記事一覧

当ブログについて

NPB2022

NPB2021

選手

打線

投手陣

球場

記録

分析

2015年打者の通信簿 福岡ソフトバンクホークス編

ソフトバンク打者の打撃内容を見る
2015年の福岡ソフトバンクホークスにおいて200打席以上を記録した7人の打者について、
どの要素が効いて良い打撃成績を記録できたのか、どの要素が足を引っ張って悪い打撃成績を記録してしまったのか、
BABIP、K%(三振/打席)、BB%(四球/打席)、ISO(=長打率-打率)の観点から分析を行っていきたいと思います。


分析対象とした選手(シーズン200打席以上)
柳田悠岐・松田宣浩・中村晃・内川聖一・李大浩・今宮健太・明石健志


柳田悠岐[27歳/中堅手/605打席]
bac2015h1_yanagita.png
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。


通算BABIP傑出1.29倍は1000BIP以上の選手では歴代1位。
レギュラー定着以降は三振率は右肩下がり、四球率は右肩上がりとゾーン関係指標の向上が顕著であり、
前述のBABIPの異常な高さもあって、出塁能力は歴代屈指のレベルに成長しました。

松田宣浩[32歳/三塁手/603打席]
bac2015h2_matsuda.png
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。


昨季は三振・四球が直近5年で最も多く、打撃スタイルがやや待球型に移行したことが見て取れます。
四球の増加に対して三振はあまり増えなかったことから、この戦略は功を奏したと考えられ、
出塁率はキャリアハイを記録したほか、RCWinは2011年に次ぐ数値となりました。

中村晃[26歳/右翼手/590打席]
bac2015h3_nakamura.png
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。


高BABIPと低三振を両立する現役屈指のアベレージヒッター。
長打力は非常に低いものの、奪四球は非常に多くアベレージヒッターの中でも出塁に特化したタイプとなっています。
昨季は本拠地が縮小したにもかかわらず長打力を落として更に出塁率を向上させるなど、より一芸特化の色が強くなりました。

内川聖一[33歳/左翼手/585打席]
bac2015h4_uchikawa.png
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。


高BABIPと低三振を両立する現役屈指のアベレージヒッターですが、2008年以降はBABIPが右肩下がりを続けており、
昨季はブレイク以降では初めてBABIPが平均を割り込み、連続打率3割が途絶える要因となりました。
近年の併殺数の増加を見るに、打撃ではなく走塁面の衰えが原因である可能性があります。

李大浩[33歳/指名打者/584打席]
bac2015h5_lee.png
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。


昨季はBABIPと三振率が共に振るわず、打率はキャリアワーストとなりましたが、
ホームランテラスの設置もあり長打力は来日1年目の水準まで回復。RCWinも2012年以来の好値となりました。
通算RCWin11.15は韓国出身選手では李承燁を超えるNPB史上最高値となりました。

今宮健太[24歳/遊撃手/530打席]
bac2015h6_imamiya.png
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。


昨季は6月下旬まで打率1割台の低空飛行が続きましたが、シーズン中盤以降に盛り返しました。
三振率・四球率・長打力はいずれもキャリア標準より優秀ながら、BABIPのみが低迷している状態であり、
今季も同じ打撃をすることが出来れば、適性値への回帰で打率向上が期待できると考えます。

明石健志[29歳/二塁手/394打席]
bac2015h7_akashi.png
※「○+」は100を平均としたBABIP、四球/打席(BB%)、ISO(=長打率-打率)の傑出度を示す。
※「K%-」は100を平均とした三振/打席(K%)の傑出度を示す。値が低いほど三振が少なく、高いほど三振が多い。


キャリアで初めて三振率がリーグ平均を下回ったほか、奪四球もキャリア標準を上回りました。
本多雄一の故障離脱に伴い出場機会を大きく伸ばした格好ですが、首脳陣の期待に見事に応えたと言えます。
二塁手標準を上回る打撃成績を残していることから、バックアップとしての起用は少々勿体ないという印象も受けます。


