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2017年戦力分析 読売ジャイアンツ編


チーム全体の状況

20180214_G.png 
※打撃・守備・投球の数値は、各部門で「リーグ平均に対し何点分の利得を作れたか」を示す。打撃はwOBA[1]、守備はUZRとDER[2]、投球はFIP[3]をベースに算出。
※「P勝率」は得点と失点から期待される勝率(ピタゴラス勝率)、「B勝率」はwOBAとUZRとFIPから期待される勝率(Baserun勝率)を示す。


2017年、読売ジャイアンツは4位となりました。Bクラスは11年ぶり。
時代の一区切りを迎えたと見てもよいのではないでしょうか。

投手陣は依然として強力ながら、野手陣で強みを生み出せない状況が続いています。
今季は新加入のマギー・陽岱鋼がレギュラーに定着するなど、大型補強が一定の成果を挙げたと言えますが、
既存戦力の成績低下が大きく響き、野手陣の打撃(wOBA)と守備(UZR)の合計値はマイナスに沈んでいます。

ちなみに、打撃(wOBA)・守備(UZR)・投球(FIP)から期待される勝率(Baserun勝率)は2位相当であり、
実力通りの勝率が得られない不運なシーズンだったと考えられます。


各ポジションの状況

20180211_G野手
※打撃はwOBA、守備はUZRを用いて「同ポジションの平均的な選手と比較してチームの得失点改善に何点分貢献したか」を評価。右のグラフは打撃と守備の合算値です。

遊撃手で坂本勇人が攻守でリーグトップクラスの活躍を見せたほか、
新加入のマギーと陽岱鋼の働きにより、チームの弱点となっていた二塁手と中堅手が底上げされました。
しかし、明確な強みと呼べるポジションは遊撃手以外に存在せず、苦しい状況であることは否めません。

一方で弱点は攻撃型ポジションに集中する構成となっています。
一塁手は阿部慎之助が振るわなかったほか、左翼手はレギュラーを固定できなかったことが響きました。
また、スラッガー型の若手打者を上手く育成できていないことも、マイナスの増大に拍車を掛けました。


20180311_投手
※右端の投球利得はFIPを用いて「平均的な先発(救援)投手と比較してチームの失点を何点分減らしたか」を評価。
※同点~3点リードの状況での登板割合が50%以上かつ30登板以上の投手を「勝ちパターン」と定義しました。[4]

先発投手は最大の利得を創出するポジションとなりました。
マイコラス・菅野智之が圧倒的な成績を残し、田口麗斗も貯金を期待できる投球をマーク。
下位ローテでマイナスが拡大しない選手層の厚さもあり、リーグNo.1のプラスを創出する布陣となりました。

救援投手は勝ちパターンのあと一枚が決まりませんでした。
守護神の澤村拓一の長期離脱に加え、新加入の森福允彦が上手くはまらず救援投手が不足。
マシソン・カミネロに続く勝ちパターンが固定できず、チームの弱みの一つとなりました。


来季の戦力向上に向けて

打撃特化型の野手不足により攻撃型ポジションでマイナスが発生しています。
ここは補強での穴埋めが容易であるため、外国人打者の海外スカウトや他球団からの引き抜き、
FA権の取得を目前に控える88年世代(+前後世代)の獲得を狙うのが、確実で手っ取り早い方法になりそうです。

ただ、近年の補強が上手くいかなかったために現状があるのもまた事実です。
資金力の優位が失われつつあること、他球団が外国人を長期契約で囲い込むようになったことが影響しており、
補強で攻撃型ポジションを安定的に埋めたい場合、今後は外国人スカウトの比重を高める必要がありそうです。

二軍で左翼手に固定されている岡本和真も楽しみな存在になりつつあります。
昨季に続いて長打力の片鱗を見せており、彼を一軍に定着させられれば一塁手・左翼手の底上げが見込めます。
(一方で二軍の一塁手は堂上剛裕の退団で空席になるため、新しい若手のスラッガー候補を獲得したいところ)

