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2015年ファーム得点PFとそれを用いた打撃と投球の評価

ファームの得点PFを調べる

YAKYUJO.comさんで二軍の各本拠地を眺めていると、球場規格に意外と大きな差があることに気が付きました。
二軍のPFについて調べた研究は過去になかったように思うので、何か新しい知見が得られればと二軍の得点PFを調べてみました。

fgame2015c2.png

fgame2015p2.png

ファームの主催試合で各球団が使用した球場は以上のようになっています。
ひとまず今回は本拠地に加えて、主催試合の10%以上を占める球場を成績に影響を与える「準本拠地」と見なし、
「(本拠地と準本拠地での試合あたり得失点)/(他球場での試合あたり得失点)」という式で得点PFを求めました。

ウエスタンリーグ得点PF(2015年)
全体 本拠地 本拠地以外
球団 得点PF 試合数 得点 失点 試合数 得点 失点 試合数 得点 失点 球場
ソフトバンク 1.14 110 494 322 50 254 143 60 240 179 雁の巣-ヤフオクドーム
中日 1.10 104 367 411 41 152 172 63 215 239 ナゴヤ球場
阪神 1.07 117 418 442 49 191 183 68 227 259 鳴尾浜-甲子園
オリックス 0.99 108 374 506 39 137 178 69 237 328 神戸サブ-北神戸
広島 0.76 109 436 413 45 152 143 64 284 270 由宇

ウエスタンリーグでは広島二軍が本拠地としている由宇球場が極端なピッチャーズパークとなっています。
ここはファウルゾーンが非常に広く、一軍と二軍の全本拠地の中で最大のグラウンド面積を持つ球場として知られていますが、
ファウルフライが生じやすい形状だからなのか、得点の入りやすさに関してもかなり特殊な球場である可能性があります。

現在では一軍の本拠地であるナゴヤドームと全く同じ規格に改修されていることを考えると、平均的な球場規格の差はあれど、
中日二軍が本拠地としているナゴヤ球場が得点を入りやすい傾向を示しているというのは意外な結果かもしれません。
ナゴヤドームであれだけ点が入らないのはその形状ではなく、他の部分(フェンスの色調?)に原因があるのかもしれません。

イースタンリーグ得点PF(2015年)
全体 本拠地 本拠地以外
球団 得点PF 試合数 得点 失点 試合数 得点 失点 試合数 得点 失点 球場
ロッテ 1.26 108 504 456 46 234 229 62 270 227 ロッテ浦和
日本ハム 1.17 112 495 527 52 254 260 60 241 267 鎌ヶ谷
巨人 1.04 116 465 415 51 219 177 65 246 238 ジャイアンツ
西武 0.99 108 467 443 43 171 189 65 296 254 西武第二
DeNA 0.96 108 453 398 47 198 163 61 255 235 横須賀-平塚-ベイスターズ
ヤクルト 0.84 108 369 546 50 156 229 58 213 317 戸田
楽天 0.78 112 477 440 39 149 121 73 328 319 利府-コボスタ宮城

イースタンリーグの本拠地の中では、ロッテ浦和球場と日本ハム鎌ヶ谷球場は打者優位の傾向が確認できました。
共に左右中間の短い四角型のフェアグラウンド形状となっているため、本塁打が出やすいのかもしれません。
近年ではロッテ二軍打線は安定して高い得点力を誇っていますが、浦和球場の影響が背景にある可能性が考えられます。

逆に、ヤクルト戸田球場と楽天利府球場(とコボスタ宮城)は投手優位の傾向が確認できましたが、
楽天の方は地方球場の多さがノイズとなっているか、本拠地試合数が少ないせいで外れ値が出ている可能性があります。
ちなみに、試しに主催試合と非主催試合で分けてPFを算出しても投手優位という結果は変わりませんでした。

得点PFを用いて打撃と投球の評価を行う

2015年二軍FIP傑出度2
※「ERA-」「FIP-」は平均的な投手が同じ環境でプレーした場合と比較した防御率とFIPの傑出度を示す。低いほど優秀。
※「K/9+」「BB/9-」「HR/9-」は投球回あたりの奪三振、与四球、被本塁打の傑出度を示す。「BB/9-」「HR/9-」は低いほど優秀。

