記事一覧

当ブログについて

NPB2022

NPB2021

選手

打線

投手陣

球場

記録

分析

2015年の二軍を俯瞰する 埼玉西武ライオンズ編

埼玉西武ライオンズ一軍の弱みは? 

2015年は69勝69敗5分で勝率.500を記録し、2年連続のBクラスに沈みました。詳しくは2015年戦力分析とドラフトを参照。

投手は奪三振・与四球・被本塁打の評価では、先発救援共にパリーグ平均程度の投球内容でした。
年齢を見てもエースの岸孝之を除く主力投手のほとんどが20代であり、世代交代の緊急性は低いものの、
リーグ最多の72登板を記録した増田達至を始め、60登板以上の投手が3人と一部の救援投手に強い負荷がかかっています。

野手はwRAAによるポジション別の打撃得点と、DELTA社のUZRによるポジション別の守備得点を見ると、
レギュラーの炭谷銀仁朗が打撃不振に陥った捕手、固定率の低かった遊撃手と右翼手が攻撃面でマイナスを計上しています。
捕手は森友哉の転向によりマイナス幅は縮小される見込みであるため、残る遊撃手と右翼手の補填を狙いたいところです。

埼玉西武ライオンズ二軍投手を俯瞰する

paf2015l5.png 
※失点率ベース投球得点はDERに基づいて守備補正をかけたものを使用しました。
※FIPベース投球得点は失点率スケールに変換したものを使用しました。


20代後半を迎えても一軍に定着できていない投手を多く抱える一方、若手がチーム投球回上位の多くを占めています。
チーム防御率3.52はイースタンリーグ7チーム中4位で、リーグ平均防御率(3.61)より優秀な値ですが、
チームFIP4.01は最下位のヤクルト(4.07)とほぼ横並びで6位の数値となっており、野手陣のサポートが大きかったようです。

埼玉西武ライオンズ二軍野手を俯瞰する

paf2015l1.png
※リーグ全体平均に対する各ポジションの平均打力は、1996年-2015年における一軍ポジション別wOBAを元に算出しました。

ベテランは少ないものの20代前半の若手も少なく、二軍レギュラーの多くが働き盛りの20代中盤を迎えつつあります。
育成のサイクルを考えれば彼らをそろそろ一軍に送り出し、次世代の選手育成に手を付け始めなければならない時期でしょう。

選手輩出を狙いたいポジションの状況

救援は28歳の田中靖洋がチーム最多の11セーブを記録し、シーズン終盤には一軍に定着したものの戦力外となりました。
これは「今季の防御率はフロック」と首脳陣が判断した為かもしれません。二軍では奪三振と与四球がほぼ同数でした。
他には24歳の福倉健太郎が優秀な防御率を記録したものの、FIPとの乖離の大きさから成績の再現性には疑問を残しています。

遊撃手は金子侑司が離脱した一軍に大卒ルーキーの外崎修汰を送り出すことが出来ましたが、
鬼崎裕司渡辺直人を上手く固定できず、決め手を欠いた上での消極的な選択であったことは否めません。
二軍最多の27盗塁を決めた高い機動力は大きな武器であるだけに、それを活かすため打撃のもう一伸びが欲しいところです。

右翼手は一軍レギュラーだった27歳の木村文紀の調整出場が多くを占める状態になってしまいました。
22歳の駒月仁人がチーム最多タイの11HRを放つなど、長打力の面で大きな成長を見せたのは収穫でしたが、
コンタクトの悪さによる低打率がネックとなっています。一軍で起用するためには三振率の改善は不可欠でしょう。

期待の若手は山川穂高(三)、高橋光成(投)、誠(投)

山川穂高は大卒2年目の24歳。主に一三塁で出場し、外国人打者と張り合うことも可能な打撃能力が持ち味です。
奪四球力・長打力・コンタクト力の全てで二軍平均を大幅に上回っており、現時点ではファーム最強打者の一人でしょう。
森友哉の捕手転向により、DHでの出場枠に余裕のできる来季を定着の足掛かりとしたいところです。

高橋光成は高卒1年目の18歳。ルーキーイヤーの今季は8月に一軍に昇格すると、破竹の勢いで勝ち星を重ねました。
二軍での投球内容は平均レベルにとどまるものの、年齢を考えれば将来性を感じさせるには十分な成績でした。
一軍では防御率と投球内容の乖離が大きいため、今季と同じように勝つためにはもう一つステップアップが求められます。

こと相内誠は高卒3年目の21歳。入団の経緯こそ一癖ありましたが、首脳陣の期待を背負って起用された結果、
今季はファーム最多の142 1/3投球回を消化し、こちらもファーム最多の12勝をあげるなど才能が開花しました。
8を超える高い奪三振率は大きな魅力です。来季は一軍定着に向け、課題の制球面を改善させたいところです。