不確定要素の多さから、起用法がポイントとなりそうなポジションが二塁手。
来季はマギーは三塁手に固定される見込みのため、中井大介・山本泰寛・吉川尚輝らで埋める必要があります。
彼らの二軍実績と年齢を考えると強みを生み出せる可能性もありますが、現時点では未知数な部分もあります。

先発投手陣はエース格のマイコラスの退団が確定している厳しい状況ですが、
二軍まで含めた選手層の厚さを考慮すれば、平均に近い水準で代替できる可能性が高いのではないでしょうか。
一方で救援陣は不安が残る陣容。澤村拓一の復帰は心強いですが更に補強か先発から回して対応したいところ。


今オフの動き

□外部補強
 上原浩治  42歳 投手 右投右打 自由契約 CHC(MLB)
 野上亮麿  30歳 投手 右投右打 FA移籍 西武
 ヤングマン 28歳 投手 右投右打 新外国人 MIL(MLB)
 ゲレーロ  31歳 左翼 右投右打 新外国人 中日

最大の目玉はゲレーロ。左翼手で最大のマイナスを出したことを考えると、的確な補強ではないでしょうか。
来季も同じ成績を残すことができれば、左翼手は弱みから強みへと転じることになります。
順調にいけばこの部分で30点近い改善が見込めるため、マイコラスの抜けた分の多くをカバーできる見込み。

□ドラフト
 鍬原拓也 21歳 投手 右投右打 ドラフト1位 中央大
 岸田行倫 21歳 捕手 右投右打 ドラフト2位 大阪ガス
 大城卓三 25歳 捕手 右投打 ドラフト3位 NTT西日本
 北村拓己 22歳 遊撃 右投右打 ドラフト4位 亜細亜大
 田中俊太 24歳 二塁 右投打 ドラフト5位 日立製作所
 若林晃弘 24歳 二塁 右投両打 ドラフト6位 JX-ENEOS
 村上海斗 22歳 外野 右投右打 ドラフト7位 奈良学園大
 湯浅大  18歳 遊撃 右投右打 ドラフト8位 高崎健康福祉大高崎高

即戦力野手中心のドラフトに。8人中6人が即戦力野手。
一軍のニーズと二軍の状況を考えると、やはり清宮幸太郎のクジは当てたかったところ。
その後も攻撃型ポジションの野手指名は少なかったため、弱点は補強で埋めていく方針なのかもしれません。


2017年戦力分析

2017年戦力分析 広島東洋カープ編
2017年戦力分析 阪神タイガース編
2017年戦力分析 横浜DeNAベイスターズ編
2017年戦力分析 読売ジャイアンツ編
2017年戦力分析 中日ドラゴンズ編
2017年戦力分析 東京ヤクルトスワローズ編
2017年戦力分析 福岡ソフトバンクホークス編
2017年戦力分析 埼玉西武ライオンズ編
2017年戦力分析 東北楽天ゴールデンイーグルス編
2017年戦力分析 オリックス・バファローズ編
2017年戦力分析 北海道日本ハムファイターズ編
2017年戦力分析 千葉ロッテマリーンズ編

読売ジャイアンツ戦力分析

2014年戦力分析 読売ジャイアンツ編
2015年戦力分析 読売ジャイアンツ編
2017年戦力分析 読売ジャイアンツ編


[1] 参考:Baseball-LAB Archives「打撃指標wOBA」 球場補正は2015年-2017年の得点PFを使用しました。
[2] 参考:1.02 - Essence of Baseball リーグ平均が0となるように調整を行いました。
  2013年以前についてはDELTA社のUZRが公表されていないため、DER守備得点で代用しました。参考:Baseball-LAB Archives 「DERでチーム守備力を計測する
[3] 失点率スケールに変換して、球場補正は2015年-2017年のFIP-PFを使用しました。
[4] イニング途中で登板した投手の点差状況は手に入らなかったため、入手できたデータの範囲で評価しました。

