□2015年チーム総合成績
それぞれの数値は、各部門で「リーグ平均に対し何点分の利得を作れたか」を示します。
打撃は球場の影響を排除したwRAA[1]、守備はDER守備得点[2]、投球は球場と守備の影響を排除したRSAA[3]を使用しました。
2015年は和田政権4年目にして最後のシーズンとなりました。
打線は平均以上の得点力を持っていたものの、投球と守備で構成されるディフェンス面の凋落が著しく、
20前後の借金を記録しても不思議ではない得失点差の中、厳しいペナントレースを強いられましたが、
70勝71敗の借金1でシーズンを乗り切り、終盤に大失速はあったものの見事にAクラスに滑り込みました。
得失点差「
-85」は、Aクラスチームが記録した得失点差としては12球団制移行後で歴代ワーストとなります。
1位:-85(15年阪神/和田豊) 2位:-73(04年ヤクルト/若松勉+00年中日/星野仙一) 4位:-70(83年大洋/関根潤三) 5位:-58(09年ヤクルト/高田繁)□2015年ポジション別攻撃評価
各ポジションの先発出場数上位3人について、本拠地を考慮した上で「同ポジションの平均的な選手と比べて何点分チームの得点を増やしたか」をまとめたものです。遊撃手の
鳥谷敬、右翼手の
福留孝介らベテラン日本人選手の活躍が目立ったほか、一塁手の
ゴメスも良い働きを見せており、
彼らが務める3ポジションは固定率が非常に高く、打線の攻撃力上昇に大きく寄与する結果となりました。
ただし固定率の低い他ポジションでのマイナス合計値も大きく、一遊右のプラスを食い潰す戦力構成はやや不健全かもしれません。
今後はマイナスを記録した4ポジションを中心に、全体的な打力の底上げが必要となりそうです。
また額面上は微プラスながら、山田哲人により二塁手平均が大幅に引き上げられていることを考慮すれば
上本博紀も良い働きでした。
□2015年投球評価
先発投手について「平均的な先発投手と比べて何点分チームの失点を減らしたか」
救援投手について「平均的な救援投手と比べて何点分チームの失点を減らしたか」を失点率とFIP[4]の観点から調べたものです。先発投手陣は高い奪三振率を記録した
藤浪晋太郎と
メッセンジャーが柱となったのに加え、
岩田稔と
能見篤史もまずまずの働きを見せて規定投球回に到達しており、広島に次ぐ強固な陣容となっています。
5番手以降にもローテーションの谷間を埋められる先発投手がある程度揃っているのも、チームの強みとなりました。
救援投手陣は全体で見るとあまり振るっておらず、チームの得失点差を大幅に悪化させる一因となったのは否めません。
ただし、救援敗戦数はセリーグでは2番目で少ない「15敗」であり、勝敗の絡む場面での失点の少なさが特徴だったと言えます。
□総評攻撃面ではベテラン野手の活躍が目立ちましたが、裏を返せば目ぼしい若手野手の台頭が少ないことを意味しています。
鳥谷敬と
福留孝介も年齢面の不安が拭えなくなっており、早い内に野手の世代交代に手を付けるのが好ましいと言えます。
打撃で光る活躍を見せている
梅野隆太郎、長打に加えて守備も優秀な
江越大賀らポテンシャルの高い若手選手は揃っているため、
もう一皮むけさせて、彼らを出来るだけ早くレギュラーに定着させたいところです。
ただ、心配なのは
鳥谷敬の遊撃守備です。2013年まではリーグの代表する名手でしたが、2年連続で振るわない結果に終わり、
守備貢献の低下は一時的な不調によるものではなく、不可逆的な衰えである可能性が少しずつ高まっています。
勤続疲労の影響も否定できない上に、シーズン中には背骨を骨折していたという報道もありました。
近年中のコンバートも視野に入れつつ、少なくとも遊撃フルイニング起用については見直すべきではないでしょうか。
投手陣を見ると先発投手陣は揃っているものの、救援投手陣は不足するという非常に歪な構成でした。
得失点差に対して実際の勝率が大きく乖離したのは、この辺りの戦力構成に原因があるように個人的には思います。
一般的に先発から救援への転向は容易なのに対し、逆方向はそうでもないのでこのような事態はかなり珍しいと言えます。
投球内容に対して結果が悪い方に乖離する投手が目立ったため、テコ入れの緊急性は野手と比べると低いのではないでしょうか。
□2015年ドラフト
■ドラフト1位 高山俊 22歳 外野手 右投左打 明治大
■ドラフト2位 坂本誠志郎 21歳 捕手 右投右打 明治大
■ドラフト3位 竹安大知 21歳 投手 右投右打 熊本ゴールデンラークス
■ドラフト4位 望月惇志 18歳 投手 右投右打 横浜創学館高
■ドラフト5位 青柳晃洋 21歳 投手 右投右打 帝京大
■ドラフト6位 板山祐太郎 21歳 外野手 右投左打 亜細亜大
マートンが退団濃厚となり、大和も内野手としての出場が増える中で、外野が手薄になる見込みであることを考えると、
大学No.1外野手の呼び声の高い、
高山俊の交渉権を引き当てられたことはチームにとって大きいように感じます。
内野手の指名が無かったのを見ると、首脳陣は
鳥谷敬を当分の間は遊撃手として起用する腹積もりなのでしょうか。
2015年戦力分析
2015年戦力分析 東京ヤクルトスワローズ編2015年戦力分析 読売ジャイアンツ編2015年戦力分析 阪神タイガース編
2015年戦力分析 広島東洋カープ編2015年戦力分析 中日ドラゴンズ編2015年戦力分析 横浜DeNAベイスターズ編2015年戦力分析 福岡ソフトバンクホークス編2015年戦力分析 北海道日本ハムファイターズ編2015年戦力分析 千葉ロッテマリーンズ編2015年戦力分析 埼玉西武ライオンズ編2015年戦力分析 オリックス・バファローズ編2015年戦力分析 東北楽天ゴールデンイーグルス編阪神タイガース戦力分析
2014年戦力分析 阪神タイガース編2015年戦力分析 阪神タイガース編
2017年戦力分析 阪神タイガース編2015年の二軍を俯瞰する 阪神タイガース編[1] 参考:Baseball-LAB Archives「打撃指標wOBA」 本拠地補正については2013年-2015年の得点PF値を使用しました。
[2] 参考:Baseball-LAB Archives「DERでチーム守備力を計測する」
[3] 守備補正はDER守備得点を使用しました。本拠地補正については2013年-2015年の得点PF値を使用しました。
[4] FIP投球得点は失点率スケールに変換したものを使用しました。本拠地補正については2013年-2015年の得点PF値を使用しました。