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2015年戦力分析とドラフト 埼玉西武ライオンズ編

□2015年チーム総合成績
L160622.png  pap2015l2.png
それぞれの数値は、各部門で「リーグ平均に対し何点分の利得を作れたか」を示します。
打撃は球場の影響を排除したwRAA[1]、守備はDER守備得点[2]、投球は球場と守備の影響を排除したRSAA[3]を使用しました。

前年の田辺徳雄監督代行が正式に監督に昇格し、指揮を取る形となりました。
近年では中島裕之片岡易之ら2008年優勝時メンバーの流出が相次ぐなか、上手く世代交代を成功させ、
優勝時以降では野手陣が最も大きい攻守にわたる貢献を記録したシーズンとなりました。

ただし、優秀な得失点差(+58)を記録したのに対して、勝率はぴったり5割(69勝69敗5分)と勝ち星に恵まれず、
2年連続Bクラスに沈む結果に終わっています。これは歴史的な強豪チームである西武にとっては34年ぶりの事態でした。

□2015年ポジション別攻撃評価
L160621.png
各ポジションの先発出場数上位3人について、本拠地を考慮した上で「同ポジションの平均的な選手と比べて何点分チームの得点を増やしたか」をまとめたものです。

マット・マートンの保持するシーズン最多安打記録を更新した中堅手の秋山翔吾
今季も本塁打王を獲得した三塁手の中村剛也、二塁手としては高い長打力を持つ浅村栄斗が打線を大きく引っ張りました。
弱冠20歳の森友哉も、DHに入る強打者と比較しても遜色ない貢献を見せています。

炭谷銀仁朗がほぼ通年で務めた捕手はやや物足りない数値であるほか、固定率の低い遊撃手と右翼手が穴となっています。
弱点がはっきりしている手の打ちやすい状態であり、編成次第で野手貢献の上積みはまだまだ狙えるのではないでしょうか。

□2015年投球評価
pap2015l4.png
先発投手について「平均的な先発投手と比べて何点分チームの失点を減らしたか
救援投手について「平均的な救援投手と比べて何点分チームの失点を減らしたか」を失点率とFIP[4]の観点から調べたものです。


先発投手陣はエース岸孝之が出遅れる中、先発に専念した十亀剣がイニングイーターとして十分な働きを見せて穴を埋めました。
岸・十亀の他にも、牧田和久菊池雄星など貯金が期待できる投手が現時点でも揃っているため、
彼らの中から規定到達者を多く出すことが出来れば、先発陣はチームの大きな強みとなるかもしれません。

救援投手陣は、昨季の守護神高橋朋己が後半戦に大きく調子を落としました。
一方、3年目の増田達至がリーグ最多の72試合に登板し、新しくセットアッパーに定着しました。
防御率は3点台とリリーフにしてはやや物足りませんが投球内容は抜群で、来季は防御率向上が期待できます。

□総評
投手陣に関しては誤算も少々ありましたが、野手陣は浅村栄斗栗山巧秋山翔吾中村剛也の4人がほぼ通年で出場し、
キャリアハイに近い打撃成績を残した選手も多く、ほぼポテンシャル通りの力を出せたシーズンだったと言えます。
実際に記録された得失点差は+58点で2008年優勝時(+89点)以来の高水準でしたが、
得点と失点の噛み合わせの悪さに泣かされ4位に沈みました。そうした観点から見ると勿体ないシーズンだったかもしれません。

野手陣は全体を見ると攻撃面でも守備面でもレベルの高い布陣となっていますが、
明確に穴と言えるポジションが3つ存在するため、前述の通り編成次第ではまだまだ上積みが狙えそうです。
特に右翼手は終盤に脇谷亮太が収まったものの、FA移籍の可能性が濃厚となっており後任探しの緊急性は高いと言えます。
遊撃手は守備に秀でる金子侑司を固定できれば穴は塞がる見込みが強いです。今季は故障離脱が響きました。
捕手は炭谷銀仁朗の打力がやや物足りないのは否めません。森友哉を起用しても面白いかもしれませんね。

投手陣は先発陣の失点率の悪さがチームの弱みとなりましたが、FIPベースで見る投球内容は悪くありませんでした。
岸孝之の他に20代の力のある先発投手が揃っているほか、高橋光成ら二軍で結果を出している有望選手も多く、
長期的に見れば改善に向かう傾向が強いように見えるため、そこまで深刻な状況ではないように感じます。
一方で救援陣は現状では高橋朋己増田達至の2人頼みなのが否めず、こちらは頭数をもう少し確保したいところです。

