ここまでのパ・リーグ野手編成と野手運用の私的評価
- 2016/06/02
- 18:35
2016年パ・リーグ野手編成と野手運用の評価
2016年シーズンも約1/3が終了しました。
各打線のオーダーも固まりつつあるようなので、いつものフォーマットで主要オーダーとその打撃内容を確認しつつ、
昨季からの起用法の変化について取り上げ、そこから野手の編成と運用の評価を行いたいと思います。
福岡ソフトバンクホークス 李大浩の穴を4つのポジションでカバー

※「○○+」はリーグ平均を100としたときのBABIP、三振/打席(K%)、四球/打席(BB%)、長打力-打率(ISO)の傑出度を示す。
※「PF-RCWin」は球場補正を行ったRCWinを示す。※球場補正は2013年-2015年の得点PFを用いた。(ヤフオクドームは2015年の得点PFを用いた。)
最大の焦点は一塁手と指名打者を半々で務めた李大浩の補填です。
足に不安を抱える長谷川勇也が指名打者に、走力に衰えの見られる内川聖一を左翼手から一塁手にコンバート、
外野守備に難のある中村晃を右翼手から左翼手に移し、右翼手には福田秀平を入れる布陣を敷いています。
長谷川勇也・内川聖一・中村晃・福田秀平の全員がポジション平均程度の打撃成績を残しており、
李大浩の放出による穴は顕在化していませんが、打撃力の観点からすれば打線の強みを失う形となりました。
一方で横浜時代に一塁守備で優秀な成績を残していた内川聖一は守備で息を吹き返し、新たに守備の強みが生まれました。
近年では捕手が打撃の弱点となる傾向がありましたが、今季は鶴岡と髙谷の好調により穴が塞がっています。
代わりに弱点となっているのが二塁手。本多雄一の調子が上向かなければ昨季のように運用で乗り切る必要が出てきますが、
現時点では川島慶三と明石健志が故障離脱、髙田知季も揃って不調でありズルズルとマイナスが拡大する可能性があります。
打席数の多い1番2番の打力が低く、3番-7番の打力が高い一見すると合理的でない組み方になっているのは例年通りですが、
バレンタイン監督が提唱したとされる「待球型と早打ち型を交互に並べる」を体現する形になっているのは興味深い点です。
千葉ロッテマリーンズ クルーズと今江敏晃の代替状況

※「○○+」はリーグ平均を100としたときのBABIP、三振/打席(K%)、四球/打席(BB%)、長打力-打率(ISO)の傑出度を示す。
※「PF-RCWin」は球場補正を行ったRCWinを示す。※球場補正は2013年-2015年の得点PFを用いた。(ヤフオクドームは2015年の得点PFを用いた。)
昨季オフにレギュラー二人(二塁:クルーズ/三塁:今江敏晃)が退団し、
そこをどう埋めるかが今季の課題となっていましたが、現時点では上手く代替できているのではないでしょうか。
二塁手のナバーロは打撃三部門こそ振るっていませんが四球が非常に多く、打撃貢献はパ二塁手平均を大幅に上回っています。
打撃面ではクルーズの穴を感じさせない活躍を見せていますが、二塁守備は課題も多いようで(5/30時点でUZR-5.8)、
今後も同じ傾向が続くようであれば、中村奨吾と守備位置を入れ替えるか一塁手コンバートを考えた方が良いかもしれません。
三塁手は開幕当初は細谷圭が担当し、二塁手にナバーロが復帰した後は中村奨吾が担当しています。
中村奨吾の打撃は攻撃型ポジションである三塁手の標準と比べるとやや見劣りしますが、
四球を伸ばすなど昨季からは成長の跡が確認できます。低めのBABIPが上がってこれば見れる成績になりそうです。
中村剛也・松田宣浩が不調気味であることもあり、三塁手の打撃でディスアドバンテージを背負う状態にはなっていません。
打撃面で課題になっているポジションは昨季と同じ中堅手。
一番手の岡田幸文と二番手の加藤翔平は共に出塁率が3割を下回る厳しい状況となっています。
北海道日本ハムファイターズ 近藤健介の右翼手コンバート

