広島打者の打撃内容を見る2015年の広島東洋カープにおいて200打席以上を記録した11人の打者について、
どの要素が効いて良い打撃成績を記録できたのか、どの要素が足を引っ張って悪い打撃成績を記録してしまったのか、
BABIP、K%(三振/打席)、BB%(四球/打席)、ISO(=長打率-打率)の観点から分析を行っていきたいと思います。
分析対象とした選手(シーズン200打席以上)
菊池涼介・丸佳浩・田中広輔・新井貴浩・梵英心・エルドレッド・會澤翼・シアーホルツ・石原慶幸・鈴木誠也・松山竜平
菊池涼介[25歳/二塁手/644打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。前年比でBABIPが6分近く下落し、BABIP傑出で見ても20%近く数値を落としています。
長打や三振の数を見るに不調気味のシーズンだったことは否めませんが、成績低下はBABIPの下落でほぼ説明がつきそうです。
2014年の水準まで戻すのは難しそうですが、適性BABIPへの回帰で打率向上が見込めるのではないかと考えます。
丸佳浩[26歳/中堅手/633打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。同僚の菊池涼介とは事情が異なり、打率下落は三振増加に起因しています。
三振増加の背景には空振り率の大幅な悪化があるようで、菊池より不振の根は深いかもしれません。
歴代屈指の奪四球力は健在であるため打率は低くても出塁率は高く、一番に置く選択肢は誤りではないと思います。
田中広輔[26歳/遊撃手/590打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。ルーキーイヤーの前年から出場機会を大きく伸ばし、遊撃手レギュラーに定着しました。
本塁打だけでなく二塁打と三塁打を多く稼ぐ長打力に加え、UZRベースでは遊撃手として標準以上の守備力も保持しており、
長らく坂本勇人と鳥谷敬の二強状態だったセリーグ遊撃手事情に一石を投じる存在になったと言えます。
新井貴浩[38歳/一塁手/480打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。8年ぶりの古巣復帰となり、離脱したエルドレッドの穴を埋める形で一塁手レギュラーに定着しました。
長打力を落とした代わりにストライクゾーン管理能力を向上させるなど、
阪神時代の打撃からスタイルチェンジを成功させていますが、それでも一塁手として見ると打撃はやや物足りないかもしれません。
梵英心[35歳/三塁手/332打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。昨季は田中広輔の台頭で三塁手へ本格的にコンバートとなりました。打撃不振により出場機会を減らしましたが、
BABIP傑出以外は良好な数値が出ているため運を味方に付けられなかった結果かもしれません。
今季は新加入のルナとレギュラー争いとなる見込みですが、打撃面ではやや分が悪いため守備面でもアピールしたいところです。
ブラッド・エルドレッド[35歳/左翼手/300打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。本塁打王を獲得した前年から長打力は据え置き、三振は減り四球が増えるなど打撃内容には改善が見られました。
打率だけは来日以降ワーストの数値となりましたが、運の要素の強いBABIP傑出の下落に起因する部分が大きく、
昨季と同じ打撃が出来れば打率回復が見込めるのではと考えますが、そろそろ加齢による成績低下も懸念すべきかもしれません。
會澤翼[27歳/捕手/290打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。捕手標準と比べて優秀な打撃は健在ではあったものの、持ち前の長打力はやや鳴りを潜めました。
正捕手定着が期待されたシーズンでしたが、先発出場した試合における投手スタッツが軒並み優れなかったことや、
リーグ最多の8捕逸を記録したことなどから首脳陣の信頼は得られなかったようで、出場機会をあまり伸ばせませんでした。
ネイト・シアーホルツ[31歳/右翼手/248打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。長打力に高い打撃能力の片鱗を見せましたが、四球と三振の比は非常に悪いフリースインガーでした。
左のプルヒッターであることを考えるとBABIP傑出はやや高めの数値であり、残留の場合は打率低下の懸念が強かったことと、
コンディション不良の影響か守備面での貢献も芳しくなかったため、放出の判断は間違っていないと考えます。
石原慶幸[36歳/捕手/238打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。近年では長打力と奪四球力が緩やかな低下するなど、打撃面では加齢による衰えが否めません。
特に2014年と2015年は捕手としてもやや物足りない打撃成績に留まっています。
打撃に優れる磯村嘉孝の台頭もあり、今後はバックアップ要因としての起用が徐々に増えて行きそうです。
鈴木誠也[21歳/右翼手/238打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。シーズン終盤に出場機会を伸ばし、特に8月以降は右翼手レギュラーに定着しました。
現時点では奪四球にやや課題を残すものの、優秀な長打力に対して三振の少ない打撃は大きな魅力です。
レギュラーに定着できれば野手陣の弱点である両翼(特に右翼)にぴったりとはまるため、首脳陣の期待も大きいと考えられます。
松山竜平[30歳/左翼手/229打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。長年の課題だった奪四球力が大幅に向上し、長打力もキャリアハイの数値をマークするなど好調のシーズンでした。
昨季の打撃を維持することが出来れば、攻撃型ポジション(一塁手or左翼手)で起用しても打撃による利得が生み出せる見込みです。
外野守備に不安のあるエルドレッドを一塁に固定し、松山を左翼に固定する選択肢もありではないかと考えます。
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