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2015年戦力分析とドラフト 東北楽天ゴールデンイーグルス編

□2015年チーム総合成績
E160622.png  pap2015e2.png
それぞれの数値は、各部門で「リーグ平均に対し何点分の利得を作れたか」を示します。
打撃は球場の影響を排除したwRAA[1]、守備はDER守備得点[2]、投球は球場と守備の影響を排除したRSAA[3]を使用しました。

2015年シーズンは、大久保博元新監督の1年目にして最後のシーズンとなりました。
投手陣はまずまずの活躍を見せましたが、野手の攻守にわたる貢献の乏しさは致命的で、2年連続の最下位に沈む結果となりました。
投攻守の戦力構成で言えば、セリーグ最下位のDeNAとかなり似通った状況となっています。

□2015年ポジション別攻撃評価
pap2015e9.png
各ポジションの先発出場数上位3人について、本拠地を考慮した上で「同ポジションの平均的な選手と比べて何点分チームの得点を増やしたか」をまとめたものです。

打線の攻撃力の乏しさは、今季チーム最大の弱点となったと言えるでしょう。
終盤には4番に定着した三塁手のウィーラー、捕手の嶋基宏、指名打者のペーニャが良い働きを見せたものの、
捕手・指名打者を除く全ポジションで平均を下回る結果となっており、野手陣全体の底上げが必要な状況です。

今季は銀次が出場機会を大きく落とし、レギュラーの日本人野手は聖澤諒を除いて全員が30代という状態になっており、
世代交代の遅れによるレギュラーの高齢化が少しずつ目立つようになってきています。

□2015年投球評価
pap2015e4.png
先発投手について「平均的な先発投手と比べて何点分チームの失点を減らしたか
救援投手について「平均的な救援投手と比べて何点分チームの失点を減らしたか」を失点率とFIP[4]の観点から調べたものです。


FIPベースの内容評価では、優秀な先発陣に対してそうでない救援陣という全体像が見えてきます。
FIP(内容)と失点率(結果)の乖離がやや大きくなっており、失点率ベースの評価では共に平均程度という結果になっています。

先発投手陣は勝ち星には結びつかなかったものの、エース則本昂大が大車輪の活躍を見せました。
則本の他にも戸村健次菊池保則塩見貴洋美馬学辛島航と中堅の先発投手が揃っており、厚い陣容だったと言えます。
ただし、規定到達投手は則本しか輩出できませんでした。この稼働率の低さはやや気になるところです。

救援投手陣は先発から転向した、2年目で20歳の松井裕樹が絶対的守護神に定着しました。
加えてベテランの青山浩二も復活を遂げ、勝ちパターンを担える投手は揃っていたように感じますが、
勝ちパターン以外の部分でマイナスが多く作り出しており、リリーフ投手の頭数の少なさは懸念材料と言えるかもしれません。

□総評
野手の攻守の貢献が非常に乏しく、抜本的な野手陣の再編は不可欠な状態である上に、
打線の中核を担ったペーニャが退団濃厚となっており、編成次第では更に攻撃力が下がる可能性もあります。
現在のレギュラーの多くが他球団出身者であるのを見ても、自前野手の育成不振が根底に存在するのは否定できないでしょう。

楽天はチーム創設以来、ドラフト上位での野手指名の少なさがチームの特徴となっていますが、
昨季と今季の結果を見るに、こうした投手中心のチーム作りは行き詰まりを迎えたと見るべきかもしれません。

投手陣はエース則本昂大、守護神松井裕樹と大きな柱となる選手が揃っているのは大きな強みとなっていますが、
先発投手陣は則本の脇を固める選手も豊富に揃っている一方、救援投手陣は層の薄さにやや不安が残ります。
来季は、先発陣から救援陣に人員を回すことを考えても良いかもしれません。

□2015年ドラフト
ドラフト1位 オコエ瑠偉 18歳 外野手 右投右打 関東一高
ドラフト2位 吉持亮汰  21歳 遊撃手 右投右打 大阪商業大
ドラフト3位 茂木栄五郎 21歳 三塁手 右投打 早稲田大
ドラフト4位 堀内謙伍  18歳 捕手  右投打 静岡高
ドラフト5位 石橋良太  24歳 投手  右投打 Honda
ドラフト6位 足立祐一  26歳 捕手  右投右打 パナソニック
ドラフト7位 村林一輝  18歳 遊撃手 右投右打 大塚高


1位指名平沢大河を外してしまったものの、外れ1位で高校No.1外野手のオコエ瑠偉を指名。
その後も野手中心の指名が続き、野手6人投手1人のドラフトとなりました。ドラフト方針の見直しがなされたと見てよさそうですね。
楽天首脳陣は今のチームの状態をしっかり捉え、打つべき手を打ってきているように感じました。