※「○○+」はリーグ平均を100としたときのBABIP、三振/打席(K%)、四球/打席(BB%)、長打力-打率(ISO)の傑出度を示す。
※「PF-RCWin」は球場補正を行ったRCWinを示す。※球場補正は2013年-2015年の得点PFを用いた。(ヤフオクドームは2015年の得点PFを用いた。)
面子は昨季から変わっていませんが、捕手と指名打者の兼業だった近藤健介が右翼手へコンバートされました。
右翼手は攻撃面の弱点となっていたのに対して、捕手は大野奨太・近藤健介とレギュラー級の野手を二人抱えており、
デプスのムラを解消して現有戦力の最大化を図る意味では、有効な方向性を持った施策だったと言えます。
あとは近藤健介自身の外野守備適性が問題となりますが、捕手→外野手のコンバートと言えば
古くは白仁天・江藤慎一・山本八郎、近年では和田一浩・関川浩一・礒部公一と成功例を挙げれば枚挙に暇がないように、
現時点では近藤健介も例に漏れず、平均前後の外野守備貢献を残しています。(6/1時点でUZR-0.3)
誤算は昨季から打撃成績を大きく落としてしまったことでしょう。特に長打の減少はかなり深刻なレベルとなっています。
加えて他球団の左翼手が軒並み好調なため、左翼手の攻撃力でもやや遅れを取っている状況です。
前述の右翼手と併せた両翼の攻撃力不足をどう埋め合わせるかが今季の課題となります。
埼玉西武ライオンズ 森友哉の捕手転向失敗による影響

※「○○+」はリーグ平均を100としたときのBABIP、三振/打席(K%)、四球/打席(BB%)、長打力-打率(ISO)の傑出度を示す。
※「PF-RCWin」は球場補正を行ったRCWinを示す。※球場補正は2013年-2015年の得点PFを用いた。(ヤフオクドームは2015年の得点PFを用いた。)
捕手転向を目指して春季キャンプで守備練習に比重を置いたためか森友哉が打撃不振に陥り、
今季は指名打者に中村剛也が時々入り、日替わりのバックアップ要因で三塁手を埋める布陣を敷いています。
新加入の木村昇吾と渡辺直人が好調で森友哉の穴は顕在化していませんが、打撃の強みを失う形になりました。
近年では捕手と遊撃手の攻撃力不足に苦しむシーズンが続いていますが、
今季は炭谷銀仁朗・金子侑司・鬼崎裕司が好調で、他球団に対して打撃で後れを取る状況にはなっていません。
攻撃面で唯一の弱点となっているポジションが右翼手。昨季の脇谷亮太の穴を埋められていない格好です。
坂田遼が開幕以降しばらく固定されたものの、期待に応えられませんでした。
補填に向けて森友哉を外野転向させる動きもありますが、守備指標を見る限りでは外野以外で起用した方が良いように感じます。
オリックス・バファローズ モレルとボグセビックの獲得

※「○○+」はリーグ平均を100としたときのBABIP、三振/打席(K%)、四球/打席(BB%)、長打力-打率(ISO)の傑出度を示す。
※「PF-RCWin」は球場補正を行ったRCWinを示す。※球場補正は2013年-2015年の得点PFを用いた。(ヤフオクドームは2015年の得点PFを用いた。)
チーム全体の得点力は昨季比で大幅に下落しました。ポジション別に見ると捕手と遊撃手で下落幅が大きく、
伊藤光と安達了一の打撃不振とそれをカバーするバックアップ要因の乏しさが露呈する形となりました。
T-岡田と糸井嘉男の復調というプラス要因もありますが、前述のマイナス要因を埋め合わせるには至っていません。
昨季において最大の弱点になっていた中堅手は新外国人のボグセビックが上手くはまらず、
駿太と宮崎祐樹も打撃不振で状況は更に厳しくなっています。現在は好調の小島脩平が先発起用されていますが、
一軍実績の乏しさと二軍成績(通算OPS5割台)を考えると、今後の継続性に関しては不安が残ると言わざるを得ません。
坂口智隆の放出はチームにとってかなりの痛手だったのではないでしょうか。
一塁手と三塁手については「人材がダブついているが、チームの強みに成っていない」というジレンマを抱える状況にあり、
そこに対して新外国人のモレルを投入した判断はなかなか評価が難しいところです。
実際にモレルの加入により一塁手と三塁手の攻撃力はやや底上げされましたが、依然としてチームの強みにはなっていません。
いずれにせよ、野手全体のコストパフォーマンスの改善に向けて一塁手と三塁手の人員整理は必要不可欠でしょう。
東北楽天ゴールデンイーグルス 茂木栄五郎の活躍と今江敏晃・ゴームズの獲得

