中日打者の打撃内容を見る2015年の中日ドラゴンズにおいて200打席以上を記録した9人の打者について、
どの要素が効いて良い打撃成績を記録できたのか、どの要素が足を引っ張って悪い打撃成績を記録してしまったのか、
BABIP、K%(三振/打席)、BB%(四球/打席)、ISO(=長打率-打率)の観点から分析を行っていきたいと思います。
分析対象とした選手(シーズン200打席以上)
大島洋平・ルナ・平田良介・エルナンデス・亀澤恭平・藤井淳志・森野将彦・荒木雅博・和田一浩
大島洋平[30歳/中堅手/620打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。年毎のBABIPの揺らぎが非常に大きい打者であり、「はずれ年」だった昨年は打率を大きく落としました。
三振率は相変わらず高水準で、長打力についてもキャリアハイのHR数を残すなど良い数値が出ていることから不調とは考え難く、
来季は打率回復が期待できると思います。リードオフマンとして起用するのならもう少し四球も増やしたいところです。
エクトル・ルナ[35歳/三塁手/564打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。三振率と奪四球率に関してはキャリアハイの数値が出ましたが、BABIPと長打力は低下傾向にあり判断が難しいところです。
BABIPは右打者の中では異常値とも言える好成績を続けて出していたため、昨年の数値が適性値に近いという印象を受けます。
長打力(ISO)は広島への移籍で回復が狙えそうで、広島は三塁手の攻撃力アップが期待できると思います。問題は守備でしょうか。
平田良介[27歳/右翼手/559打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。長打力の成長にはやや頭打ちの傾向が見られますが、三振を抑えつつ四球を選び取る能力は順調に伸びています。
この打撃スタイルの打者は高い出塁率が期待できるため、一番打者に固定して起用しても面白いかもしれません。
ナゴヤドームを本拠地とする中日の場合、平田のような奪四球に優れた出塁型打者を並べるのが最適解になると考えられます。
アンダーソン・エルナンデス[33歳/遊撃手/548打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。BABIPと長打力が向上しました。広角に打ち分ける打者で足も遅くないため、BABIPは前年より適性値に近付いた印象を受けます。
四球/三振比からは打撃の粗さが垣間見えますが、遊撃手らしからぬ長打力の高さは大きな武器です。
遊撃手であることを考えれば打撃面に関しては申し分のない内容となっていますが、課題は守備面でしょう。
亀澤恭平[27歳/二塁手/376打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。打撃結果のサンプルが少なく現時点では判断が難しいですが、ソフトバンク時代の二軍打撃成績と併せて見る限りでは、
低長打のゴロヒッターであるため適性BABIP自体が低い可能性が否めず、高打率を期待するのが難しいタイプかもしれません。
年齢的に長打力を伸ばすのは難しいため、レギュラー起用するためには四球を増やして出塁力に強みを作りたいところです。
藤井淳志[34歳/左翼手/315打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。いわゆる違反球と絶望的に相性の悪い打者でしたが、ボールの反発力が向上した2013年以降は復活を遂げました。
昨季は三振率はやや悪めでしたが奪四球率と長打力はキャリアハイに近い数値を残しており、まだまだ成長の跡が見られます。
衰えが早いとされる適性BABIPの高さに依存する打撃である点が課題。長くプレーするためにはもう一つ強みを作りたいところです。
森野将彦[37歳/一塁手/252打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。昨季はこっそりとキャリアハイの奪四球率を記録しており、長打の極端な少なさに目を瞑れば好調のシーズンでした。
長打の減少には開幕カードでの右手の故障が影響していると考えられ、故障の癒える今季は回復も期待できそうですが、
新外国人ビシエドの加入により、一塁手としての出場機会の確保は難しくなる見込み。キャリアにおける正念場となりそうです。
荒木雅博[38歳/二塁手/238打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。UZRベースで見ると守備面では衰えが隠せなくなってきていますが、打撃に関しては衰える気配を見せておらず、
三振率と長打力はキャリア平均以上、奪四球率に至っては38歳のシーズンにしてキャリアハイの数値をマークしています。
盗塁についても成功9に対して失敗1とこちらもまだまだ衰えを見せていません。使い方次第でまだまだ光る選手でしょう。
和田一浩[43歳/左翼手/234打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。打撃三部門の数字を一見しただけでは分かりにくいですが、前年の死球による手首骨折の影響が大きかったのか、
三振率・奪四球率・長打力は直近5年水準で見ても明らかに落ちており、BABIP傑出の高さに強く依存する打撃になっていました。
この推移は非可逆的なものではなかった可能性も考えられますが、一つの引き際としては間違っていなかったように感じます。
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