□2015年チーム総合成績
それぞれの数値は、各部門で「リーグ平均に対し何点分の利得を作れたか」を示します。
打撃は球場の影響を排除したwRAA[1]、守備はDER守備得点[2]、投球は球場と守備の影響を排除したRSAA[3]を使用しました。
チームを16年ぶりのAクラスに導いた野村謙二郎前監督が健康上の問題で退任。
優勝の期待がかかる中、2015年は緒方孝市監督がチームを率いた初年度のシーズンとなりました。
相次ぐ主力打者の不調により打線の得点力は相対的に大きく低下したものの、
黒田博樹・ジョンソンの加入した投手陣がこれをカバー。優勝も狙える戦力が揃っていたと言えますが、
異常事態とも言える得点と失点の噛み合わせの悪さに泣かされ、3年ぶりとなるBクラスに沈みました。
□2015年ポジション別攻撃評価
各ポジションの先発出場数上位3人について、本拠地を考慮した上で「同ポジションの平均的な選手と比べて何点分チームの得点を増やしたか」をまとめたものです。昨年と比較すると主力打者の不振により打線の得点力は低下してしまいましたが、打線の攻撃力は決して低くありませんでした。
攻撃面で大穴となるポジションを作らない、選手層の厚い陣容だったと言えるでしょう。
額面だけ見ると
菊池涼介の務める二塁手がやや大きなマイナスとなっていますが、
今季は山田哲人が平均を大幅に引き上げていることを考慮すれば、そこまで深刻な数値ではないと考えられます。
遊撃手の
田中広輔が攻撃面で光る活躍を見せ、絶対的なレギュラーに定着したほか、
四球と長打を量産した中堅手の
丸佳浩、捕手の
會澤翼も昨季に続いて良い働きを見せました。
□2015年投球評価
先発投手について「平均的な先発投手と比べて何点分チームの失点を減らしたか」
救援投手について「平均的な救援投手と比べて何点分チームの失点を減らしたか」を失点率とFIP[4]の観点から調べたものです。先発投手陣は
前田健太・
ジョンソン・
黒田博樹・
福井優也が4本柱を形成しました。
セリーグ6球団最多の平均投球イニング数を記録したのに加え、投球内容も抜群でした。
ただし、5番手以降の先発投手の成績はやや不安が残る内容だったことは否めず、「狭く深く」の陣容だったようです。
救援投手陣は今季から勝ちパターンに定着した
中崎翔太と
ヒースが良い働きを見せましたが、
試合終盤まで競り合った末に負ける展開が目立ち、前述の失点と得点の噛み合わせの悪さの一つの要因となりました。
□総評編成面では補強の難しいセンターラインに若い生え抜き選手が揃っているのは大きな魅力です。
この脇を外国人選手で上手く固められれば優勝にかなり近付くと思われますが、
今季に関して言えば、満を持して獲得した
グスマンと
シアーホルツが期待に応えられなかったのが響きました。
先発投手陣はチームの大きな強みとなりましたが、
前田健太は流出の可能性が高く、
黒田博樹も年齢面の不安が大きいことから、
長期的な活躍を見込むのは難しい状態となっており、早めに次世代の先発要員を揃えたいところです。
シーズン終盤には前田と黒田が中5日、中4日でローテーションの谷間を塞ぐ展開もしばしば見られたため、
ここを上手く代替できなかった場合、ローテーションの谷間により生じるマイナスが将来的にかなり大きくなる可能性があります。
優秀な得失点を記録しながら4位に沈んだシーズンとなりましたが、
「得失点から予想される勝率」と「実際の勝率」の乖離は、年を跨いで継続しないという傾向が確認されています。
参考来季も同じ内容の野球ができれば、それだけでチームは大きく浮上すると考えられます。
□2015年ドラフト
■ドラフト1位 岡田明丈 22歳 投手 右投左打 大阪商業大
■ドラフト2位 横山弘樹 23歳 投手 右投左打 NTT東日本
■ドラフト3位 高橋樹也 18歳 投手 左投左打 花巻東高
■ドラフト4位 船越涼太 21歳 捕手 右投右打 王子
■ドラフト5位 西川龍馬 20歳 遊撃手 右投左打 王子
■ドラフト6位 仲尾次オスカル 24歳 投手 左投左打 Honda
■ドラフト7位 青木陸 17歳 捕・三 右投右打 山形中央高
1位2位3位で投手を指名する、投手中心のドラフトとなりました。
先発投手陣の駒数の確保という意味では、納得の方針だったと個人的には思うところです。
下位で捕手を2人指名しています。「次の正捕手」はほぼ間違いなく
會澤翼が既定路線になっていると考えられるため、
バックアップ要員としての指名の色が強いかもしれません。
2015年戦力分析
2015年戦力分析 東京ヤクルトスワローズ編2015年戦力分析 読売ジャイアンツ編2015年戦力分析 阪神タイガース編2015年戦力分析 広島東洋カープ編
2015年戦力分析 横浜DeNAベイスターズ編2015年戦力分析 中日ドラゴンズ編2015年戦力分析 福岡ソフトバンクホークス編2015年戦力分析 北海道日本ハムファイターズ編2015年戦力分析 千葉ロッテマリーンズ編2015年戦力分析 埼玉西武ライオンズ編2015年戦力分析 オリックス・バファローズ編2015年戦力分析 東北楽天ゴールデンイーグルス編広島東洋カープ戦力分析
2014年戦力分析 広島東洋カープ編2015年戦力分析 広島東洋カープ編
2017年戦力分析 広島東洋カープ編2020年に向けた戦力分析 広島東洋カープ編2015年の二軍を俯瞰する 広島東洋カープ編[1] 参考:Baseball-LAB Archives「打撃指標wOBA」 本拠地補正については2013年-2015年の得点PF値を使用しました。
[2] 参考:Baseball-LAB Archives「DERでチーム守備力を計測する」
[3] 守備補正はDER守備得点を使用しました。本拠地補正については2013年-2015年の得点PF値を使用しました。
[4] FIP投球得点は失点率スケールに変換したものを使用しました。本拠地補正については2013年-2015年の得点PF値を使用しました。