※「○○+」はリーグ平均を100としたときのBABIP、三振/打席(K%)、四球/打席(BB%)、長打力-打率(ISO)の傑出度を示す。
※「PF-RCWin」は球場補正を行ったRCWinを示す。※球場補正は2013年-2015年の得点PFを用いた。(ヤフオクドームは2015年の得点PFを用いた。)
楽天打線に対して最も大きなインパクトを与えたのは茂木栄五郎の加入です。
二遊間の選手としては四球と三振は及第点ですが、二塁打と三塁打が非常に多いため長打力は高水準にあり、
昨季においてチームの弱点だった遊撃手の打撃を強みに変えたという点で、打線に対して大きいプラスの影響を与えました。
一方で誤算だったのが新加入のゴームズで、ペーニャの後任として期待されましたが打撃不振で指名打者には定着できず、
攻撃型ポジションの代替要員が乏しいチーム事情もあり、昨季との比較では指名打者の攻撃力低下が大きくなっています。
ウィーラーを左翼手から回すことでマイナスは下げ止まっていますが、左翼手の代替要因も用意しなければ問題は解決しません。
他の選手で指名打者と左翼手の補填をどのように行うかが、攻撃面における今季の課題となります。
銀次・ウィーラーと三塁を守れる選手が多い中に三塁手を重ねる形となった、今江敏晃の獲得評価は難しいところです。
押し出された銀次は一塁手、ウィーラーは左翼手の攻撃力を相対的に向上させたため、非効率な補強だったとは言い切れませんが、
肝心の三塁手の攻撃力改善には繋がっていません。評価の可否は今江敏晃が昨季から続く不振から脱却できるか次第でしょう。
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各打線のオーダーも固まりつつあるようなので、いつものフォーマットで主要オーダーとその打撃内容を確認しつつ、
昨季からの起用法の変化について取り上げ、そこから野手の編成と運用の評価を行いたいと思います。
福岡ソフトバンクホークス 李大浩の穴を4つのポジションでカバー


※「○○+」はリーグ平均を100としたときのBABIP、三振/打席(K%)、四球/打席(BB%)、長打力-打率(ISO)の傑出度を示す。
※「PF-RCWin」は球場補正を行ったRCWinを示す。※球場補正は2013年-2015年の得点PFを用いた。(ヤフオクドームは2015年の得点PFを用いた。)
最大の焦点は一塁手と指名打者を半々で務めた李大浩の補填です。
足に不安を抱える長谷川勇也が指名打者に、走力に衰えの見られる内川聖一を左翼手から一塁手にコンバート、
外野守備に難のある中村晃を右翼手から左翼手に移し、右翼手には福田秀平を入れる布陣を敷いています。
長谷川勇也・内川聖一・中村晃・福田秀平の全員がポジション平均程度の打撃成績を残しており、
李大浩の放出による穴は顕在化していませんが、打撃力の観点からすれば打線の強みを失う形となりました。
一方で横浜時代に一塁守備で優秀な成績を残していた内川聖一は守備で息を吹き返し、新たに守備の強みが生まれました。
近年では捕手が打撃の弱点となる傾向がありましたが、今季は鶴岡と髙谷の好調により穴が塞がっています。
代わりに弱点となっているのが二塁手。本多雄一の調子が上向かなければ昨季のように運用で乗り切る必要が出てきますが、
現時点では川島慶三と明石健志が故障離脱、髙田知季も揃って不調でありズルズルとマイナスが拡大する可能性があります。
打席数の多い1番2番の打力が低く、3番-7番の打力が高い一見すると合理的でない組み方になっているのは例年通りですが、
バレンタイン監督が提唱したとされる「待球型と早打ち型を交互に並べる」を体現する形になっているのは興味深い点です。
千葉ロッテマリーンズ クルーズと今江敏晃の代替状況


