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2015年の二軍を俯瞰する 北海道日本ハムファイターズ編

北海道日本ハムファイターズ一軍の弱みは? 

2015年は79勝62敗2分で勝率.560を記録し、2年連続のAクラスとなりました。詳しくは2015年戦力分析とドラフトを参照。

防御率の低迷が首位のソフトバンクに大きく水をあけられる最大の要因となってしまいましたが、
守備面を考慮しても投球内容(FIP)との乖離が大きいため、現状維持でも防御率の向上が期待できる状況となっています。
ただし、パリーグNo.1投手の大谷翔平を抱えながら平均以下の成績に沈んだ先発陣は層の薄さが否めません。

野手はwRAAによるポジション別の打撃得点と、DELTA社のUZRによるポジション別の守備得点を見ると、
複数抱えていた守備面の穴が大コンバートで塞がり、チームの弱点は中堅手・右翼手・指名打者に集約される形となりました。
昨季はMVP級の活躍を見せた陽岱鋼の復帰で中堅手の穴は塞がる見込みが強いですが、
MLB志向が強いとされる陽の後釜は今のうちに見付けておきたいところです。二軍の育成状況はどうなっているでしょうか。

北海道日本ハムファイターズ二軍投手を俯瞰する

paf2015f2.png 
※失点率ベース投球得点はDERに基づいて守備補正をかけたものを使用しました。
※FIPベース投球得点は失点率スケールに変換したものを使用しました。


チーム防御率4.25はイースタンリーグ7チーム中6位、チームFIP3.83は同5位となっています。
戦力化できていない20代後半が一定数存在するほか、ベテラン投手2人が調整登板を重ねたため平均年齢は高めの陣容です。

北海道日本ハムファイターズ二軍野手を俯瞰する

paf2015f1.png
※リーグ全体平均に対する各ポジションの平均打力は、1996年-2015年における一軍ポジション別wOBAを元に算出しました。

レギュラーの4人が10代、レギュラー全員が25歳以下と平均年齢は12球団で最も低くなっています。
チーム495得点はロッテに次ぐイースタンリーグ2位の数値。平均年齢の低さを考えると驚異的な得点力と言えるかもしれません。

選手輩出を狙いたいポジションの状況

選手輩出が求められる先発陣は武田勝木佐貫洋上沢直之中村勝斎藤佑樹浦野博司といった
過去に一軍ローテーション入り経験のある投手の調整登板が多く、新たに若手育成を行うのが難しい状況になっています。
チーム最多投球回の高梨裕稔が光る活躍を見せてはいますが、現時点では将来に不安を残す陣容であることは否めません。
一軍の先発不足を解消するだけでなく二軍で育成に使える枠を広げる意味でも、彼らの復活に期待せざるを得ません。

外野手については若手の台頭が著しく、特に淺間大基石川慎吾の成長は目覚ましいものがあります。
一軍でも石川は低打率ながら高い奪四球力と長打力を示し、淺間は打率.285を記録するなど定着の足掛かりを築きました。
既にレギュラーを掴みかけている杉谷拳士岡大海の存在もあり、外野手の穴は塞がる見込みが強いのではないでしょうか。

指名打者についてはライバルとなる外国人打者と比較しても見劣りしないようなスラッガーは不在であることから、
来季は一軍の現有戦力(今季の起用法だと近藤健介が有力?)か新外国人のどちらかで埋めていくことになりそうです。

期待の若手は淺間大基(外)、石川慎吾(外)、高梨裕稔(投)

淺間大基は高卒1年目の19歳。ファームで3,4月の月間MVPに輝くと5月には一軍に昇格し、初出場初安打と結果を出しました。
二軍では打率3割を記録しました。俊足の左打者ということで適性BABIPの高さで打率を押し上げるタイプに見えますが、
四球/三振比が悪くフリースインガーぶりが目立つのが今の課題で、これを改善できれば安定して高打率を記録できそうです。

石川慎吾は高卒4年目の22歳。今季は西武菊池から決勝HRを放つなど、左腕キラーとして一軍でも活躍しました。
8月には右翼手のレギュラーを掴みかけたものの、不振により9月以降はレギュラーを外される格好になりましたが、
四球と長打を多く稼ぐセカンダリの高さは大きな魅力で、正右翼手の一番手候補なのではないかと個人的には見ています。