まずは投手評価から行います。今回は得点PFに基づいて補正を行ったFIP傑出度を調べました。

雁の巣球場はどちらかと言えば打者優位であることを踏まえると、ソフトバンク二軍の強みは投手陣にあるように見えます。
その中でも千賀滉大は圧巻とも言える成績を残しています。彼の場合、故障せずに一軍に帯同できるかが課題となりそうです。
他球団ではバッターズバークを本拠地に高いFIPを示した高梨裕稔(日本ハム)、二木康太(ロッテ)も期待できるかもしれません。

2015年二軍wRC+1
※「○○+」はBABIP、K%(三振/打席)、BB%(四球/打席)の傑出度を示す。
※「ISO+」は長打率傑出度と打率傑出度の差から算出したISO傑出度を示す。
※wOBAの係数はBaseball-LAB「打撃指標wOBA」を参考にしました。

次は打撃評価を行います。得点PFに基づいて補正を行ったwRC+を調べました。

上林誠知(ソフトバンク)と山川穂高(西武)が打のトッププロスペクトである構図は変わりません。
ポジションの守備負荷を考慮すると遊撃手の谷内亮太(ヤクルト)、二塁手の庄司隼人(広島)もかなり期待が持てそうです。
一軍で両翼を固定できなかったことを考えると、下水流昴(広島)は一軍でもっと多く起用してもよかったのではと思います。

2015年の二軍を俯瞰する
2015年の二軍を俯瞰する 福岡ソフトバンクホークス編
2015年の二軍を俯瞰する 北海道日本ハムファイターズ編
2015年の二軍を俯瞰する 千葉ロッテマリーンズ編
2015年の二軍を俯瞰する 埼玉西武ライオンズ編
2015年の二軍を俯瞰する オリックス・バファローズ編
2015年の二軍を俯瞰する 東北楽天ゴールデンイーグルス編
2015年の二軍を俯瞰する 東京ヤクルトスワローズ編
2015年の二軍を俯瞰する 読売ジャイアンツ編
2015年の二軍を俯瞰する 阪神タイガース編
2015年の二軍を俯瞰する 広島東洋カープ編
2015年の二軍を俯瞰する 中日ドラゴンズ編
2015年の二軍を俯瞰する 横浜DeNAベイスターズ編

コメント

No title

ナゴヤ球場は、ナゴヤドームに比べてマウンドが低く感じるという話は聞いたことがありますね。

それにしても高齢の雄大しかまともな投手がいないのはどうかと思いますが。

いつも楽しく読まさせて頂いてます

ここまでパークファクターが違うと、二軍と一軍でのパフォーマンスの違いから戦力の見誤りをしてしまう球団も有るのでは… と思ってしまいますね(記事でも言われていた下水流選手とか)

No title

1・2軍で球場特性が違う球団は、PFを考慮に入れて選手の評価をする必要がありそうですね
また二軍は投球回が少なく、頻度が低い被本塁打の影響が過大に出やすいと思われるので
ゴロ/フライ率と合わせて見ることで選手特性を見極める必要があるのではないでしょうか

Re: No title

コメントありがとうございます!

マウンドの話は初耳でした。マウンドを固く改修した途端に得点PFで7年ぶりの低水準が出た昨季の神宮の例もあるので、
両球場の得点特性の差がマウンドの差に起因しているというのは十分に考えられますね。

中日の二軍は稲葉光雄コーチが亡くなってからは上手く育成体制を築けていないように見えます。
これは一軍の投手力低下とも繋がっている事象だと思うので、実績豊富な高山郁夫コーチの招聘で状況が変わることに期待しています。

Re: タイトルなし

開聞岳さん、コメントありがとうございます!

>ここまでパークファクターが違うと、二軍と一軍でのパフォーマンスの違いから戦力の見誤りをしてしまう球団も有るのでは… 
個人的にはこうした球団は現実に少なからず存在すると思っているんですよね。
PFを考慮しても二軍の充実度が一軍の改善に結び付いていないような場合は、この辺りの判断ミスを疑うべきかもしれません。

Re: No title

カンザスさん、コメントありがとうございます!