※「○○+」はリーグ平均を100としたときのBABIP、三振/打席(K%)、四球/打席(BB%)、長打力-打率(ISO)の傑出度を示す。
※「PF-RCWin」は球場補正を行ったRCWinを示す。※球場補正は2013年-2015年の得点PFを用いた。(ヤフオクドームは2015年の得点PFを用いた。)
昨季オフにレギュラー二人(二塁:クルーズ/三塁:今江敏晃)が退団し、
そこをどう埋めるかが今季の課題となっていましたが、現時点では上手く代替できているのではないでしょうか。
二塁手のナバーロは打撃三部門こそ振るっていませんが四球が非常に多く、打撃貢献はパ二塁手平均を大幅に上回っています。
打撃面ではクルーズの穴を感じさせない活躍を見せていますが、二塁守備は課題も多いようで(5/30時点でUZR-5.8)、
今後も同じ傾向が続くようであれば、中村奨吾と守備位置を入れ替えるか一塁手コンバートを考えた方が良いかもしれません。
三塁手は開幕当初は細谷圭が担当し、二塁手にナバーロが復帰した後は中村奨吾が担当しています。
中村奨吾の打撃は攻撃型ポジションである三塁手の標準と比べるとやや見劣りしますが、
四球を伸ばすなど昨季からは成長の跡が確認できます。低めのBABIPが上がってこれば見れる成績になりそうです。
中村剛也・松田宣浩が不調気味であることもあり、三塁手の打撃でディスアドバンテージを背負う状態にはなっていません。
打撃面で課題になっているポジションは昨季と同じ中堅手。
一番手の岡田幸文と二番手の加藤翔平は共に出塁率が3割を下回る厳しい状況となっています。
北海道日本ハムファイターズ 近藤健介の右翼手コンバート


※「○○+」はリーグ平均を100としたときのBABIP、三振/打席(K%)、四球/打席(BB%)、長打力-打率(ISO)の傑出度を示す。
※「PF-RCWin」は球場補正を行ったRCWinを示す。※球場補正は2013年-2015年の得点PFを用いた。(ヤフオクドームは2015年の得点PFを用いた。)
面子は昨季から変わっていませんが、捕手と指名打者の兼業だった近藤健介が右翼手へコンバートされました。
右翼手は攻撃面の弱点となっていたのに対して、捕手は大野奨太・近藤健介とレギュラー級の野手を二人抱えており、
デプスのムラを解消して現有戦力の最大化を図る意味では、有効な方向性を持った施策だったと言えます。
あとは近藤健介自身の外野守備適性が問題となりますが、捕手→外野手のコンバートと言えば
古くは白仁天・江藤慎一・山本八郎、近年では和田一浩・関川浩一・礒部公一と成功例を挙げれば枚挙に暇がないように、
現時点では近藤健介も例に漏れず、平均前後の外野守備貢献を残しています。(6/1時点でUZR-0.3)
誤算は昨季から打撃成績を大きく落としてしまったことでしょう。特に長打の減少はかなり深刻なレベルとなっています。
加えて他球団の左翼手が軒並み好調なため、左翼手の攻撃力でもやや遅れを取っている状況です。
前述の右翼手と併せた両翼の攻撃力不足をどう埋め合わせるかが今季の課題となります。
埼玉西武ライオンズ 森友哉の捕手転向失敗による影響


※「○○+」はリーグ平均を100としたときのBABIP、三振/打席(K%)、四球/打席(BB%)、長打力-打率(ISO)の傑出度を示す。
※「PF-RCWin」は球場補正を行ったRCWinを示す。※球場補正は2013年-2015年の得点PFを用いた。(ヤフオクドームは2015年の得点PFを用いた。)
捕手転向を目指して春季キャンプで守備練習に比重を置いたためか森友哉が打撃不振に陥り、
今季は指名打者に中村剛也が時々入り、日替わりのバックアップ要因で三塁手を埋める布陣を敷いています。
新加入の木村昇吾と渡辺直人が好調で森友哉の穴は顕在化していませんが、打撃の強みを失う形になりました。
近年では捕手と遊撃手の攻撃力不足に苦しむシーズンが続いていますが、
今季は炭谷銀仁朗・金子侑司・鬼崎裕司が好調で、他球団に対して打撃で後れを取る状況にはなっていません。
攻撃面で唯一の弱点となっているポジションが右翼手。昨季の脇谷亮太の穴を埋められていない格好です。
坂田遼が開幕以降しばらく固定されたものの、期待に応えられませんでした。
補填に向けて森友哉を外野転向させる動きもありますが、守備指標を見る限りでは外野以外で起用した方が良いように感じます。
オリックス・バファローズ モレルとボグセビックの獲得