コメント

予測勝率を見るとここ数年と大差なく、Bクラスになったこと自体は深刻に捉えなくていいと思います。
ただ裏を返せば野手は坂本に頼りきりという近年の課題はそのままということで、
タイムリミットは刻々と迫っているとも言えますね。
東京ドームは長打力に偏った選手を起用しやすい環境ですので、少々コンタクトに難があっても
大砲タイプを積極的に起用してほしいです。岡本は期待大ですね。
個人的にはこの若さで一塁左翼固定はもったいなく感じますが、守備力は厳しいんでしょうか?
イースタンをほとんど見ていないのでなんとも言えません。

投手は諸事情で投げられなかった山口俊が期待通り働けばかなり大きいですね。
ローテ投手は粒揃いですし、マシソンの代わりとまでいかずとも大穴が開く事態は避けられそうです。
リリーフは上原の復帰というインパクトはありますが、年齢が年齢ですし
澤村同様どこまで稼働できるかがカギになりそうですね。

Re: タイトルなし

カンザスさん、コメントありがとうございます!

仰る通りで、若手野手で新しいストロングポイントを生み出せなければ、
「Aクラスが当たり前」という今の地位を維持するのも難しくなりそうな見通しです。
坂本勇人が衰えるまでに間に合うかどうかがポイントですね。

岡本和真は二軍のRRFを見ると、三塁守備が悪いようには見えないんですけどね。(むしろ良いように見えます)
オープン戦では三塁手でも起用されているので、マギー次第かもしれませんが三塁手起用プランはあるようです。
将来的にチームのストロングポイントになる可能性のある選手なので、適性は慎重に見極めてもらいたいですね。

先発に関しては野上も入りましたし、もちろん山口俊も昨季よりは投げられるでしょうから、
あまり悲観的になる必要はないように私は感じますね。
上原も前年の成績を考えるとやれる見込みが強いでしょうし、澤村の復帰もあるのでリリーフの底上げはちょっと楽しみです。

No title

毎年のように先発投手を補強しているため、小山、高木勇、マイコラスを出しても、内海、杉内、大竹が衰えてもまだまだ厚みがある布陣ですね。オープン戦では岡本を中心によく打っていますが、シーズンでの戦い方はやはり1点を守りきるほうが現実的でしょう。守備を考えると、僕もマギーでなく岡本の三塁起用を推します。マギーはフットワークだけでなく、肩も随分衰えた印象ですので。

それにしてもここ数年、広い甲子園を本拠にする阪神が、守備をかなぐり捨てて打ち勝つ野球を志向し、本塁打の出やすい東京ドームの巨人が、投手中心の守り勝つ野球をやっているのはいつも不思議に思っています。それぞれ逆にしたほうが、もっと低コストでいい選手が集まるんじゃないでしょうか。

No title

初めまして
個人的には阿部選手をどう起用するかがもっとも鍵になりそうな気がします
守備・走塁は言うまでもありませんが打撃での貢献も見込めなくなりつつある阿部選手には現監督の高橋選手の引退以後チームのウィークポイントとなっている代打として積極的に起用するのが好ましいと思いますが、阿部選手に代わって出場するであろう岡本選手も未知数な部分が大きいですからね...。
しかし、全盛期を捕手として支えた阿部選手の一塁コンバートのためにロペス選手を放出した結果ロペス選手がDeNAの中核選手として躍進の原動力になったり、ひいては現在のチーム編成にまで大きな影響を及ぼしているのは間違いないと思われます。だからこそ、今シーズンは世代交代を含めた起用が必要不可欠であると考えています。
かつての功労者の扱い方に関しては巨人に限らずどのチームでも難しいですが、契約最終年の高橋監督には思い切った起用を期待したいです。

No title

上の方がコメントされてるように、阿部選手は大変扱いが難しいですね…。
個人的には、阿部選手が代打に移行するにはもう1年かかるんじゃないかなぁと思います。

Re: No title

duplesさん、コメントありがとうございます!
返信が遅くなりまして申し訳ございません。

マイコラスが抜けても、先発陣はある程度のプラスは期待できる布陣になっていますね。
(プラス幅は小さくなる可能性が高いと思われますが)

UZRを見る限りでは、マギーの三塁守備は平均水準を下回っていますし、
「一塁マギー/三塁岡本」の方が守備が堅くなる可能性はあると私も考えています。
実際に起用してみないと何とも言えない部分もあるのですが、適性を試す価値は十分あるかなと。