2015年戦力分析

2015年戦力分析 東京ヤクルトスワローズ編
2015年戦力分析 読売ジャイアンツ編
2015年戦力分析 阪神タイガース編
2015年戦力分析 広島東洋カープ編
2015年戦力分析 中日ドラゴンズ編
2015年戦力分析 横浜DeNAベイスターズ編
2015年戦力分析 福岡ソフトバンクホークス編
2015年戦力分析 北海道日本ハムファイターズ編
2015年戦力分析 千葉ロッテマリーンズ編
2015年戦力分析 埼玉西武ライオンズ編
2015年戦力分析 オリックス・バファローズ編
2015年戦力分析 東北楽天ゴールデンイーグルス編

東北楽天ゴールデンイーグルス戦力分析

2014年戦力分析 東北楽天ゴールデンイーグルス編
2015年戦力分析 東北楽天ゴールデンイーグルス編
2017年戦力分析 東北楽天ゴールデンイーグルス編

2015年の二軍を俯瞰する 東北楽天ゴールデンイーグルス編

[1] 参考:Baseball-LAB Archives「打撃指標wOBA」 本拠地補正については2013年-2015年の得点PF値を使用しました。
[2] 参考:Baseball-LAB Archives「
DERでチーム守備力を計測する
[3] 守備補正はDER守備得点を使用しました。本拠地補正については2013年-2015年の得点PF値を使用しました。
[4] FIP投球得点は失点率スケールに変換したものを使用しました。本拠地補正については2013年-2015年の得点PF値を使用しました。

コメント

No title

設立の経緯から、早急に戦えるチームにするためにディフェンスは投手に、長打力は外国人と外様に頼るチーム構成になるのは致し方ないことですが
あまりにも上位指名が投手に偏りすぎていましたね
今年は平沢を外したのは痛いですが、腰を据えて野手を育成する意志が見えるいい指名だったと思います

ただ現状の貧打線からさらにペーニャまで抜け、松井裕樹は先発転向という話ですので、投打とも新外国人が当たらなければ苦しい戦いになりそうです
先発の粒はそろっているのでリリーフの強化がしやすいのは幸いですね

またテスト入団で栗原、金無英、川本、山内、FAで今江の獲得を目指すなど積極的に補強をしていますが
大きく利得を伸ばすより穴埋めの色が濃いように思います
数年は最低限の形を整えて育成期間を設け、野手が育ったところで勝負をかけるつもりなのかもしれません

ペーニャ選手の四球の多さは知っていましたが、ここまで大きな得点利益を上げてるのは驚きでした(他のポジションが低いせいで相対的に高く見えるだけなのかもしれませんが…)

年齢の影響もあるのでしょうが、ここまでの選手を手放すのはもったいない気がしますね

Re: No title

カンザスさん、コメントありがとうございます!

来季の楽天は良くも悪くも新外国人の出来次第でしょうね。

松井は折角リリーフであれだけの結果を出しているのに、先発に戻すのは勿体ないような気がしますね。
先発に戻したからと言ってリリーフと同じようなピッチングができるわけではないですし...

Re: タイトルなし

開聞岳さん、コメントありがとうございます!

ペーニャは猛者揃いのDHの中でこれだけの利得を稼げているので、かなり優秀だと思います。
4番打者は勝負強さとか打点とか「帰す能力」ばかりに目が行きますが、(ペーニャが切られた理由もこれだと言われていますが)
出塁率が高いため、得点数も1位の松井稼頭央と1点差でチーム2番目なんですよね。「帰る能力」でかなり稼いでいます。

推定年俸は7000万円だそうですが、同じ資金でこれだけの選手を連れてくるのはなかなか難しいんじゃないかなと。

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コンテンツ

■2022年シーズンデータ
 ポジション別wRAAと先発救援別RSAA
 セリーグ パリーグ 各種PF


■選手INDEX(球団/五十音/守備)
  De
  西 他消滅球団
 
 

■打線アーカイブ
  De
  西 他消滅球団
 歴代打線得点力評価[-2020]
 歴代打線守備力評価[-2020]

■投手陣アーカイブ
  De
  西 他消滅球団

■打撃に関する記録
 wRAA通算 シーズン チーム
 wRC+通算 シーズン チーム
 BABIP+通算 シーズン チーム
 K%-通算 シーズン チーム
 BB%+通算 シーズン チーム
 ISO+通算 シーズン チーム

■投球に関する記録
 通算 シーズン RSWIN
 通算 シーズン RSWIN(PF/DER)
 通算 シーズン RSWIN(リリーフ)
 RSWINで見る強力ダブルエース
 RSWINで見る強力勝利の方程式