□2015年ドラフト
ドラフト*1位 多和田真三郎 22歳 投手  右投右打 富士大
ドラフト*2位 川越誠司   22歳 投手  打 北海学園大
ドラフト*3位 野田昇吾   22歳 投手  打 西濃運輸
ドラフト*4位 大瀧愛斗   18歳 外野手 右投右打 花坂徳栄高
ドラフト*5位 南川忠亮   23歳 投手  右投右打 JR四国
ドラフト*6位 本田圭佑   22歳 投手  右投右打 東北学院大
ドラフト*7位 呉念庭    22歳 二塁手 右投打 第一工業大
ドラフト*8位 國場翼    21歳 投手  右投打 第一工業大
ドラフト*9位 藤田航生   17歳 投手  打 弘前工高
ドラフト10位 松本直晃   24歳 投手  右投右打 香川オリーブガイナーズ

オリックスに並ぶ最多の10人を指名し、投手8人野手2人の投手中心ドラフトとなりました。
森友哉を捕手として勘定に入れれば、野手指名は弱点の遊撃手と右翼手に対応しているように見えます。
西武の二軍は投手のプロスペクト(有望選手)がある程度揃っている一方で、
野手は若手選手は数自体がやや枯渇気味であるように感じるため、野手の指名をもっと増やしてもよかったと思います。

2015年戦力分析

2015年戦力分析 東京ヤクルトスワローズ編
2015年戦力分析 読売ジャイアンツ編
2015年戦力分析 阪神タイガース編
2015年戦力分析 広島東洋カープ編
2015年戦力分析 中日ドラゴンズ編
2015年戦力分析 横浜DeNAベイスターズ編
2015年戦力分析 福岡ソフトバンクホークス編
2015年戦力分析 北海道日本ハムファイターズ編
2015年戦力分析 千葉ロッテマリーンズ編
2015年戦力分析 埼玉西武ライオンズ編
2015年戦力分析 オリックス・バファローズ編
2015年戦力分析 東北楽天ゴールデンイーグルス編

埼玉西武ライオンズ戦力分析

2014年戦力分析 埼玉西武ライオンズ編
2015年戦力分析 埼玉西武ライオンズ編
2017年戦力分析 埼玉西武ライオンズ編

2015年の二軍を俯瞰する 埼玉西武ライオンズ編

[1] 参考:Baseball-LAB Archives「打撃指標wOBA」 本拠地補正については2013年-2015年の得点PF値を使用しました。
[2] 参考:Baseball-LAB Archives「
DERでチーム守備力を計測する
[3] 守備補正はDER守備得点を使用しました。本拠地補正については2013年-2015年の得点PF値を使用しました。
[4] FIP投球得点は失点率スケールに変換したものを使用しました。本拠地補正については2013年-2015年の得点PF値を使用しました。

コメント

No title

西武に限ったことではありませんが、捕手はブロック・タックルの規制が始まり、故障のリスクが軽減されました
森や近藤など若く打力のある選手を積極起用する追い風になるかもしれません

投手は菊池が不調を脱し、高橋光成が力の片鱗を見せるなど若いローテ候補がいるのは大きいですね
ただ層が薄いリリーフから田中が戦力外になったのは意外でした
今年の防御率は出来すぎとしても老け込む年でもないですし、トライアウトにも出ていたので致命的な故障だとも思われないのですが…

Re: No title

カンザスさん、コメントありがとうございます!

> 西武に限ったことではありませんが、捕手はブロック・タックルの規制が始まり、故障のリスクが軽減されました
> 森や近藤など若く打力のある選手を積極起用する追い風になるかもしれません
朗報ですよね。捕手と言うポジション自体の守備負担が少しでも減ってくれるとよいのですが。
阿部慎之助の一塁手転向も決定打は頸椎ヘルニアだったそうですね。

> ただ層が薄いリリーフから田中が戦力外になったのは意外でした
> 今年の防御率は出来すぎとしても老け込む年でもないですし、トライアウトにも出ていたので致命的な故障だとも思われないのですが…
田中はイニングは少ないですが、失点率ベースのRSAAは西武救援陣で一番の数字でしたね。
この成績でもこうした判断になるのなら、前年の間に切っておく方が枠が空いて編成上でも良いような気もしますが。
外部からは見えないような事情が何かしらあるのでしょうか。

No title

今更ではありますが、総評の部分、浅村栄斗が二人居ます。秋山だろうと察しはつきますが修正の方よろしくお願いします

Re: No title

名無しのヤンカスさん、ご指摘ありがとうございます!
仰る通り秋山の誤りです。修正しました。
今後ともご指導のほどよろしくおねがいします。

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コンテンツ

■2022年シーズンデータ
 ポジション別wRAAと先発救援別RSAA
 セリーグ パリーグ 各種PF


■選手INDEX(球団/五十音/守備)
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  西 他消滅球団
 
 

■打線アーカイブ
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  西 他消滅球団
 歴代打線得点力評価[-2020]
 歴代打線守備力評価[-2020]

■投手陣アーカイブ
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  西 他消滅球団

■打撃に関する記録
 wRAA通算 シーズン チーム
 wRC+通算 シーズン チーム
 BABIP+通算 シーズン チーム
 K%-通算 シーズン チーム
 BB%+通算 シーズン チーム
 ISO+通算 シーズン チーム

