記事一覧

当ブログについて

NPB2022

NPB2021

選手

打線

投手陣

球場

記録

分析

2017年戦力分析 オリックス・バファローズ編


チーム全体の状況

20180214_Bs.png
※打撃・守備・投球の数値は、各部門で「リーグ平均に対し何点分の利得を作れたか」を示す。打撃はwOBA[1]、守備はUZRとDER[2]、投球はFIP[3]をベースに算出。
※「P勝率」は得点と失点から期待される勝率(ピタゴラス勝率)、「B勝率」はwOBAとUZRとFIPから期待される勝率(Baserun勝率)を示す。


2017年、オリックスバファローズは4位となりました。Bクラスは3年連続。
低迷期は続いているものの上位との差はぐっと縮まりました。

打撃・守備・投球の中で最も大きく改善したのが投球面(FIP)。
山岡泰輔・近藤大亮・黒木優太の定着により、投手陣で莫大な負債を作っていた状況が解消。
野手の担当領域である打撃(wOBA)と守備(UZR)はまだ物足りませんが、チームの戦力は大きく底上げされた格好です。


各ポジションの状況

20180225_オリックス野手
※打撃はwOBA、守備はUZRを用いて「同ポジションの平均的な選手と比較してチームの得失点改善に何点分貢献したか」を評価。右のグラフは打撃と守備の合算値です。

攻撃型ポジションに強みが集中する構成となっています。
右翼手は糸井嘉男が抜けたものの、ロメロ・吉田正尚の活躍によりトップクラスの成績をキープ。
一塁手はマレーロの加入、左翼手はT-岡田の復活により、新たなチームの強みへと変貌しました。

一方で致命的なマイナスを計上してしまったのが三塁手・中堅手。
三塁手は小谷野栄一の守備面の不調、中堅手はレギュラーを固定できなかったことが響きました。
また、西野真弘が深刻な打撃不振に陥ったことで、二塁手も弱みのポジションへと転落しました。


20180211_Bs投手
※右端の投球利得はFIPを用いて「平均的な先発(救援)投手と比較してチームの失点を何点分減らしたか」を評価。
※同点~3点リードの状況での登板割合が50%以上かつ30登板以上の投手を「勝ちパターン」と定義しました。[4]

先発投手はローテの谷間を埋めるのに苦戦した形跡が確認できます。
金子千尋・ディクソン・山岡泰輔・松葉貴大・西勇輝と先発5番手までは上手く固定できたものの、
6番手以降でマイナスが大きく発生しており、主力先発の利得を谷間で食い潰す形になっています。

救援投手は近藤大亮・黒木優太らの台頭によって駒数豊富な陣容に。
ヘルメン・小林慶祐・金田和之など、勝ちパターンから漏れた投手も優秀な投球を見せたものの、
手も足も出ないような支配的なリリーフは不在であり、チームの明確な強みにはなっていません。


来季の戦力向上に向けて

最大の狙い目は三塁手。30点以上の負債を計上している上に期待の若手も不在となっています。
外国人枠がほぼ埋まっていることに加えて、他球団三塁手のFA権取得状況から考えるとFA獲得も現実的ではないため、
ドラフトと育成で埋めていく方針が基本線となりそうです。即戦力から高卒の若手まで幅広く揃えていきたいところ。

投手に関しては野手より余裕のある状況だと言えます。
先発で負債を計上していますが、二軍に山本由伸・吉田凌らプロスペクトを豊富に抱える状況。
現状で有効に使えていない外国人枠の一枠は入れ替えてもよさそうですが、野手よりもテコ入れの必要性は低めです。


今オフの動き

□外部補強
 増井浩俊  33歳 投手 右投右打 FA移籍 日本ハム
 アルバース 32歳 投手 投右打 新外国人 SEA(MLB)

安達了一の病状を考えると、大和の獲得レースに敗れたことは後々効いてきそうです。
投打の戦力バランスを考えると野手を補強したかったところですが、前述の外国人枠の都合に加えて、
補強の難しいセンターラインに弱点が偏っている状況も重なり、投手を補強しただけに留まりました。

□ドラフト
 田嶋大樹 21歳 投手 打 ドラフト1位 JR東日本
 鈴木康平 23歳 投手 右投右打 ドラフト2位 日立製作所
 福田周平 25歳 遊撃 右投打 ドラフト3位 NTT東日本
 本田仁海 18歳 投手 右投打 ドラフト4位 星槎国際湘南高
 西村凌  21歳 捕手 右投右打 ドラフト5位 SUBARU
 西浦颯大 18歳 外野 右投打 ドラフト6位 明徳義塾高
 廣澤伸哉 18歳 遊撃 右投右打 ドラフト7位 大分商業高
 山足達也 24歳 遊撃 右投右打 ドラフト8位 Honda鈴鹿