■守備に関する記録
 守備得点

■球場に関する記録
 一軍PF 2021 2020 2019
 二軍PF 2019 2018 2017
 セPF 得点 本塁打 BABIP
単打 二塁打 三塁打
三振 四球 FIP
 パPF 得点 本塁打 BABIP
単打 二塁打 三塁打
三振 四球 FIP
 球場別 東京ド 後楽園
甲子園
バンド ナゴヤ球場
マツダ 広島市民
De 横浜 川崎球場
神宮
PayPay 平和台 大阪球場
西 メラド 小倉球場
京セラ GS神戸 阪急西宮
ZOZO 東京スタジアム
札幌ド 駒沢球場
楽天生命
日本生命 藤井寺

■RCWINに関する記録
 RCWIN歴代記録[-2020]
 通算 シーズン RCWIN
 通算 シーズン RCWIN(PF)
 通算 シーズン RCWIN(PF/POS)
 RCWINで見る強力打撃コンビ
 RCWINで見る強力打撃トリオ
 ポジション別
 

■傑出度に関する記録
 打撃歴代記録[-2020]
 通算 シーズン 打率傑出度
 通算 シーズン 出塁率傑出度
 通算 シーズン 長打率傑出度
 通算 シーズン OPS傑出度
 投球歴代記録[-2020]
 通算 シーズン 防御率傑出度
 通算 シーズン 奪三振率傑出度
 通算 シーズン 与四球率傑出度

■戦力分析とドラフト評価
 2019年一軍分析
  De 西
 2019年二軍分析
  De 西
 2019年補強・ドラフト評価
  De 西
 2017年戦力分析
  De 西
 2015年戦力分析
  De 西
 2014年戦力分析
  De 西
 2013年戦力分析
  De 西
 2015年二軍評価
  De 西
 2015年ファーム得点PFと選手評価
 打順の組み方を眺める
 2016年 セリーグ パリーグ

■選手の個人評価
 ポジション別に最優秀打者を選ぶ
 2017年 セリーグ パリーグ
 2016年 セリーグ パリーグ
 2015年 セリーグ パリーグ
 2014年 セリーグ パリーグ
 2013年 セリーグ パリーグ
 2016年打者の通信簿
  De 西
 2015年打者の通信簿
  De 西
 2014年選手別守備得点と総合貢献
 総括
 簡易WARの答え合わせ2014
 球団史上最高の4人を選ぶ
    De 西
 

■2018年の特筆記事
 現役打者の2000本安打達成確率を考える
 現役20代選手の通算安打(2018年版)

■2017年の特筆記事
 現役20代選手の通算安打(2017年版)
 「8番投手」は珍しいのか?
 2017年各種パークファクター
 2017広島打線は史上最強か?

■2016年の特筆記事
 2016年における2000本安打の展望
 2016年広島打線、得点力向上の要因は?
 2016年各種パークファクター
 パリーグ野手編成と野手運用の私的評価
 セリーグの犠打減少を考える
 糸井嘉男の成績低下リスクを考える


■2015年の特筆記事
 2000本安打の展望
 違反球の再来?2015年セリーグ
 こちらも違反球?2015年パリーグ
 秋山と柳田が挑む、もうひとつの日本記録
 秋山翔吾の安打記録更新の確率を考える
 「余剰安打」で見る、安打新記録の価値
 山田哲人は何位?二塁手シーズンHR記録
 二塁手史上最高の打撃?2015年山田哲人
 30HRと30盗塁の両立
 三浦大輔、23年連続安打
 谷繁元信、27年連続本塁打
 坂本勇人、7年連続二桁本塁打
 阪神タイガース、得失点差-59で貯金
 2015年はどのくらい打低だったのか?
 2015年各種パークファクター

■考察のようななにか
 □分析結果系
 貯金と得失点差の関係を整理する
 徹底比較 ダルビッシュ有と田中将大
 平成の大投手 三浦大輔
 ポスト松井稼頭央時代の遊撃手総合力評価
 恐怖の8番打者
 稲葉篤紀、現役引退表明
 0本塁打のスラッガー
 シーズン二桁本塁打に関する記録
 20盗塁カルテットに関する記録
 ピタゴラス勝率を用いた采配評価の妥当性
 鈴木啓示の先発勝利に関する疑義
 セリーグの野手世代交代に関する考察
 □分析手法系
 RSAAに守備力補正をかける
 守備イニング推定手法の改良案
 RRFの考え方
 外野刺殺指標試案
 外野補殺指標試案
 NPB版oWAR(試案)

■データ置き場
 通算 シーズン 守備位置別安打記録
 通算 シーズン 奪三振率
 通算 シーズン 与四球率
 通算 シーズン K%
 通算 シーズン BB%
 通算 シーズン wSB(盗塁得点)
 投手のシーズン本塁打記録
 セパ年度別 打低打高早見表
 年度別タイトル・表彰獲得者一覧
 平成時代のポジション別最多安打打者
 日本時代のイチローの全試合成績


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