「オフェンスとディフェンスのバランス」という点だと、
本拠地の特性から何か言うのは難しいかなあ、と個人的には考えています。

ただ、「ディフェンスに占める守備と投球のバランス」という観点だと、
東京ドームは本塁打が出やすく、本塁打以外の安打が出にくい球場であるため、
投手由来の失点のウエイトが大きく、守備由来の失点のウエイトが低い球場であるということが言えると思います。
おそらくこうした環境だと投手力の差は顕在化しやすい一方、守備力の差は顕在化しにくくなると考えられるため、
巨人が投手力主体でディフェンスを強化しているのはある種正解なのではと思ったりもします。

阪神も投手力主体でディフェンスを強化していますが、本拠地の特性は東京ドームと真逆ですね。

Re: No title

名無しさん、コメントありがとうございます!
返信が遅れまして申し訳ございません。

こちらこそ初めまして。今後ともよろしくお願い致します。

私も同じ意見です。一塁手は岡本選手を基本線として、
ダメだった場合に阿部選手がバックアップするくらいの感覚で良いと思いますね。

代打陣が足りていないのも原因は同じで、攻撃型野手が足りていないんですよね。
岡本選手はこうしたポジションの穴埋めが期待できるチーム唯一の若手ですから、
「なんとしても一軍に定着させる」くらいの意気込みで、先発起用するのが好ましいと思っています。

功労者だけになかなか簡単に外すわけにはいかないのでしょうが、
個人的には一塁守備がすぐれず、他のポジションでも起用できないということは、
阿部慎之助を生かす道は代打起用しかないと思われます。(よほど打てない限り)
捕手で起用できればまだまだ十分に戦力になりそうなんですが、コンディション的にもう不可能なんでしょうかね。

Re: No title

Yamagamiさん、コメントありがとうございます!
返信が遅くなりまして申し訳ございません。

打撃3部門だけ見ればそこそこの成績が残せますし、
何より前時代の功労者なので、扱いが大変難しいというのはその通りだと思います。

そのため、「出場機会を減らすにしても岡本選手との併用が精一杯では」と当初は思っていたのですが、
岡本選手が好成績を維持していることもあって、今のところ阿部選手は代打要員に固定されていますね。
この動きの速さはちょっと予想外でした。

No title

チームの編成はどのように考えればよいんでしょうか。
各ポジションごとに選手をまとめて
選手の数、年齢、現在の貢献、有望株がいるかどうかをチェックしたうえで
・同じポジションに選手をだぶつかせすぎない
・年齢の空きを作らないようにする(年齢が成績に与える影響から)
・若手有望株がいる場合はそのポジションで年齢の近い選手をドラフトで補強しない
・現在の貢献が低い場所はドラフト、FA、トレードを含め即戦力選手を積極的に補強にいく
ぐらいしか思いつかないです。

Re: No title

コメントありがとうございます!
返信が遅くなりまして申し訳ございません。

編成に関して、私は以下のように考えています。

編成の究極的な目的は「決められた予算の中で最大の勝利数を記録できる選手陣を揃えること」と私は考えています。
これは「コスト(年俸)あたりのWARを最大化する作業」と考えればよいと思います。

これを実現するために取りうる手段は、一軍と二軍の「選手をそのままにする」か「選手を入れ替えるか」だけです。
このためには「選手を入れ替えるか否か」「どのような選手に入れ替えるべきか」を判断する必要がありますが、
それを判断するための考え方として、ご指摘の内容は理に適ったものであると考えます。

ただし、全ての手段(入れ替え)を実行することはできないため、各手段に優先度を付けてやる必要があります。
優先度を付けるためには各手段の有効性を比較する共通のモノサシが必要となりますが、
そのモノサシが「(その手段を実行したことで)どれだけコストあたりのWARを大きくできるか」となります。



もう一つ、ご指摘の内容に加えて「ポジション毎の特性の違い」を考慮に入れる必要があると考えています。
ポジションが変わると何が変わるのか具体的に言うと、
「能力がピークアウトする年齢」と「即戦力補強の難しさ」が変わってきます。