■投球に関する記録
 通算 シーズン RSWIN
 通算 シーズン RSWIN(PF/DER)
 通算 シーズン RSWIN(リリーフ)
 RSWINで見る強力ダブルエース
 RSWINで見る強力勝利の方程式

■守備に関する記録
 守備得点

■球場に関する記録
 一軍PF 2021 2020 2019
 二軍PF 2019 2018 2017
 セPF 得点 本塁打 BABIP
単打 二塁打 三塁打
三振 四球 FIP
 パPF 得点 本塁打 BABIP
単打 二塁打 三塁打
三振 四球 FIP
 球場別 東京ド 後楽園
甲子園
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マツダ 広島市民
De 横浜 川崎球場
神宮
PayPay 平和台 大阪球場
西 メラド 小倉球場
京セラ GS神戸 阪急西宮
ZOZO 東京スタジアム
札幌ド 駒沢球場
楽天生命
日本生命 藤井寺

■RCWINに関する記録
 RCWIN歴代記録[-2020]
 通算 シーズン RCWIN
 通算 シーズン RCWIN(PF)
 通算 シーズン RCWIN(PF/POS)
 RCWINで見る強力打撃コンビ
 RCWINで見る強力打撃トリオ
 ポジション別
 

■傑出度に関する記録
 打撃歴代記録[-2020]
 通算 シーズン 打率傑出度
 通算 シーズン 出塁率傑出度
 通算 シーズン 長打率傑出度
 通算 シーズン OPS傑出度
 投球歴代記録[-2020]
 通算 シーズン 防御率傑出度
 通算 シーズン 奪三振率傑出度
 通算 シーズン 与四球率傑出度

■戦力分析とドラフト評価
 2019年一軍分析
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 2019年二軍分析
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 2019年補強・ドラフト評価
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 2017年戦力分析
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 2014年戦力分析
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 2013年戦力分析
  De 西
 2015年二軍評価
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 2015年ファーム得点PFと選手評価
 打順の組み方を眺める
 2016年 セリーグ パリーグ

■選手の個人評価
 ポジション別に最優秀打者を選ぶ
 2017年 セリーグ パリーグ
 2016年 セリーグ パリーグ
 2015年 セリーグ パリーグ
 2014年 セリーグ パリーグ
 2013年 セリーグ パリーグ
 2016年打者の通信簿
  De 西
 2015年打者の通信簿
  De 西
 2014年選手別守備得点と総合貢献
 総括
 簡易WARの答え合わせ2014
 球団史上最高の4人を選ぶ
    De 西
 

■2018年の特筆記事
 現役打者の2000本安打達成確率を考える
 現役20代選手の通算安打(2018年版)

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 現役20代選手の通算安打(2017年版)
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 2016年広島打線、得点力向上の要因は?
 2016年各種パークファクター
 パリーグ野手編成と野手運用の私的評価
 セリーグの犠打減少を考える
 糸井嘉男の成績低下リスクを考える


■2015年の特筆記事
 2000本安打の展望
 違反球の再来?2015年セリーグ
 こちらも違反球?2015年パリーグ
 秋山と柳田が挑む、もうひとつの日本記録
 秋山翔吾の安打記録更新の確率を考える
 「余剰安打」で見る、安打新記録の価値
 山田哲人は何位?二塁手シーズンHR記録
 二塁手史上最高の打撃?2015年山田哲人
 30HRと30盗塁の両立
 三浦大輔、23年連続安打
 谷繁元信、27年連続本塁打
 坂本勇人、7年連続二桁本塁打
 阪神タイガース、得失点差-59で貯金
 2015年はどのくらい打低だったのか?
 2015年各種パークファクター

■考察のようななにか
 □分析結果系
 貯金と得失点差の関係を整理する
 徹底比較 ダルビッシュ有と田中将大
 平成の大投手 三浦大輔
 ポスト松井稼頭央時代の遊撃手総合力評価
 恐怖の8番打者
 稲葉篤紀、現役引退表明
 0本塁打のスラッガー
 シーズン二桁本塁打に関する記録
 20盗塁カルテットに関する記録
 ピタゴラス勝率を用いた采配評価の妥当性
 鈴木啓示の先発勝利に関する疑義
 セリーグの野手世代交代に関する考察
 □分析手法系
 RSAAに守備力補正をかける
 守備イニング推定手法の改良案
 RRFの考え方
 外野刺殺指標試案
 外野補殺指標試案
 NPB版oWAR(試案)

■データ置き場
 通算 シーズン 守備位置別安打記録
 通算 シーズン 奪三振率
 通算 シーズン 与四球率
 通算 シーズン K%
 通算 シーズン BB%
 通算 シーズン wSB(盗塁得点)
 投手のシーズン本塁打記録
 セパ年度別 打低打高早見表
 年度別タイトル・表彰獲得者一覧
 平成時代のポジション別最多安打打者
 日本時代のイチローの全試合成績


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