ロッテ打者の打撃内容を見る2015年の千葉ロッテマリーンズにおいて200打席以上を記録した11人の打者について、
どの要素が効いて良い打撃成績を記録できたのか、どの要素が足を引っ張って悪い打撃成績を記録してしまったのか、
BABIP、K%(三振/打席)、BB%(四球/打席)、ISO(=長打率-打率)の観点から分析を行っていきたいと思います。
分析対象とした選手(シーズン200打席以上)
鈴木大地・清田育宏・クルーズ・角中勝也・デスパイネ・今江敏晃・田村龍弘・荻野貴司・中村奨吾・井口資仁・岡田幸文
鈴木大地[26歳/遊撃手/564打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。昨季はBABIPは適性値よりやや低い値だったと見られるものの、それ以外は極めて標準的なシーズンでした。
三振が少ない割に四球を多く取れて長打力も低くなく、遊撃手の中では優秀な打撃能力を持ちますが、
UZRベースでは打撃の利得を打ち消すだけの損失を守備で出しているため、他ポジションで起用した方が光るかもしれません。
清田育宏[29歳/右翼手/548打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。昨季は規定打席に初めて到達し、ベストナインとゴールデングラブ賞を獲得する躍進のシーズンとなりました。
三振減少による確実性の向上がレギュラー定着への最後の決め手となりましたが、
奪四球力と長打力は一貫して優秀であり、先発起用に耐えうる打撃能力は以前から有していたと見られます。
ルイス・クルーズ[31歳/二塁手/532打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。三振と四球の少なさに加えて、BABIPの際立った低さが打者としての特徴ですが、
Batted-Ballデータを見ると内野フライが非常に多く、BABIP適性値が低い打撃スタイルだと考えられます。
出塁面に課題を多く抱えるものの、優秀な長打力により総合的な打撃貢献は二塁手平均を上回ります。
角中勝也[28歳/左翼手/484打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。優秀な四球/三振比に加え、高いBABIP適性値を持つと見られる出塁型の好打者です。
打撃に関してはやや早打ち気味だったのを除いて、極めて標準的なシーズンを送りましたが、
故障離脱によりレギュラー定着後ではワーストの稼働率に留まりました。
アルフレド・デスパイネ[29歳/指名打者/409打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。打撃内容は前年比でやや悪化しましたが、指名打者として見ても遜色ない打撃成績を残しました。
サンプルサイズから考えると、2014年の成績は打撃能力が十分に反映されたものではなかったかもしれません。
キューバからの派遣という体裁での在籍であるため、フルシーズン起用が難しいのが悩みどころです。
今江敏晃[32歳/三塁手/400打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。二塁打の多さを持ち味とする中距離打者。昨季は長打力がレギュラー定着後ではワーストの数値に沈みました。
一時的な不調であるか、不可逆的な衰えであるか判断が難しいところですが、
長期化している左脚の故障に原因があるとすれば、今季のV字回復は難しいと見るべきかもしれません。
田村龍弘[21歳/捕手/365打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。守備では非常に高いポテンシャルを見せているだけに、レギュラー定着に向けて打撃でもう一伸びが欲しいところです。
長打力は捕手標準よりも低く、強い打球が少ないためにBABIP適性値も低いと考えられますが、
打球の鋭さに対して四球はよく取れており、打球の質を改善できれば更なる四球増加も期待できそうです。
荻野貴司[30歳/左翼手/309打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。BABIPはやや高かったものの、三振・四球・長打がキャリア平均を下回る低調なシーズンでした。
現役1位(100盗塁以上)の通算盗塁成功率87.4%、現役7位の通算wSB(盗塁得点)13.8を誇る俊足の持ち主であり、
サブとして見れば使い勝手の良い選手ですが、年齢やチーム事情からレギュラー定着までの猶予はあまり残されていません。
中村奨吾[23歳/三塁手/299打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。ルーキーながら長く一軍に帯同。今江が故障離脱している間は代理で三塁手レギュラーを務めました。
現時点では打撃は三塁手として見れば物足りない水準にあり、将来性を買われての起用だったと見られます。
今江の放出で今季は出場機会を伸ばす見込みであり、この好機に打撃でも強くアピールしたいところです。
井口資仁[41歳/一塁手/250打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。日本復帰後は圧倒的な奪四球力を武器にしてきましたが、ここ数年は四球が減って三振が増えています。
四球と三振に比べて一般的に衰えるのが早いとされる長打力は依然として高い水準にあり、珍しい成績推移を辿っています。
守備負荷の低い一塁手や指名打者でのレギュラー起用は厳しさが否めないものの、代打など輝ける場所はまだありそうです。
岡田幸文[31歳/中堅手/205打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。四球と長打が少ない代わりに三振も少ない非常にコンパクトな打者です。打球に対して適性BABIPがあまり低くないため、
守備を加味すればレギュラーとして起用できるギリギリの打撃水準を保っていましたが、
昨季はUZRベースでは守備力にやや陰りが見られたのが懸念すべき点かもしれません。
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