全体的に野手の割合が多い一方、上位指名は投手中心のドラフトになりました。
こちらも投打の戦力バランスを考えると、もう少し上位で野手を多く指名しておきたかったところ。
(特に1位指名は三塁手として育成できる安田尚憲か中村奨成に行った方が良かったかもしれません)


2017年戦力分析

2017年戦力分析 広島東洋カープ編
2017年戦力分析 阪神タイガース編
2017年戦力分析 横浜DeNAベイスターズ編
2017年戦力分析 読売ジャイアンツ編
2017年戦力分析 中日ドラゴンズ編
2017年戦力分析 東京ヤクルトスワローズ編
2017年戦力分析 福岡ソフトバンクホークス編
2017年戦力分析 埼玉西武ライオンズ編
2017年戦力分析 東北楽天ゴールデンイーグルス編
2017年戦力分析 オリックス・バファローズ編
2017年戦力分析 北海道日本ハムファイターズ編
2017年戦力分析 千葉ロッテマリーンズ編

オリックス・バファローズ戦力分析

2014年戦力分析 オリックス・バファローズ編
2015年戦力分析 オリックス・バファローズ編
2017年戦力分析 オリックス・バファローズ編


[1] 参考:Baseball-LAB Archives「打撃指標wOBA」 球場補正は2015年-2017年の得点PFを使用しました。
[2] 参考:1.02 - Essence of Baseball リーグ平均が0となるように調整を行いました。
  2013年以前についてはDELTA社のUZRが公表されていないため、DER守備得点で代用しました。参考:Baseball-LAB Archives 「DERでチーム守備力を計測する
[3] 失点率スケールに変換して、球場補正は2015年-2017年のFIP-PFを使用しました。
[4] イニング途中で登板した投手の点差状況は手に入らなかったため、入手できたデータの範囲で評価しました。

コメント

No title

T-岡田、吉田、ロメロの外野陣は強力ですが、センターがいないんですよね。ここに宗がハマると非常に大きいんですが。
一塁T-岡田、DHマレーロは水準以上の働きは期待できますし、シフトしても攻撃ポジションは計算できると思います。
一方セカンドは埋まる気配がないですね。二遊間は市場に出ることが少ないので、大和を逃したのは痛かったです。

投手はアルバースが使えそうなのが大きいですね。田島は二軍落ちになりましたが、力はありますし
うまくローテを埋めていってほしいですね。
プロスペクトの山本由伸が外れたのは個人的に残念ですが、まだ若いのでこれからに期待です。
リリーフは平野が抜けましたが、増井獲得で埋められそうです。先発時の投球内容を見るとそっちでも面白いんじゃないかと思うんですが、
本人がクローザーに拘っているようなので難しそうです。

Re: No title

カンザスさん、コメントありがとうございます!
返信が大変遅くなりまして申し訳ございません。

仰る通りで、攻撃型ポジションには選手が揃いつつある一方でセンターラインが厳しいですね。
安達も成績を落としていますし... (潰瘍性大腸炎の影響で不可逆的なものである可能性もあり)
三塁手とここは重点的に選手を揃えていかなければならないと思います。宗もなんとか定着してほしいですね。

投手も仰る通りでアルバースと田嶋がかなり良い働きをしていて、今のところパではNo.1の投球内容ですね。
増井を先発で使うのも面白そうですが、現時点で救援の方がやや手薄なのでそちらに専念する方がいいのかなと思っています。
安達と西野が健在だったら今年はかなり面白い結果になりそうだと思うのですが、この辺りなかなか上手くかみ合いませんね。

コメントの投稿

非公開コメント

コンテンツ

■2022年シーズンデータ
 ポジション別wRAAと先発救援別RSAA
 セリーグ パリーグ 各種PF


■選手INDEX(球団/五十音/守備)
  De
  西 他消滅球団
 
 

■打線アーカイブ
  De
  西 他消滅球団
 歴代打線得点力評価[-2020]
 歴代打線守備力評価[-2020]

■投手陣アーカイブ
  De
  西 他消滅球団

■打撃に関する記録
 wRAA通算 シーズン チーム
 wRC+通算 シーズン チーム
 BABIP+通算 シーズン チーム
 K%-通算 シーズン チーム
 BB%+通算 シーズン チーム
 ISO+通算 シーズン チーム

■投球に関する記録
 通算 シーズン RSWIN
 通算 シーズン RSWIN(PF/DER)
 通算 シーズン RSWIN(リリーフ)
 RSWINで見る強力ダブルエース
 RSWINで見る強力勝利の方程式

