楽天打者の打撃内容を見る2015年の東北楽天ゴールデンイーグルスで200打席以上を記録した11人の打者について、
どの要素が効いて良い打撃成績を記録できたのか、どの要素が足を引っ張って悪い打撃成績を記録してしまったのか、
BABIP、K%(三振/打席)、BB%(四球/打席)、ISO(=長打率-打率)の観点から分析を行っていきたいと思います。
分析対象とした選手(シーズン200打席以上)
松井稼頭央・ペーニャ・藤田一也・後藤光尊・嶋基宏・銀次・ウィーラー・聖澤諒・サンチェス・福田将儀・中川大志
松井稼頭央[40歳/右翼手/501打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。打撃は外野手として見ると物足りないものでした。コンバート2年目となる2016年は慣れによる外野守備の向上が期待されます。
四球と三振はキャリア平均水準を維持していますが、長打力の緩やかな低下は加齢による衰えを示すものだと考えられます。
統一球導入後のパリーグは緩やかな打高化を続けているため、生の長打力はほぼ横這いに見えるのが面白い点です。
ウィリー・モー・ペーニャ[33歳/指名打者/492打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。首脳陣の評価は散々でしたが、wOBAによる評価ではチームの得点増に最も大きく貢献したと考えられる打者。
奪四球率が前年比で大きく向上しました。
データで楽しむプロ野球さんによれば、ボール球見極め率の向上が効いているようです。
DHで利得を稼げる打撃に対して年俸は安く、指名打者を確保できなかったチームは獲得を検討しても良いのではと思います。
藤田一也[33歳/二塁手/451打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。稼働率はやや下がりましたが、二塁手としてチームの攻撃面に穴を作らない活躍を見せたと言えます。
コンタクト力に磨きをかけ打席あたりの三振数をリーグ平均の1/3程度に抑えたほか、長打力も大きく伸ばしました。
レギュラー定着後ではキャリアハイの打撃内容だったと考えられますが、BABIP傑出はキャリアワーストの値でした。
後藤光尊[37歳/遊撃手/444打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。キャリア平均と比較するとまずまずの打撃内容だったと言えますが、BABIP傑出はキャリアワーストの値を記録しました。
今季と同じ打撃内容を残すことが出来れば、打率に関しても回復が期待できるのではないかと考えます。
ただし、UZRベースで見ると守備面での衰えが顕著になってきており、レギュラーでの起用は難しいかもしれません。
嶋基宏[31歳/捕手/411打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。非常に高い奪四球力は健在であり、捕手の打撃低迷が深刻である現在のパリーグにおいては大きな武器となっています。
打率.219ながら出塁率はリーグ平均を上回っており、捕手としては近藤健介・伊藤光に次ぐ打撃貢献を記録しています。
打率を大きく落としましたが、BABIP傑出の低迷に起因していると考えられるため、そこまで心配する必要はなさそうです。
銀次[27歳/一塁手/354打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。5月の左すねの故障によりレギュラー定着後では初めて規定打席を割り込んだものの、打率は3割台をキープ。
高いと推測される銀次の適性BABIPからすればやや低めのBABIP傑出でしたが、三振率の低さが打率を押し上げました。
今江敏晃の加入で一塁手としての起用がメインとなりそうですが、一塁手として見るとやや打力が物足りないかもしれません。
ゼローズ・ウィーラー[28歳/三塁手/313打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。シーズンを通した稼働率は低かったものの313打席で14HRを記録。シーズン終盤には4番に固定されました。
3Aでの成績を見る限りでは適性BABIPの低いタイプには見えないため、打率の向上が期待できるのではないでしょうか。
今江敏晃の加入で左翼手としての起用がメインとなりそうですが、順当にいけば左翼手でも利得を生み出す打撃が出来そうです。
聖澤諒[30歳/中堅手/288打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。20代後半以降は三振率が緩やかに悪化しつつあり、2015年はレギュラー定着後ではワーストの打撃内容となりました。
中堅手は最下位に沈んだ楽天における最大の穴になっています。福田将儀はもう少し時間がかかりそうな上に、
レギュラー候補の一人である島内宏明の不振も長引いているため、チーム浮上に向けて聖澤の復活は不可欠だと考えられます。
ギャビー・サンチェス[32歳/一塁手/232打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。7月までレギュラー一塁手として出場を重ねましたが、8月以降は出場が減っていき退団が決まりました。
MLBでの成績を見る限りでは適性BABIPの低いタイプには見えないため、残せば打率を上げる見込みは強いように感じますが、
それでも打撃内容から判断するに一塁手で利得を稼ぐのは難しかったのではと考えます。放出の判断は間違っていないでしょう。
福田将儀[23歳/中堅手/210打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。大卒ルーキーながら開幕2戦目に2番右翼で先発出場。以降は中堅手を中心に先発出場を重ねましたが、
打撃では三振率、奪四球率、長打力のいずれもリーグ平均を下回り、部門別に見ても強みを作れていない状況です。
一軍で起用するには課題を多く残している印象を受けるため、ひとまずは二軍で実戦経験を積む方がよいのではないでしょうか。
中川大志[25歳/一塁手/206打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。高い長打力の片鱗を見せる躍進のシーズンとなった一方、三振率が非常に悪いなど課題も多く残しています。
一塁手と外野手をメインに出場していますが、攻撃型ポジションで起用するためには打撃でもう一伸びが欲しいところです。
二軍では2014年を除いて安定して好成績を残しているため、成長に向けて一軍経験を多く積ませる段階に入っていると考えます。
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