オリックス打者の打撃内容を見る2015年のオリックス・バファローズで200打席以上を記録した10人の打者について、
どの要素が効いて良い打撃成績を記録できたのか、どの要素が足を引っ張って悪い打撃成績を記録してしまったのか、
BABIP、K%(三振/打席)、BB%(四球/打席)、ISO(=長打率-打率)の観点から分析を行っていきたいと思います。
分析対象とした選手(シーズン200打席以上)
安達了一・糸井嘉男・中島裕之・T-岡田・駿太・伊藤光・カラバイヨ・ヘルマン・西野真弘・小谷野栄一
安達了一[27歳/遊撃手/593打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。二遊間の選手の中では四球と長打のセカンダリは高い方で、玄人好みする打撃タイプです。
昨季はBABIP傑出が非常に低い値だったため、今季は適性値への回帰が期待できるのではないかと考えていますが、
難病に指定されている潰瘍性大腸炎でキャンプ離脱となりました。パフォーマンスに影響がなければよいのですが。
糸井嘉男[34歳/右翼手/565打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。2010年代の通算RCWinNo.1打者。昨季はレギュラー定着後ではワーストの打率・出塁率を記録したものの、
各項目を個別に見ていくとBABIP傑出以外の項目は例年通りだったため、あまり心配は要らないのではないかと考えています。
年齢面がネックとなりつつありますが、同じ遅咲きの大打者である和田一浩のようなしぶとい活躍を期待したいところです。
中島裕之[33歳/一塁手/483打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。2年間のブランクを経てNPBへ復帰しました。現時点では全盛期のような打撃は取り戻せておらず、
渡米前の数年間と比較すると特に長打力の落ち込みが大きくなっています。帰国前の手首の故障の影響もあるかもしれません。
BABIP傑出も渡米前と比べて低水準となっていますが、アウトになりにくい強い打球の減少に起因している可能性もあります。
T-岡田[27歳/左翼手/416打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。高打率を残しましたがBABIPへの依存が強く、奪四球と長打はキャリアワーストの水準に沈むなど打撃内容はいまひとつでした。
近年では度重なる下半身の故障から守備負荷の低い一塁手や指名打者への転向が示唆されていますが、
長打力を2010年か2014年の水準まで戻さなければ、それらのポジションで打撃による利得を生み出すのは難しいかもしれません。
駿太[22歳/中堅手/382打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。三振と奪四球については前年からほぼ据え置きとなりましたが、BABIPと長打力を大きく落としました。
現時点では守備で強みを作り出せていないため、打撃でも武器となる強みを持ち合わせていないのは痛いところです。
年齢的なピークを考えると守備面で劇的な成長を期待するのは難しく、レギュラー定着に向けては打撃改善が不可欠でしょう。
伊藤光[26歳/捕手/290打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。近年では正捕手の地位を確固たるものとしていましたが、昨季は山崎勝と併用で出場機会を落としました。
打撃に関しては課題だった奪四球に改善が見られ、出塁率もキャリアハイをマークするなど実り多いシーズンだったと言えます。
パ捕手の中では日本ハム近藤に次ぐ打力を誇りますが、信頼を勝ち取れないのは守備面に不安があると見られているからでしょうか。
フランシスコ・カラバイヨ[32歳/一塁手/247打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。春先には4番に固定され大活躍を見せましたが、6月以降は下降線を辿り出場機会を減らしていきました。
粗い打撃でしたが長打力は一塁手標準よりも高く、安い年俸を考えればリザーブしておく選択肢もあったかと思われますが、
ポジション(一塁・左翼)の被る中島裕之・ブランコ・T-岡田の存在もあり、昨季限りでの退団が決定しています。
エステバン・ヘルマン[37歳/三塁手/245打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。外国人選手にしては珍しく、長打の少なさに対して四球をよく取れてBABIPも高い赤星憲広のような打撃タイプでした。
昨季時点で37歳と年齢がネックで、近年では奪四球力や長打力の低下に衰えの兆候が見て取れます。
三塁守備での貢献の乏しさやポジションの被る選手を多く抱えるチーム事情もあり、放出の判断は間違っていないと考えます。
西野真弘[25歳/二塁手/213打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。ルーキーながら4月中盤にレギュラーに定着。7月に故障により離脱するまで正二塁手を務めました。
打席数が少な過ぎて適性BABIPを読み取るのが難しいものの、BABIP傑出の数値はやや高めに見えるため、
打率に関しては「2年目のジンクス」に悩まされるかもしれません。三振・奪四球・長打力は二塁手としては上々の数値です。
小谷野栄一[35歳/三塁手/206打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。直近5年間では三振は最も少なく、長打は最も多かったため打撃好調なシーズンだったと言えますが、
死球による右手首骨折の影響でレギュラー定着後ではワーストの出場機会に留まりました。
三塁手をメインポジションとする新外国人モレルの加入により、レギュラー争いが予想される今季は正念場となりそうです。
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