2015年打者の通信簿
2015年打者の通信簿 東京ヤクルトスワローズ編
2015年打者の通信簿 読売ジャイアンツ編
2015年打者の通信簿 阪神タイガース編
2015年打者の通信簿 広島東洋カープ編
2015年打者の通信簿 中日ドラゴンズ編
2015年打者の通信簿 横浜DeNAベイスターズ編
2015年打者の通信簿 福岡ソフトバンクホークス編
2015年打者の通信簿 北海道日本ハムファイターズ編
2015年打者の通信簿 千葉ロッテマリーンズ編
2015年打者の通信簿 埼玉西武ライオンズ編
2015年打者の通信簿 オリックス・バファローズ編
2015年打者の通信簿 東北楽天ゴールデンイーグルス編

コメント

今年の柳田はイデホが抜けたこともあり、まともに勝負されていませんね
BABIPが例年通りの数字を残せば、出塁率の記録が狙えるかもしれません

松田はデホと並び最もテラスの恩恵を受けた選手ですね
ここまでは不調ですが、待球型へのスタイル変更は選手生命を伸ばすことにもつながると思うので
三塁の有望株が育つまで頑張ってもらいたいです

中村は安定して出塁できる優れた選手なので、是非上位に固定してほしいです
得点圏打率の高さでクリーンアップの後ろを任される事が多いですが、長打力がないので返す役には向かず
またせっかくの出塁能力も後ろが下位打線では生かせません

内川は守備範囲も狭くなっているようなので、走力が衰えている可能性は高いと思います
去年の成績は攻撃ポジションとしては物足りないですが、本人の守備と外野の層の厚さを考えると
一塁へのコンバートは正しい選択ではないでしょうか

今宮は本拠地が狭くなったこともあり、長打方向へシフトしたほうが成績が伸びると思っていたのですが
今年は出塁を意識して結果を出しています
安達ほどではないですが守備がよく、また非常に頑丈な選手でもあるので
打撃で強みを作り長くチームに貢献できる選手になってほしいものです

明石は連続出場すると成績が落ちる印象がありますね
コンディションの維持が難しい選手なので、故障がちな本多と併用して互いに負担を減らしてほしいです
併用前提で考えると、右打者で長打力のある川島が離脱したのは痛いですね

チーム全体として、今年は長い黄金期を築けるかのターニングポイントになるような気がします
秋山政権を支えた打者が中堅となり、昨年は松田を除けば皆成績を落としています
彼らの2014年成績は各ポジション上位であるため、この変化が一時的なものか、加齢によるものかを見極め
世代交代への布石を打つ年になるのではないでしょうか

最後に12球団の分析、お疲れさまでした
カラーリングにより各打者の強みが一目でわかり
5年スパンで見ることで成績がフロックかどうかの見極めもしやすく勉強になりました
またデータを並べるだけでなくコメントによる分析を加えたことで、数字に馴染みがなくともとっつきやすく
セイバーメトリクスへの入り口としても優れていると思います
これだけの作業を続けるのは大変な労力だと思いますが、これからも楽しみにしております

柳田選手は昨年トリプルスリー達成によって注目を集めていましたが、やっぱり一番凄いのは.360を越える高打率と、歴代の超一流打者と比べても遜色ない高い出塁率ですよね

本塁打や打率よりも、出塁率や長打率の方が選手を評価するのに一般的な指標に成る時が来たらいいな と、RCなどの指標を見るたびに思います(出塁率、長打率は一応公式記録なのに、この扱いの悪さは何なんだろう)

Re: タイトルなし

カンザスさん、コメントありがとうございます!

おそらく「下位打線のリードオフマン」的な役割を意図しているのでしょうが、
中村晃は現状だと6番7番の起用になっているのは勿体ないですね。ソフトバンク打線の中でも出塁率は見劣りしませんし、
長打力の低さをカバーできる1番2番で起用した方が良いように私も思います。

内川は横浜時代に一塁を守っていた頃は優秀な守備貢献を残していた記憶があります。
コンバートの肝はどこまで当時の状態に近づけるかでしょうね。
正直なところ外野守備はあまり上手い方ではなかったので、コンバートによって貢献を増やせる可能性もあると考えています。

秋山前監督が構築したチームの最盛期は間違いなく2014年だったと私も思っています。今後は入れ替えが主題になってきますね。
入れ替えの喫緊性が比較的高いと思っているのは仰る通り、大きく成績を落とした本多と内川だと思われますが、
過去の三塁手を見ていると30代前半で急激に守備の衰えが来る例が散見されるので、松田も後任を見付けておかねばなりません。

