ヤクルト打者の打撃内容を見る2015年の東京ヤクルトスワローズにおいて200打席以上を記録した9人の打者について、
どの要素が効いて良い打撃成績を記録できたのか、どの要素が足を引っ張って悪い打撃成績を記録してしまったのか、
BABIP、K%(三振/打席)、BB%(四球/打席)、ISO(=長打率-打率)の観点から分析を行っていきたいと思います。
分析対象とした選手(シーズン200打席以上)
山田哲人・川端慎吾・雄平・畠山和洋・中村悠平・大引啓次・比屋根渉・上田剛史・デニング
山田哲人[23歳/二塁手/646打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。昨季はRelative系の評価では二塁手歴代最高の打撃成績を記録しました。
前年と比べて三振がやや増加したものの、長打力の伸びからは打球の質の向上が見て取れます。
経年劣化の速いBABIPへの依存度が低い点では、長期的な活躍が期待できる打撃スタイルだと考えられます。
川端慎吾[28歳/三塁手/632打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。現役屈指のアベレージヒッター。打率の構成要素である三振の少なさと適性BABIPの高さが武器。
昨季はBABIPの上昇が首位打者獲得の要因となりましたが、三振率・四球率・長打力は例年通りだったことから、
適性値に大きな変化があったとは考え難く、今季は適性値への回帰による打率低下の懸念が強いと考えます。
雄平[31歳/右翼手/585打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。鮮烈なデビューを果たした前年から一転、軒並み成績を落とすシーズンとなりました。
三振を減らした代わりに長打と四球も大幅に減らすなど、打撃が小さくまとまってしまった印象を受けます。
チーム最大の弱点である外野の攻撃力不足を解消しうる存在であり、バレンティンと並ぶ優勝争いの鍵を握る選手です。
畠山和洋[33歳/一塁手/584打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。近年では持ち前のセカンダリの高さが発揮されないシーズンが続いていましたが、
昨季はキャリアハイの26HRを残し、それに伴い四球率も2011年以来の高水準となるなど好調ぶりが窺えました。
生え抜きで100打点を達成した打者はこれまで岩村明憲ただ一人だけでしたが、昨季は畠山と山田が新たに達成しました。
中村悠平[25歳/捕手/502打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。セリーグの捕手では唯一規定打席に到達しましたが、捕手平均と比較しても物足りない打撃成績に沈みました。
BABIP傑出の推移から見るに、2014年の高打率はフロックの疑いが強いと考えますが、
BABIP以外の項目も年々悪化傾向にあるのが心配な点です。打撃から守備へ意識がシフトしている顕れかもしれません。
大引啓次[31歳/遊撃手/347打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。神宮効果により長打力傑出はキャリアハイの数値を記録した一方で、出塁率はキャリア最低値を記録しました。
BABIP傑出はキャリア標準と比較して低かったため回復が見込めそうですが、年々四球率が低下しているのは心配な傾向です。
UZRベースの守備評価では併殺完成のスコアが良好で、相方として山田哲人の評価を押し上げたと見られます。
比屋根渉[28歳/中堅手/240打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。キャリアを通じて三振率・四球率・長打力がリーグ平均を超えた経験がないコンパクトな打者。
適性BABIPも非常に低いと見られ、守備力の高さを考慮してもレギュラー起用するには現状では物足りなさが否めません。
今季は上田剛史、オープン戦で好成績を残した新加入の坂口智隆と中堅手レギュラーを争う見込みです。
上田剛史[27歳/中堅手/238打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。各項目の数値はやや大きいですが、同僚の比屋根渉と同じ打撃タイプの打者。
上田は左打でありながら左投手を得意としている一方で、比屋根は右打ですが対右対左であまり成績に差が無く、
起用法で差別化して両者の良い部分を活かすのは難しい状況にあると言えるかもしれません。
ミッチ・デニング[27歳/左翼手/227打席]
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。ミレッジとバレンティンの故障離脱による外野手不足を受け、シーズン中盤に加入しました。
待球型の選手でまずまずの数の四球を選んだものの、左翼手として見ると長打力は物足りないものでした。
適性値を読み取るのは難しいですがBABIPはかなり低く、今季は成績改善の可能性もありましたが退団が決定しています。
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