能力がピークアウトする年齢は、統計的に投球が23歳頃、打撃が28歳頃、守備はその中間と言われています。
(「Aging Curve」でググれば研究成果がたくさん出てきます)
そのため、投手、守備型ポジション野手(遊撃手他)、打撃型ポジション野手(一塁手他)の順に早く衰えます。
長期計画において「どの時期まで現主力選手で計算できるか」を考える上で、この点は重要になってきます。

即戦力補強でメインとなる手段が外国人獲得ですが、捕手/遊撃手/中堅手は他のポジションと比べて獲得が難しいです。
(各球団の歴代レギュラーを見れば、外国人選手の少なさが分かると思います)

この3ポジションはドラフト主体で埋めていくことになるので、
一軍や二軍のポジション状況に加えて、その点も織り込んで優先的に指名しなければなりません。
特にFA補強も難しい遊撃手は最優先ポジションになります。

逆に一塁手/左翼手/指名打者は、外国人やFAによる即戦力獲得が容易なポジションです。
そのためドラフトでの指名の優先度は必然的に下がります。

No title

ドラフトの時期も遠くなくなってきましたね。
今年のドラフトは去年と違って予想しづらいと思います。
巨人の場合、
①長野、亀井、陽、ゲレーロらレギュラークラスの高齢化に加えて以前から若い世代が少ないと指摘されている外野手(特に中堅手と右翼手)
②不安定で指標にも優れない澤村、カミネロと年齢的にも衰えや勤続疲労を隠せない上原、マシソンらに加えて期待できる若手も少ない中継ぎ陣と抑え(特にサウスポー)
③今年で30歳を迎える坂本の後継者となる遊撃手
はどうしても指名して欲しいと考えてます。
反面、捕手は去年のドラフトで指名した大城選手の台頭や若い岸田選手の存在などもあり、今年は指名する必要性がないと思います(岡崎スカウト部長も同様の考えを示してました)。
個人的にドラフト1位は上記の3点のいずれかを補える選手を指名して欲しいですが、報知新聞は吉田輝星選手を(仮にプロ志望届けを提出すれば)1位で指名する確率が高いと報じてます。
もちろん現在の先発投手の成績や年齢層と興行面を考えればそれも悪くはないと思えるんですが、来年は高校生投手に逸材が多いだけにもったないとも思えてしまいます...。
samiさんの場合、今年のドラフトはどのポジションを優先すべきだと思いますか?

Re: No title

名無しさん、コメントありがとうございます!
返信が遅くなりまして申し訳ございません。

アマチュアからの選手供給状況を無視して言えば、
巨人の最大のニーズは「即戦力外野手」だと考えています。

まず、現在の巨人が置かれている状況ですが、

・首位広島に対して得失点差はあまり差が付いていないことから、
 戦力差はそこまで大きくないと考えられ、オフの立ち回り次第で来季の優勝は狙える状況にある
・チームのストロングポイントとなっている選手(坂本勇人、菅野智之)は、年齢的にこれから下降線となる見込みが強い
・ファームの若手育成状況が順調であるため、緊急で若手を補充する必要性が薄い

以上の3点を考えると、今年のドラフトは短期的な底上げを重視して選手を獲るべきだと考えます。
優勝を狙える今のうちに優勝をしておかないと、坂本と菅野が衰えた後はどうなるか分からない、という理屈です。

短期的な底上げを図るには、一軍の弱点ポジションに即戦力選手を当てる方法が最も効果的です。
現在の巨人は外野3ポジションで大きなマイナスを計上していますから、
そこに即戦力を連れてくるのが最善手だろう、というロジックですね。

ただ、今季のドラフト候補全体の傾向を見ると、例年と比べて即戦力外野手の評価が芳しくないようで、
早い時期から活躍できる外野手を引き当てるのは例年以上に難しいかもしれません。