Relativityを重視した評価を行う場合、PFの考慮は不可欠でしょうね。

> また二軍は投球回が少なく、頻度が低い被本塁打の影響が過大に出やすいと思われるので
この点は注意が必要でしょうね。
一軍での出場が少なくてゴロ/フライ率が分からない場合は、FIPと被本塁打率を並べて見るのがベターかと思います。
ゴロPの雄太はともかく、あまりゴロを量産するタイプには見えない楽天の森の数値はちょっと怪しいですね。

この記事とは関係ないのですが

Twitterで、捕手の捕球からリリースまでの時間と阻止率に相関がないのが奇妙だと話されていましたが
これは捕手の側に選択が発生した結果ではないでしょうか
余裕をもって刺せるタイミングなら、コントロール重視で投げているはずですから
リリースまでに時間がかかっていても阻止率は高くなります
逆にクイックリリースでなければ間に合わないと判断すれば、コントロールが乱れる可能性が上がり
リリースまでの時間が短くても阻止率は下がってしまうのではないでしょうか
ランナーの塁間のタイムと、捕球-リリース間のタイムの相関性があれば裏付けできそうです

Re: この記事とは関係ないのですが

カンザスさん、コメントありがとうございます!

おそらくそういうことだと思うのですが、盗塁阻止に絡む各要素の重要度を調べるという研究テーマからすれば、
各要素の寄与を独立に検証できていなければ研究が前提から崩れることになるため、妙だなと思ったんですよね。

バッテリー全体の所要時間が盗塁阻止率と強い相関関係を持っているのですから、
各要素が全体の時間に与える寄与を見てから、その寄与が盗塁阻止率に与える影響を調べた方がスマートなのではと思うところです。
打撃と投球が勝利に対して与える影響を見る時に、得点というファクターをかました方がクリアになるのと同じなのではと。

返信ありがとうございます

奇妙というのはそういう意味だったのですね、読み違いをしていました
確かにせっかく分割して要素を抜き出したのに、研究としては中途半端というか、目的を果たせていない印象ですね

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 ポジション別wRAAと先発救援別RSAA
 セリーグ パリーグ 各種PF


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 歴代打線得点力評価[-2020]
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 通算 シーズン RSWIN(PF/DER)
 通算 シーズン RSWIN(リリーフ)
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単打 二塁打 三塁打
三振 四球 FIP
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 通算 シーズン RCWIN(PF)
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 ポジション別
 

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■2018年の特筆記事
 現役打者の2000本安打達成確率を考える
 現役20代選手の通算安打(2018年版)

■2017年の特筆記事
 現役20代選手の通算安打(2017年版)
 「8番投手」は珍しいのか?
 2017年各種パークファクター
 2017広島打線は史上最強か?

■2016年の特筆記事
 2016年における2000本安打の展望
 2016年広島打線、得点力向上の要因は?
 2016年各種パークファクター
 パリーグ野手編成と野手運用の私的評価
 セリーグの犠打減少を考える
 糸井嘉男の成績低下リスクを考える


■2015年の特筆記事
 2000本安打の展望
 違反球の再来?2015年セリーグ
 こちらも違反球?2015年パリーグ
 秋山と柳田が挑む、もうひとつの日本記録
 秋山翔吾の安打記録更新の確率を考える
 「余剰安打」で見る、安打新記録の価値
 山田哲人は何位?二塁手シーズンHR記録
 二塁手史上最高の打撃?2015年山田哲人
 30HRと30盗塁の両立
 三浦大輔、23年連続安打
 谷繁元信、27年連続本塁打
 坂本勇人、7年連続二桁本塁打
 阪神タイガース、得失点差-59で貯金
 2015年はどのくらい打低だったのか?
 2015年各種パークファクター

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 □分析結果系
 貯金と得失点差の関係を整理する
 徹底比較 ダルビッシュ有と田中将大
 平成の大投手 三浦大輔
 ポスト松井稼頭央時代の遊撃手総合力評価
 恐怖の8番打者
 稲葉篤紀、現役引退表明
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 20盗塁カルテットに関する記録
 ピタゴラス勝率を用いた采配評価の妥当性
 鈴木啓示の先発勝利に関する疑義
 セリーグの野手世代交代に関する考察
 □分析手法系
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