今後、選手の補充が必要なポジション

投手は30歳前後の年齢帯を中心に、多くの中堅~ベテラン選手が戦力外となりました。
2015年のドラフトでは投手を8人指名していますが、これは二軍投手の欠員補充に対応したものだと考えられます。

野手では戦力化できていない20代後半の外野手が多く目立ち、若手の出場機会が圧迫される形になっています。
25歳以下の若手は前述の駒月仁人だけであり、一軍の穴である右翼手に選手を送り出せる状況を作れていないのは欠点です。
近い将来において投手陣と同じようにメスを入れ、戦力整理を進める必要があるのではないでしょうか。

2015年西武打線二軍  
※「○○+」はBABIP、三振/打席(K%)、四球/打席(BB%)の傑出度を示す
※「ISO+」は長打率傑出度と打率傑出度の差から算出したISOの傑出度を示す


2015年の二軍を俯瞰する
2015年の二軍を俯瞰する 福岡ソフトバンクホークス編
2015年の二軍を俯瞰する 北海道日本ハムファイターズ編
2015年の二軍を俯瞰する 千葉ロッテマリーンズ編
2015年の二軍を俯瞰する 埼玉西武ライオンズ編
2015年の二軍を俯瞰する オリックス・バファローズ編
2015年の二軍を俯瞰する 東北楽天ゴールデンイーグルス編
2015年の二軍を俯瞰する 東京ヤクルトスワローズ編
2015年の二軍を俯瞰する 読売ジャイアンツ編
2015年の二軍を俯瞰する 阪神タイガース編
2015年の二軍を俯瞰する 広島東洋カープ編
2015年の二軍を俯瞰する 中日ドラゴンズ編
2015年の二軍を俯瞰する 横浜DeNAベイスターズ編

コメント

投打ともトッププロスペクトの出場機会は確保できていますが、戦力化できていない中堅選手も多く
将来的な世代交代を考えると、今オフに大鉈を振るったのは英断だと思います
もう少し野手を取っても良かったのではと感じますが
坂田、木村、田代、熊代あたりが一軍戦力になれるかどうかを来年見極めた上で、一気に入れ換えを図る方針かもしれません

山川は二軍でやることはないと言い切っていいですが、ポジションの関係で一軍の出場機会が限られるのは勿体無いですね
故障がちな中村の負担軽減を考え、DHとサードで入れ換えながら起用するのもありかと思います

投手に関して、一軍はローテを崩してリリーフに回しながら凌いでいる現状があり、もう1枚専門のセットアップが欲しいですね
誠はリリーフで即戦力になりうると見ていますが、先発で好成績を残していますので
いずれは先発から一人後ろに回して、ローテを高橋と共に埋めてもらうのも面白いかもしれません
さすがに来年からやるのは未知数な部分が多く、かなりのギャンブルになってしまいますが…

Re: タイトルなし

カンザスさん、コメントありがとうございます!

選手の年齢層を見る印象では、外野手も来季辺りに大鉈が振るわれるかもしれません。
山川は将来がとても楽しみですね。来季は森友哉の捕手転向でできるDHの穴に入り込めるかどうかがポイントと見ています。

コメントの投稿

非公開コメント

コンテンツ

■2022年シーズンデータ
 ポジション別wRAAと先発救援別RSAA
 セリーグ パリーグ 各種PF


■選手INDEX(球団/五十音/守備)
  De
  西 他消滅球団
 
 

■打線アーカイブ
  De
  西 他消滅球団
 歴代打線得点力評価[-2020]
 歴代打線守備力評価[-2020]

■投手陣アーカイブ
  De
  西 他消滅球団

■打撃に関する記録
 wRAA通算 シーズン チーム
 wRC+通算 シーズン チーム
 BABIP+通算 シーズン チーム
 K%-通算 シーズン チーム
 BB%+通算 シーズン チーム
 ISO+通算 シーズン チーム

■投球に関する記録
 通算 シーズン RSWIN
 通算 シーズン RSWIN(PF/DER)
 通算 シーズン RSWIN(リリーフ)
 RSWINで見る強力ダブルエース
 RSWINで見る強力勝利の方程式

■守備に関する記録
 守備得点

■球場に関する記録
 一軍PF 2021 2020 2019
 二軍PF 2019 2018 2017
 セPF 得点 本塁打 BABIP
単打 二塁打 三塁打
三振 四球 FIP
 パPF 得点 本塁打 BABIP
単打 二塁打 三塁打
三振 四球 FIP
 球場別 東京ド 後楽園
甲子園
バンド ナゴヤ球場
マツダ 広島市民
De 横浜 川崎球場
神宮
PayPay 平和台 大阪球場
西 メラド 小倉球場
京セラ GS神戸 阪急西宮
ZOZO 東京スタジアム
札幌ド 駒沢球場
楽天生命
日本生命 藤井寺