攻撃型ポジションには活きのいい若手が多く台頭しているので、内川の代替はなんとかなるでしょうが、
この二塁と三塁はファームでの若手育成状況も(ソフトバンクにしては)あまり振るっておらず、
ここの選手獲得と育成が上手くいくかどうかが最大のポイントとなるような気がしています。
捕手・二塁・三塁のいずれかに、強力な利得の供給源を新しく配置できれば黄金期の寿命はかなり伸びるのではないでしょうか。

> 最後に12球団の分析、お疲れさまでした
ありがとうございます。結果的に開幕までずれ込んでしまいましたが、何とか終えることが出来ました。
次回からは2016年のプロ野球について書いていこうと思っているので、今後ともお付き合い頂ければ幸いです。

Re: タイトルなし

開聞岳さん、コメントありがとうございます!

昨季は故障さえなければシーズン出塁数記録を塗り替えそうな勢いでしたね。
昨季のMVPの2人で言えば山田哲人の強みは長打に、柳田悠岐の強みは出塁にあると個人的には考えています。

近頃では球場の電光掲示板に出塁率や長打率を表示する例も増えているようなので、
打撃を評価する指標としては少しずつ注目されつつあるように思いますね。それでもまだ打率より扱いは悪いですが。

No title

ソフトバンクは、内野手の育成だけでなく細川の後任も育てなくてはなりませんね、mlbのカージナルスもモリーナがいない試合の勝率は相当悪いですから

Re: No title

ロデックファンさん、コメントありがとうございます!

FA権を保有しながら行使していない捕手が他球団に複数いるので、
彼らを引き抜くのも手でしょうが、チームの長期の繁栄を狙うならやはり自前で育成するのが一番でしょうね。
今季は開幕から斐紹がレギュラーに抜擢されているので、彼には大きな期待が懸かっているのではと思います。

野村克也の「優勝チームに名捕手あり」という言葉は散々語られ尽くされて半ば球界の常識のような扱いになっていますが、
その野村の古巣がこのような状況になっているのはなかなか興味深いなあと思って見ています。

コメントの投稿

非公開コメント

コンテンツ

■2022年シーズンデータ
 ポジション別wRAAと先発救援別RSAA
 セリーグ パリーグ 各種PF


■選手INDEX(球団/五十音/守備)
  De
  西 他消滅球団
 
 

■打線アーカイブ
  De
  西 他消滅球団
 歴代打線得点力評価[-2020]
 歴代打線守備力評価[-2020]

■投手陣アーカイブ
  De
  西 他消滅球団

■打撃に関する記録
 wRAA通算 シーズン チーム
 wRC+通算 シーズン チーム
 BABIP+通算 シーズン チーム
 K%-通算 シーズン チーム
 BB%+通算 シーズン チーム
 ISO+通算 シーズン チーム

■投球に関する記録
 通算 シーズン RSWIN
 通算 シーズン RSWIN(PF/DER)
 通算 シーズン RSWIN(リリーフ)
 RSWINで見る強力ダブルエース
 RSWINで見る強力勝利の方程式

■守備に関する記録
 守備得点

■球場に関する記録
 一軍PF 2021 2020 2019
 二軍PF 2019 2018 2017
 セPF 得点 本塁打 BABIP
単打 二塁打 三塁打
三振 四球 FIP
 パPF 得点 本塁打 BABIP
単打 二塁打 三塁打
三振 四球 FIP
 球場別 東京ド 後楽園
甲子園
バンド ナゴヤ球場
マツダ 広島市民
De 横浜 川崎球場
神宮
PayPay 平和台 大阪球場
西 メラド 小倉球場
京セラ GS神戸 阪急西宮
ZOZO 東京スタジアム
札幌ド 駒沢球場
楽天生命
日本生命 藤井寺

■RCWINに関する記録
 RCWIN歴代記録[-2020]
 通算 シーズン RCWIN
 通算 シーズン RCWIN(PF)
 通算 シーズン RCWIN(PF/POS)
 RCWINで見る強力打撃コンビ
 RCWINで見る強力打撃トリオ
 ポジション別
 