そうなれば、現実的に狙うとすれば即戦力投手になるかと思います。
即戦力投手は即戦力野手と比べて一軍に定着するまでのスピードが速いですし、
投手は基本的に余ることがないため、一軍にさえ定着できれば戦力アップが期待できます。
(現在の巨人は裏ローテがあまり充実していないことを考えると、先発でも底上げは見込めると個人的には考えます。)

吉田輝星選手は、優れたポテンシャルを持つ投手であることは間違いないと考えますが、
「チームの短期的な底上げ」を主目的に置いた場合、どうもミートしない部分があるかなと。
即戦力投手と比べると、高卒投手は「早期に活躍する確率」がどうしても落ちてしまいますから。

No title

ドラフトの話題がコメント欄にありますが巨人は1位指名で1度目の抽選で根尾(高卒遊撃手)→2度目の抽選で辰巳(大卒外野手)→3度目に単独で高橋(大卒投手)であとは高校生5人を指名ということになりましたね。
上記のsamiさんのコメントにあるように得失点を見ると広島との戦力差はゲーム差ほどなく優勝を狙えるといった状況だっただけに来季の優勝を狙って即戦力選手の指名を中心にするべきと思ってたので高校生5人の指名は驚きでした。

2度目の抽選で4球団が競合した辰巳涼介がプロから即戦力評価されている外野手なら1度目の指名で根尾にいかず彼を単独狙いで獲りに行って(野手の弱点が外野に集中しているので)
残りの指名は即戦力投手(投手は野手に比べて1年目から活躍できる見込みが高いので)を中心に指名して裏ローテの充実と平均以上に投げられる救援投手の数を確保する、のが私は良いと思いました。

巨人としては来季の優勝を目指すのではなく高卒選手を育成して将来に備えようと考えたのか、それともFA等のドラフトに頼らない補強に自信があるってことなんでしょうか。
(FAで丸と炭谷を調査という報道もありますが丸はチーム事情に合った補強と思える一方、炭谷はそれほど効果的とは思えないんですよね。
炭谷の打力ではそれほど上積みを狙えずそれより大城の起用数を増やして打撃で上積みを狙ったほうがいいと思うので)

No title

BaseRunと実際の得失点に乖離が見られるチームがありますがこの要因は何なんでしょうか。
残塁の数が多い、少ないといった要因で効率よく得点・失点したチームがあるのかと最初は推測しましたがそれだけとは思えなかったのでよければ教えていただけないでしょうか。

No title

BaseRun勝率はどのように計算されているのでしょうか。

自分でも考えてみようと思って思いついたのは
打撃・守備・投球でリーグ平均と比較して増やした得点数の合計をRPWで割って得点数から期待される増やした勝利数を算出して
(仮に生み出した得点が100点でRPWが10と仮定した場合は10勝)
勝率5割に設定したときの勝利数にその勝利数を加算して期待勝利数を出して全試合数で割ることで出す
(143試合制なら勝率5割と仮定したときの71.5勝にさきほどの10勝を加算して81.5勝とし、81.5÷143=.570で勝率.570)
と考えたのですがもっとスマートに出せる方法があるのであれば教えて欲しいです。

Re: No title

コメントありがとうございます!
返信が大変遅くなりましてごめんなさい。

>BaseRun勝率はどのように計算されているのでしょうか。

「同年同リーグの平均的なチームが記録する得点と失点」に、
「wOBAベースで平均的なチームと比べて増やした得点」と「DER、FIPベースで平均的なチームと比べて減らした失点」
を加えて期待得点と期待失点を算出し、それをピタゴラス勝率に代入して計算しています。

記事で出ている2017年広島を例に説明いたしますと、

2017年セリーグの平均的なチーム 569得点、574失点
(リーグ総得点が3418点、リーグ総失点が3446点なので、それをチーム数で割って計算)

2017年広島がwOBAベースで上積みした得点  143得点
2017年広島がUZR、DERベースで減らした失点 60失点

以上から2017年広島が1シーズンプレーした場合、
期待得点は712点(=569点+143点)、期待失点は514点(=574点-60点)となります。
この期待得点と期待失点から計算したピタゴラス勝率が「.657」となります。これが表の数値ですね。