■RCWINに関する記録
 RCWIN歴代記録[-2020]
 通算 シーズン RCWIN
 通算 シーズン RCWIN(PF)
 通算 シーズン RCWIN(PF/POS)
 RCWINで見る強力打撃コンビ
 RCWINで見る強力打撃トリオ
 ポジション別
 

■傑出度に関する記録
 打撃歴代記録[-2020]
 通算 シーズン 打率傑出度
 通算 シーズン 出塁率傑出度
 通算 シーズン 長打率傑出度
 通算 シーズン OPS傑出度
 投球歴代記録[-2020]
 通算 シーズン 防御率傑出度
 通算 シーズン 奪三振率傑出度
 通算 シーズン 与四球率傑出度

■戦力分析とドラフト評価
 2019年一軍分析
  De 西
 2019年二軍分析
  De 西
 2019年補強・ドラフト評価
  De 西
 2017年戦力分析
  De 西
 2015年戦力分析
  De 西
 2014年戦力分析
  De 西
 2013年戦力分析
  De 西
 2015年二軍評価
  De 西
 2015年ファーム得点PFと選手評価
 打順の組み方を眺める
 2016年 セリーグ パリーグ

■選手の個人評価
 ポジション別に最優秀打者を選ぶ
 2017年 セリーグ パリーグ
 2016年 セリーグ パリーグ
 2015年 セリーグ パリーグ
 2014年 セリーグ パリーグ
 2013年 セリーグ パリーグ
 2016年打者の通信簿
  De 西
 2015年打者の通信簿
  De 西
 2014年選手別守備得点と総合貢献
 総括
 簡易WARの答え合わせ2014
 球団史上最高の4人を選ぶ
    De 西
 

■2018年の特筆記事
 現役打者の2000本安打達成確率を考える
 現役20代選手の通算安打(2018年版)

■2017年の特筆記事
 現役20代選手の通算安打(2017年版)
 「8番投手」は珍しいのか?
 2017年各種パークファクター
 2017広島打線は史上最強か?

■2016年の特筆記事
 2016年における2000本安打の展望
 2016年広島打線、得点力向上の要因は?
 2016年各種パークファクター
 パリーグ野手編成と野手運用の私的評価
 セリーグの犠打減少を考える
 糸井嘉男の成績低下リスクを考える


■2015年の特筆記事
 2000本安打の展望
 違反球の再来?2015年セリーグ
 こちらも違反球?2015年パリーグ
 秋山と柳田が挑む、もうひとつの日本記録
 秋山翔吾の安打記録更新の確率を考える
 「余剰安打」で見る、安打新記録の価値
 山田哲人は何位?二塁手シーズンHR記録
 二塁手史上最高の打撃?2015年山田哲人
 30HRと30盗塁の両立
 三浦大輔、23年連続安打
 谷繁元信、27年連続本塁打
 坂本勇人、7年連続二桁本塁打
 阪神タイガース、得失点差-59で貯金
 2015年はどのくらい打低だったのか?
 2015年各種パークファクター

■考察のようななにか
 □分析結果系
 貯金と得失点差の関係を整理する
 徹底比較 ダルビッシュ有と田中将大
 平成の大投手 三浦大輔
 ポスト松井稼頭央時代の遊撃手総合力評価
 恐怖の8番打者
 稲葉篤紀、現役引退表明
 0本塁打のスラッガー
 シーズン二桁本塁打に関する記録
 20盗塁カルテットに関する記録
 ピタゴラス勝率を用いた采配評価の妥当性
 鈴木啓示の先発勝利に関する疑義
 セリーグの野手世代交代に関する考察
 □分析手法系
 RSAAに守備力補正をかける
 守備イニング推定手法の改良案
 RRFの考え方
 外野刺殺指標試案
 外野補殺指標試案
 NPB版oWAR(試案)

■データ置き場
 通算 シーズン 守備位置別安打記録
 通算 シーズン 奪三振率
 通算 シーズン 与四球率
 通算 シーズン K%
 通算 シーズン BB%
 通算 シーズン wSB(盗塁得点)
 投手のシーズン本塁打記録
 セパ年度別 打低打高早見表
 年度別タイトル・表彰獲得者一覧
 平成時代のポジション別最多安打打者
 日本時代のイチローの全試合成績


■当ブログのデータについて
 Kazmix World
 日本プロ野球記録
 スタメンデータベース
 日本プロ野球私的統計研究会
 を参考にさせていただいています。

■お問い合わせ
 ご意見ご感想、間違いのご指摘など
 お問い合わせは コメント欄 及び
 ranzankeikoku.npbstats★gmail.com
 にお願い致します。(★を@に変換)

Twitter

検索フォーム

訪問者カウンター