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2015年打者の通信簿 阪神タイガース編

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2015年の阪神タイガースにおいて200打席以上を記録した7人の打者について、
どの要素が効いて良い打撃成績を記録できたのか、どの要素が足を引っ張って悪い打撃成績を記録してしまったのか、
BABIP、K%(三振/打席)、BB%(四球/打席)、ISO(=長打率-打率)の観点から分析を行っていきたいと思います。


分析対象とした選手(シーズン200打席以上)
鳥谷敬・ゴメス・マートン・福留孝介・上本博紀・今成亮太・大和


鳥谷敬[34歳/遊撃手/646打席]
bac2015t_toritani_r.png
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。


優秀な奪四球力に加えて三振も平均より少なく、遊撃手としては歴代屈指のストライクゾーン管理能力を誇り、
ゴールデングラブ賞発表時に守備の衰えが話題となりましたが、非常に優秀な打撃能力は依然として健在です。
ただし近年では一貫して長打力が低下傾向にあり、緩やかな加齢による衰えは否めません。

マウロ・ゴメス[31歳/一塁手/601打席]
bac2015t_gomez_r.png
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。


前年から本塁打は半減したものの、四球が増えて三振は減ってややコンパクトな打撃スタイルになりました。
表面上は成績が低下しているように見えますが、打撃のバリューは前年とほぼ変わっていません。
鈍足の右打者の割にBABIP傑出がやたら高いのが気になりますが、マートンと同じ適性値が高いタイプかもしれません。

マット・マートン[34歳/左翼手/583打席]
bac2015t_murton_r.png
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。


6年間にわたり阪神外野陣の一翼を担いましたが、昨季限りでの退団が決定しました。
打率下落は運の要素の強いBABIPの低下に起因していると考えられますが、守備面の貢献が乏しいなどの理由から、
打率が回復しても年俸に見合った総合的なパフォーマンスを期待するのは難しかったかもしれません。

福留孝介[38歳/右翼手/569打席]
bac2015t_fukudome_r.png
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。


復帰3年目にして復活を果たし、チームのCS進出において最大の立役者となりました。
前年と比べると長打力が大きく回復し、元々優秀だった三振と四球と併せて打撃内容を全盛期の水準まで戻しました。
BABIP傑出に関しては渡米前の水準まで回復していませんが、加齢による走力低下の影響が大きいように思います。

上本博紀[29歳/二塁手/452打席]
bac2015t_uemoto.png
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。


ボールゾーンスイング率の低さに裏打ちされた優秀な奪四球力を誇ります。
昨季は三振がキャリアで最も少なかった一方で、四球と長打も少なめで不調気味のシーズンでしたが、
それでもUZRベースでの守備貢献の乏しさを打ち消して余りある打撃貢献を残しています。

今成亮太[28歳/三塁手/304打席]
bac2015t_imanari.png
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。


昨季のBABIP傑出はキャリア通算値から乖離しており、今季は打率低下の懸念が強いと考えられます。
新外国人ヘイグの加入により、三塁手レギュラー争いは厳しくなる見込みです。捕手で起用するプランもあるようですが、
三塁手としては打撃内容に物足りなさが否めず、現状では守備力を活かしたバックアップ起用がメインとなるかもしれません。

大和[28歳/二塁手/293打席]
bac2015t_yamato_r.png
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。


故障離脱した上本博紀の穴を埋める形で、二塁手としての出場が増加しました。
打撃に関しては三振・奪四球・長打力ともにキャリア水準を下回る低調なシーズンでしたが、
打率下落は運の要素の強いBABIPの低下に起因している部分も大きく、今季はある程度の打率回復が見込めると考えます。


2015年打者の通信簿
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コメント

全盛期の鳥谷は高い守備力と奪四球力、コンタクトと長打力も水準以上で
ピッチャーズパークを本拠地とする球団には理想的な選手と言えますね
ドラゴンズ時代の福留はさらにワンランク上の選手で、歴代でも上位にくる打者だと思います
上本も山田の影に隠れていますが、セカンドとしては十分な成績ですね
三振率を維持したまま長打力を復活させられれば言うことはないですが、さすがに酷な要求でしょうか

またゴメスは貴重な長距離砲としてとても頼りになりますね
打低環境ではどうしても長打は外国人頼みになりがちですが、江越、梅野が片鱗を見せています
世代交代を考えると、今年は極力二人を固定して成長を促したいところです

Re: タイトルなし

カンザスさん、コメントありがとうございます!

今の阪神は四球製造機が並ぶ打線が構築されていますが、これは落合時代の中日みたいで個人的には好みです。
中でも本塁打に依存せず非常に高いバリューを生み出していた点では、仰る通り鳥谷はピッチャーズパーク向きの選手でしたね。

今季はマートンと藤井彰人が抜けて嫌でも若手を使わなければならない状況になりましたが、
二軍での野手育成が割と順調なのに加えて、高山も悪くないようなので、野手の展望は決して暗くないのではと見ています。
問題は投手陣でしょうね。こちらは良くも悪くも新外国人次第でしょう。

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■投手陣アーカイブ
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 通算 シーズン RSWIN(PF/DER)
 通算 シーズン RSWIN(リリーフ)
 RSWINで見る強力ダブルエース
 RSWINで見る強力勝利の方程式

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 二軍PF 2019 2018 2017
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単打 二塁打 三塁打
三振 四球 FIP
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■2018年の特筆記事
 現役打者の2000本安打達成確率を考える
 現役20代選手の通算安打(2018年版)

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 現役20代選手の通算安打(2017年版)
 「8番投手」は珍しいのか?
 2017年各種パークファクター
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■2016年の特筆記事
 2016年における2000本安打の展望
 2016年広島打線、得点力向上の要因は?
 2016年各種パークファクター
 パリーグ野手編成と野手運用の私的評価
 セリーグの犠打減少を考える
 糸井嘉男の成績低下リスクを考える


■2015年の特筆記事
 2000本安打の展望
 違反球の再来?2015年セリーグ
 こちらも違反球?2015年パリーグ
 秋山と柳田が挑む、もうひとつの日本記録
 秋山翔吾の安打記録更新の確率を考える
 「余剰安打」で見る、安打新記録の価値
 山田哲人は何位?二塁手シーズンHR記録
 二塁手史上最高の打撃?2015年山田哲人
 30HRと30盗塁の両立
 三浦大輔、23年連続安打
 谷繁元信、27年連続本塁打
 坂本勇人、7年連続二桁本塁打
 阪神タイガース、得失点差-59で貯金
 2015年はどのくらい打低だったのか?
 2015年各種パークファクター

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 □分析結果系
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 徹底比較 ダルビッシュ有と田中将大
 平成の大投手 三浦大輔
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 0本塁打のスラッガー
 シーズン二桁本塁打に関する記録
 20盗塁カルテットに関する記録
 ピタゴラス勝率を用いた采配評価の妥当性
 鈴木啓示の先発勝利に関する疑義
 セリーグの野手世代交代に関する考察
 □分析手法系
 RSAAに守備力補正をかける
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