RPWを使わなかった理由は、引き分けの取り扱いが難しいからです。
RPWは貯金の数を推定できますが、引き分けに何らかの仮定を置かないと勝率を推定できません。

ご指摘された「引き分けなし」と仮定する手法を元にご説明します。
ある手法で「期待得点と期待失点」から「期待勝率(BaseRun勝率)」をどれだけ正確に推定できるかは、
その手法で「実際の得点と失点」から「実際の勝率」をどれだけ正確に推定できるかを見れば評価できます。

■「実際の得点と失点から推定した勝率(y)」と「実際の勝率(x)」の決定係数と近似式(1958年-2018年/12球団制移行後)
ピタゴラス勝率を用いた場合 決定係数:R^2=0.86 近似式:y=0.98x+0.01 
 ご指摘の方法を用いた場合 決定係数:R^2=0.86 近似式:y=0.85x+0.08

ご指摘されたような「引き分けなし」と仮定する手法でも、
ピタゴラス勝率とほぼ同等の決定係数(R^2)で、得失点差から勝率を推定できるようですが、
近似式を見ると、実際の勝率よりも若干5割に近付いた勝率が算出されるようです。
(実際の勝率では引き分けとして計算から除外される試合が、
この手法で推定された勝率では0.5勝、0.5敗分として計算に含まれてしまうためだと推定します)

この点を踏まえると、RPWから勝率を推定する場合、
引き分け数を考慮するように補正を施すのが好ましいのかなと思いました。

例えば、シーズンによって引き分けの生まれやすさは異なるので、(引き分けのルール、打低打高の変化などにより)
「同年同リーグの平均的なチームの引き分け数」にそのシーズンの引き分けの生まれやすさが反映されていると考えて、
平均的なチームと同じ試合数だけ引き分けたと仮定して、その上で得失点差とRPWから勝率を推定する、などの方法が考えられます。

ただやはり、ピタゴラス勝率はこうした補正抜きで勝率をスパッと推定できるので、
そちらを使う方がスマートかなあと個人的には思うところです。

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コンテンツ

■2022年シーズンデータ
 ポジション別wRAAと先発救援別RSAA
 セリーグ パリーグ 各種PF


■選手INDEX(球団/五十音/守備)
  De
  西 他消滅球団
 
 

■打線アーカイブ
  De
  西 他消滅球団
 歴代打線得点力評価[-2020]
 歴代打線守備力評価[-2020]

■投手陣アーカイブ
  De
  西 他消滅球団

■打撃に関する記録
 wRAA通算 シーズン チーム
 wRC+通算 シーズン チーム
 BABIP+通算 シーズン チーム
 K%-通算 シーズン チーム
 BB%+通算 シーズン チーム
 ISO+通算 シーズン チーム

■投球に関する記録
 通算 シーズン RSWIN
 通算 シーズン RSWIN(PF/DER)
 通算 シーズン RSWIN(リリーフ)
 RSWINで見る強力ダブルエース
 RSWINで見る強力勝利の方程式

■守備に関する記録
 守備得点

■球場に関する記録
 一軍PF 2021 2020 2019
 二軍PF 2019 2018 2017
 セPF 得点 本塁打 BABIP
単打 二塁打 三塁打
三振 四球 FIP
 パPF 得点 本塁打 BABIP
単打 二塁打 三塁打
三振 四球 FIP
 球場別 東京ド 後楽園
甲子園
バンド ナゴヤ球場
マツダ 広島市民
De 横浜 川崎球場
神宮
PayPay 平和台 大阪球場
西 メラド 小倉球場
京セラ GS神戸 阪急西宮
ZOZO 東京スタジアム
札幌ド 駒沢球場
楽天生命
日本生命 藤井寺

■RCWINに関する記録
 RCWIN歴代記録[-2020]
 通算 シーズン RCWIN
 通算 シーズン RCWIN(PF)
 通算 シーズン RCWIN(PF/POS)
 RCWINで見る強力打撃コンビ
 RCWINで見る強力打撃トリオ
 ポジション別
 