■傑出度に関する記録
 打撃歴代記録[-2020]
 通算 シーズン 打率傑出度
 通算 シーズン 出塁率傑出度
 通算 シーズン 長打率傑出度
 通算 シーズン OPS傑出度
 投球歴代記録[-2020]
 通算 シーズン 防御率傑出度
 通算 シーズン 奪三振率傑出度
 通算 シーズン 与四球率傑出度

■戦力分析とドラフト評価
 2019年一軍分析
  De 西
 2019年二軍分析
  De 西
 2019年補強・ドラフト評価
  De 西
 2017年戦力分析
  De 西
 2015年戦力分析
  De 西
 2014年戦力分析
  De 西
 2013年戦力分析
  De 西
 2015年二軍評価
  De 西
 2015年ファーム得点PFと選手評価
 打順の組み方を眺める
 2016年 セリーグ パリーグ

■選手の個人評価
 ポジション別に最優秀打者を選ぶ
 2017年 セリーグ パリーグ
 2016年 セリーグ パリーグ
 2015年 セリーグ パリーグ
 2014年 セリーグ パリーグ
 2013年 セリーグ パリーグ
 2016年打者の通信簿
  De 西
 2015年打者の通信簿
  De 西
 2014年選手別守備得点と総合貢献
 総括
 簡易WARの答え合わせ2014
 球団史上最高の4人を選ぶ
    De 西
 

■2018年の特筆記事
 現役打者の2000本安打達成確率を考える
 現役20代選手の通算安打(2018年版)

■2017年の特筆記事
 現役20代選手の通算安打(2017年版)
 「8番投手」は珍しいのか?
 2017年各種パークファクター
 2017広島打線は史上最強か?

■2016年の特筆記事
 2016年における2000本安打の展望
 2016年広島打線、得点力向上の要因は?
 2016年各種パークファクター
 パリーグ野手編成と野手運用の私的評価
 セリーグの犠打減少を考える
 糸井嘉男の成績低下リスクを考える


■2015年の特筆記事
 2000本安打の展望
 違反球の再来?2015年セリーグ
 こちらも違反球?2015年パリーグ
 秋山と柳田が挑む、もうひとつの日本記録
 秋山翔吾の安打記録更新の確率を考える
 「余剰安打」で見る、安打新記録の価値
 山田哲人は何位?二塁手シーズンHR記録
 二塁手史上最高の打撃?2015年山田哲人
 30HRと30盗塁の両立
 三浦大輔、23年連続安打
 谷繁元信、27年連続本塁打
 坂本勇人、7年連続二桁本塁打
 阪神タイガース、得失点差-59で貯金
 2015年はどのくらい打低だったのか?
 2015年各種パークファクター

■考察のようななにか
 □分析結果系
 貯金と得失点差の関係を整理する
 徹底比較 ダルビッシュ有と田中将大
 平成の大投手 三浦大輔
 ポスト松井稼頭央時代の遊撃手総合力評価
 恐怖の8番打者
 稲葉篤紀、現役引退表明
 0本塁打のスラッガー
 シーズン二桁本塁打に関する記録
 20盗塁カルテットに関する記録
 ピタゴラス勝率を用いた采配評価の妥当性
 鈴木啓示の先発勝利に関する疑義
 セリーグの野手世代交代に関する考察
 □分析手法系
 RSAAに守備力補正をかける
 守備イニング推定手法の改良案
 RRFの考え方
 外野刺殺指標試案
 外野補殺指標試案
 NPB版oWAR(試案)

■データ置き場
 通算 シーズン 守備位置別安打記録
 通算 シーズン 奪三振率
 通算 シーズン 与四球率
 通算 シーズン K%
 通算 シーズン BB%
 通算 シーズン wSB(盗塁得点)
 投手のシーズン本塁打記録
 セパ年度別 打低打高早見表
 年度別タイトル・表彰獲得者一覧
 平成時代のポジション別最多安打打者
 日本時代のイチローの全試合成績


■当ブログのデータについて
 Kazmix World
 日本プロ野球記録
 スタメンデータベース
 日本プロ野球私的統計研究会
 を参考にさせていただいています。

■お問い合わせ
 ご意見ご感想、間違いのご指摘など
 お問い合わせは コメント欄 及び
 ranzankeikoku.npbstats★gmail.com
 にお願い致します。(★を@に変換)

Twitter

検索フォーム

訪問者カウンター