高梨裕稔は大卒2年目の24歳。ファーム最多の122奪三振を奪い、最多奪三振タイトルを獲得しています。
先発投手としては非常に高い奪三振率(9.58)を記録しており、こちらもファームの規定到達投手では最高値でした。
5月の一軍初登板では黒星を喫したものの、10月にロングリリーフで4回4K無四球無失点と好投。来季はローテ入りが期待されます。

今後、選手の補充が必要なポジション

野手は成長の期待できる年齢の選手に絞って出場機会を与えた上で、結果も伴っている理想的な状態です。
育成の観点から見れば満点に近い運用状況であり、野手の育成ではしばらくアドバンテージを維持できるのではないでしょうか。
強いて挙げれば攻撃型ポジションを任せられる大砲タイプのスラッガーが少ないため、そこが今後の狙い目となりそうです。

対照的に投手は思うように育成が進んでおらず、重点的にプロスペクトを確保していく必要がありそうです。
前述の通り一軍実績のある中堅投手を多く抱えている点が悩ましいですが、近い内に戦力を整理する必要があるかもしれません。
2015年のドラフトで1位から5位で投手を指名するなど、日本ハム首脳陣は投手の育成に今後のターゲットを絞っているようです。

2015年日本ハム打線二軍   
※「○○+」はBABIP、三振/打席(K%)、四球/打席(BB%)の傑出度を示す
※「ISO+」は長打率傑出度と打率傑出度の差から算出したISOの傑出度を示す


2015年の二軍を俯瞰する
2015年の二軍を俯瞰する 福岡ソフトバンクホークス編
2015年の二軍を俯瞰する 北海道日本ハムファイターズ編
2015年の二軍を俯瞰する 千葉ロッテマリーンズ編
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2015年の二軍を俯瞰する 横浜DeNAベイスターズ編

コメント

No title

2014シーズンは若いピッチャーが出てきてこれから安泰かなって思ってましたが結局は大谷だけが残った感じになってしまいましたね。もちろんこれからどうなるかはわからないし活躍して欲しいですけど、ドラフトと助っ人2人を取った運営はきちんと仕事してますね。今年こそ優勝して欲しいです。

野手に関しては言うことはないですね
攻撃ポジションも一軍に中田・西川と若い強打者がおり、焦らず素材を探す余裕があります
投手は高梨が期待大ですが、一軍の課題である先発の層の強化のために頭数を揃えたいところです
チーム全体の若さから、通常なら育成に時間をかけられる状況なのですが
大谷が抜ける前に優勝を狙うためにはあまり悠長に構えているわけにもいきません
大学・社会人投手の指名が目立つのはそのあたりの事情も関係しているのでしょうか

Re: No title

めでぃさん、コメントありがとうございます!

昨季出てきた若手が揃って成績を落とすのは、フロントにとって想定外だったのではないでしょうか。
特にまだ若い上沢直之、中村勝、浦野博司は持ち直す余地が十分にあると見ていますが、
来たる大谷の退団を考えると、彼らの調整と並行して若手育成を図るのは駒数を確保する上で必須になるかと思います。
フロントもこの辺りの現状はしっかりと把握して、打つべき手は打っている印象ですね。

Re: タイトルなし

カンザスさん、コメントありがとうございます!

野手に関しては選手の年齢層を考えると、近い内にソフトバンクに迫れる可能性は高いと見ています。あとは投手ですね。
フロントは大谷が抜けるまでに勝負をかける心積もりだとすれば、今後は付け焼刃的な投手補強が多くなるような気がします。

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■2018年の特筆記事
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 現役20代選手の通算安打(2018年版)

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 現役20代選手の通算安打(2017年版)
 「8番投手」は珍しいのか?
 2017年各種パークファクター
 2017広島打線は史上最強か?

■2016年の特筆記事
 2016年における2000本安打の展望
 2016年広島打線、得点力向上の要因は?
 2016年各種パークファクター
 パリーグ野手編成と野手運用の私的評価
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 糸井嘉男の成績低下リスクを考える


■2015年の特筆記事
 2000本安打の展望
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 二塁手史上最高の打撃?2015年山田哲人
 30HRと30盗塁の両立
 三浦大輔、23年連続安打
 谷繁元信、27年連続本塁打
 坂本勇人、7年連続二桁本塁打
 阪神タイガース、得失点差-59で貯金
 2015年はどのくらい打低だったのか?
 2015年各種パークファクター

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 徹底比較 ダルビッシュ有と田中将大
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 ピタゴラス勝率を用いた采配評価の妥当性
 鈴木啓示の先発勝利に関する疑義
 セリーグの野手世代交代に関する考察
 □分析手法系
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