■傑出度に関する記録
 打撃歴代記録[-2020]
 通算 シーズン 打率傑出度
 通算 シーズン 出塁率傑出度
 通算 シーズン 長打率傑出度
 通算 シーズン OPS傑出度
 投球歴代記録[-2020]
 通算 シーズン 防御率傑出度
 通算 シーズン 奪三振率傑出度
 通算 シーズン 与四球率傑出度

■戦力分析とドラフト評価
 2019年一軍分析
  De 西
 2019年二軍分析
  De 西
 2019年補強・ドラフト評価
  De 西
 2017年戦力分析
  De 西
 2015年戦力分析
  De 西
 2014年戦力分析
  De 西
 2013年戦力分析
  De 西
 2015年二軍評価
  De 西
 2015年ファーム得点PFと選手評価
 打順の組み方を眺める
 2016年 セリーグ パリーグ

■選手の個人評価
 ポジション別に最優秀打者を選ぶ
 2017年 セリーグ パリーグ
 2016年 セリーグ パリーグ
 2015年 セリーグ パリーグ
 2014年 セリーグ パリーグ
 2013年 セリーグ パリーグ
 2016年打者の通信簿
  De 西
 2015年打者の通信簿
  De 西
 2014年選手別守備得点と総合貢献
 総括
 簡易WARの答え合わせ2014
 球団史上最高の4人を選ぶ
    De 西
 

■2018年の特筆記事
 現役打者の2000本安打達成確率を考える
 現役20代選手の通算安打(2018年版)

■2017年の特筆記事
 現役20代選手の通算安打(2017年版)
 「8番投手」は珍しいのか?
 2017年各種パークファクター
 2017広島打線は史上最強か?

■2016年の特筆記事
 2016年における2000本安打の展望
 2016年広島打線、得点力向上の要因は?
 2016年各種パークファクター
 パリーグ野手編成と野手運用の私的評価
 セリーグの犠打減少を考える
 糸井嘉男の成績低下リスクを考える


■2015年の特筆記事
 2000本安打の展望
 違反球の再来?2015年セリーグ
 こちらも違反球?2015年パリーグ
 秋山と柳田が挑む、もうひとつの日本記録
 秋山翔吾の安打記録更新の確率を考える
 「余剰安打」で見る、安打新記録の価値
 山田哲人は何位?二塁手シーズンHR記録
 二塁手史上最高の打撃?2015年山田哲人
 30HRと30盗塁の両立
 三浦大輔、23年連続安打
 谷繁元信、27年連続本塁打
 坂本勇人、7年連続二桁本塁打
 阪神タイガース、得失点差-59で貯金
 2015年はどのくらい打低だったのか?
 2015年各種パークファクター

■考察のようななにか
 □分析結果系
 貯金と得失点差の関係を整理する
 徹底比較 ダルビッシュ有と田中将大
 平成の大投手 三浦大輔
 ポスト松井稼頭央時代の遊撃手総合力評価
 恐怖の8番打者
 稲葉篤紀、現役引退表明
 0本塁打のスラッガー
 シーズン二桁本塁打に関する記録
 20盗塁カルテットに関する記録
 ピタゴラス勝率を用いた采配評価の妥当性
 鈴木啓示の先発勝利に関する疑義
 セリーグの野手世代交代に関する考察
 □分析手法系
 RSAAに守備力補正をかける
 守備イニング推定手法の改良案
 RRFの考え方
 外野刺殺指標試案
 外野補殺指標試案
 NPB版oWAR(試案)

■データ置き場
 通算 シーズン 守備位置別安打記録
 通算 シーズン 奪三振率
 通算 シーズン 与四球率
 通算 シーズン K%
 通算 シーズン BB%
 通算 シーズン wSB(盗塁得点)
 投手のシーズン本塁打記録
 セパ年度別 打低打高早見表
 年度別タイトル・表彰獲得者一覧
 平成時代のポジション別最多安打打者
 日本時代のイチローの全試合成績


■当ブログのデータについて
 Kazmix World
 日本プロ野球記録
 スタメンデータベース
 日本プロ野球私的統計研究会
 を参考にさせていただいています。

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