※「○○+」はリーグ平均を100としたときのBABIP、三振/打席(K%)、四球/打席(BB%)、長打力-打率(ISO)の傑出度を示す。
※「PF-RCWin」は球場補正を行ったRCWinを示す。※球場補正は2013年-2015年の得点PFを用いた。(ヤフオクドームは2015年の得点PFを用いた。)
チーム全体の得点力は昨季比で大幅に下落しました。ポジション別に見ると捕手と遊撃手で下落幅が大きく、
伊藤光と安達了一の打撃不振とそれをカバーするバックアップ要因の乏しさが露呈する形となりました。
T-岡田と糸井嘉男の復調というプラス要因もありますが、前述のマイナス要因を埋め合わせるには至っていません。
昨季において最大の弱点になっていた中堅手は新外国人のボグセビックが上手くはまらず、
駿太と宮崎祐樹も打撃不振で状況は更に厳しくなっています。現在は好調の小島脩平が先発起用されていますが、
一軍実績の乏しさと二軍成績(通算OPS5割台)を考えると、今後の継続性に関しては不安が残ると言わざるを得ません。
坂口智隆の放出はチームにとってかなりの痛手だったのではないでしょうか。
一塁手と三塁手については「人材がダブついているが、チームの強みに成っていない」というジレンマを抱える状況にあり、
そこに対して新外国人のモレルを投入した判断はなかなか評価が難しいところです。
実際にモレルの加入により一塁手と三塁手の攻撃力はやや底上げされましたが、依然としてチームの強みにはなっていません。
いずれにせよ、野手全体のコストパフォーマンスの改善に向けて一塁手と三塁手の人員整理は必要不可欠でしょう。
東北楽天ゴールデンイーグルス 茂木栄五郎の活躍と今江敏晃・ゴームズの獲得


※「○○+」はリーグ平均を100としたときのBABIP、三振/打席(K%)、四球/打席(BB%)、長打力-打率(ISO)の傑出度を示す。
※「PF-RCWin」は球場補正を行ったRCWinを示す。※球場補正は2013年-2015年の得点PFを用いた。(ヤフオクドームは2015年の得点PFを用いた。)
楽天打線に対して最も大きなインパクトを与えたのは茂木栄五郎の加入です。
二遊間の選手としては四球と三振は及第点ですが、二塁打と三塁打が非常に多いため長打力は高水準にあり、
昨季においてチームの弱点だった遊撃手の打撃を強みに変えたという点で、打線に対して大きいプラスの影響を与えました。
一方で誤算だったのが新加入のゴームズで、ペーニャの後任として期待されましたが打撃不振で指名打者には定着できず、
攻撃型ポジションの代替要員が乏しいチーム事情もあり、昨季との比較では指名打者の攻撃力低下が大きくなっています。
ウィーラーを左翼手から回すことでマイナスは下げ止まっていますが、左翼手の代替要因も用意しなければ問題は解決しません。
他の選手で指名打者と左翼手の補填をどのように行うかが、攻撃面における今季の課題となります。
銀次・ウィーラーと三塁を守れる選手が多い中に三塁手を重ねる形となった、今江敏晃の獲得評価は難しいところです。
押し出された銀次は一塁手、ウィーラーは左翼手の攻撃力を相対的に向上させたため、非効率な補強だったとは言い切れませんが、
肝心の三塁手の攻撃力改善には繋がっていません。評価の可否は今江敏晃が昨季から続く不振から脱却できるか次第でしょう。
2016年の特筆記事
2016年における2000本安打の展望
2016年広島打線、得点力向上の要因は?
2016年各種パークファクター
パ・リーグ野手編成と野手運用の私的評価(交流戦開始時点)
バントをしない"非攻撃型2番打者"? セリーグの犠打減少を考える
24歳の若きスラッガー 山田哲人と王貞治を比較する