代の見通しは良さそうですが、
チームの大きな強みとなる野手を育成できるかどうかというのは、世代交代とはまた別問題なのが難しいところですね。
強豪の地位を維持したいなら巨人は坂本が健在の内に、阿部に代わる新しいストロングポイントを生み出す必要があります。

SBの三軍設立時の事情は初耳でした。育成の方がしがらみが少ないというのは確かに間違いなさそうですね。
ただ、三軍は多くの若手選手を実戦経験に通すことで期待株を振るい分ける役割もあるのかな、と個人的には思っています。

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■2022年シーズンデータ
 ポジション別wRAAと先発救援別RSAA
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■打線アーカイブ
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  西 他消滅球団
 歴代打線得点力評価[-2020]
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 通算 シーズン RSWIN
 通算 シーズン RSWIN(PF/DER)
 通算 シーズン RSWIN(リリーフ)
 RSWINで見る強力ダブルエース
 RSWINで見る強力勝利の方程式

■守備に関する記録
 守備得点

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 二軍PF 2019 2018 2017
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単打 二塁打 三塁打
三振 四球 FIP
 パPF 得点 本塁打 BABIP
単打 二塁打 三塁打
三振 四球 FIP
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 通算 シーズン RCWIN(PF)
 通算 シーズン RCWIN(PF/POS)
 RCWINで見る強力打撃コンビ
 RCWINで見る強力打撃トリオ
 ポジション別
 

■傑出度に関する記録
 打撃歴代記録[-2020]
 通算 シーズン 打率傑出度
 通算 シーズン 出塁率傑出度
 通算 シーズン 長打率傑出度
 通算 シーズン OPS傑出度
 投球歴代記録[-2020]
 通算 シーズン 防御率傑出度
 通算 シーズン 奪三振率傑出度
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■戦力分析とドラフト評価
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 2015年打者の通信簿
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 2014年選手別守備得点と総合貢献
 総括
 簡易WARの答え合わせ2014
 球団史上最高の4人を選ぶ
    De 西
 

■2018年の特筆記事
 現役打者の2000本安打達成確率を考える
 現役20代選手の通算安打(2018年版)

■2017年の特筆記事
 現役20代選手の通算安打(2017年版)
 「8番投手」は珍しいのか?
 2017年各種パークファクター
 2017広島打線は史上最強か?

■2016年の特筆記事
 2016年における2000本安打の展望
 2016年広島打線、得点力向上の要因は?
 2016年各種パークファクター
 パリーグ野手編成と野手運用の私的評価
 セリーグの犠打減少を考える
 糸井嘉男の成績低下リスクを考える


■2015年の特筆記事
 2000本安打の展望
 違反球の再来?2015年セリーグ
 こちらも違反球?2015年パリーグ
 秋山と柳田が挑む、もうひとつの日本記録
 秋山翔吾の安打記録更新の確率を考える
 「余剰安打」で見る、安打新記録の価値
 山田哲人は何位?二塁手シーズンHR記録
 二塁手史上最高の打撃?2015年山田哲人
 30HRと30盗塁の両立
 三浦大輔、23年連続安打
 谷繁元信、27年連続本塁打
 坂本勇人、7年連続二桁本塁打
 阪神タイガース、得失点差-59で貯金
 2015年はどのくらい打低だったのか?
 2015年各種パークファクター

■考察のようななにか
 □分析結果系
 貯金と得失点差の関係を整理する
 徹底比較 ダルビッシュ有と田中将大
 平成の大投手 三浦大輔
 ポスト松井稼頭央時代の遊撃手総合力評価
 恐怖の8番打者
 稲葉篤紀、現役引退表明
 0本塁打のスラッガー
 シーズン二桁本塁打に関する記録
 20盗塁カルテットに関する記録
 ピタゴラス勝率を用いた采配評価の妥当性
 鈴木啓示の先発勝利に関する疑義
 セリーグの野手世代交代に関する考察
 □分析手法系
 RSAAに守備力補正をかける
 守備イニング推定手法の改良案
 RRFの考え方
 外野刺殺指標試案
 外野補殺指標試案
 NPB版oWAR(試案)

■データ置き場
 通算 シーズン 守備位置別安打記録
 通算 シーズン 奪三振率
 通算 シーズン 与四球率
 通算 シーズン K%
 通算 シーズン BB%
 通算 シーズン wSB(盗塁得点)
 投手のシーズン本塁打記録
 セパ年度別 打低打高早見表
 年度別タイトル・表彰獲得者一覧
 平成時代のポジション別最多安打打者
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