■守備に関する記録
 守備得点

■球場に関する記録
 一軍PF 2021 2020 2019
 二軍PF 2019 2018 2017
 セPF 得点 本塁打 BABIP
単打 二塁打 三塁打
三振 四球 FIP
 パPF 得点 本塁打 BABIP
単打 二塁打 三塁打
三振 四球 FIP
 球場別 東京ド 後楽園
甲子園
バンド ナゴヤ球場
マツダ 広島市民
De 横浜 川崎球場
神宮
PayPay 平和台 大阪球場
西 メラド 小倉球場
京セラ GS神戸 阪急西宮
ZOZO 東京スタジアム
札幌ド 駒沢球場
楽天生命
日本生命 藤井寺

■RCWINに関する記録
 RCWIN歴代記録[-2020]
 通算 シーズン RCWIN
 通算 シーズン RCWIN(PF)
 通算 シーズン RCWIN(PF/POS)
 RCWINで見る強力打撃コンビ
 RCWINで見る強力打撃トリオ
 ポジション別
 

■傑出度に関する記録
 打撃歴代記録[-2020]
 通算 シーズン 打率傑出度
 通算 シーズン 出塁率傑出度
 通算 シーズン 長打率傑出度
 通算 シーズン OPS傑出度
 投球歴代記録[-2020]
 通算 シーズン 防御率傑出度
 通算 シーズン 奪三振率傑出度
 通算 シーズン 与四球率傑出度

■戦力分析とドラフト評価
 2019年一軍分析
  De 西
 2019年二軍分析
  De 西
 2019年補強・ドラフト評価
  De 西
 2017年戦力分析
  De 西
 2015年戦力分析
  De 西
 2014年戦力分析
  De 西
 2013年戦力分析
  De 西
 2015年二軍評価
  De 西
 2015年ファーム得点PFと選手評価
 打順の組み方を眺める
 2016年 セリーグ パリーグ

■選手の個人評価
 ポジション別に最優秀打者を選ぶ
 2017年 セリーグ パリーグ
 2016年 セリーグ パリーグ
 2015年 セリーグ パリーグ
 2014年 セリーグ パリーグ
 2013年 セリーグ パリーグ
 2016年打者の通信簿
  De 西
 2015年打者の通信簿
  De 西
 2014年選手別守備得点と総合貢献
 総括
 簡易WARの答え合わせ2014
 球団史上最高の4人を選ぶ
    De 西
 

■2018年の特筆記事
 現役打者の2000本安打達成確率を考える
 現役20代選手の通算安打(2018年版)

■2017年の特筆記事
 現役20代選手の通算安打(2017年版)
 「8番投手」は珍しいのか?
 2017年各種パークファクター
 2017広島打線は史上最強か?

■2016年の特筆記事
 2016年における2000本安打の展望
 2016年広島打線、得点力向上の要因は?
 2016年各種パークファクター
 パリーグ野手編成と野手運用の私的評価
 セリーグの犠打減少を考える
 糸井嘉男の成績低下リスクを考える


■2015年の特筆記事
 2000本安打の展望
 違反球の再来?2015年セリーグ
 こちらも違反球?2015年パリーグ
 秋山と柳田が挑む、もうひとつの日本記録
 秋山翔吾の安打記録更新の確率を考える
 「余剰安打」で見る、安打新記録の価値
 山田哲人は何位?二塁手シーズンHR記録
 二塁手史上最高の打撃?2015年山田哲人
 30HRと30盗塁の両立
 三浦大輔、23年連続安打
 谷繁元信、27年連続本塁打
 坂本勇人、7年連続二桁本塁打
 阪神タイガース、得失点差-59で貯金
 2015年はどのくらい打低だったのか?
 2015年各種パークファクター

■考察のようななにか
 □分析結果系
 貯金と得失点差の関係を整理する
 徹底比較 ダルビッシュ有と田中将大
 平成の大投手 三浦大輔
 ポスト松井稼頭央時代の遊撃手総合力評価
 恐怖の8番打者
 稲葉篤紀、現役引退表明
 0本塁打のスラッガー
 シーズン二桁本塁打に関する記録
 20盗塁カルテットに関する記録
 ピタゴラス勝率を用いた采配評価の妥当性
 鈴木啓示の先発勝利に関する疑義
 セリーグの野手世代交代に関する考察
 □分析手法系
 RSAAに守備力補正をかける
 守備イニング推定手法の改良案
 RRFの考え方
 外野刺殺指標試案
 外野補殺指標試案
 NPB版oWAR(試案)

■データ置き場
 通算 シーズン 守備位置別安打記録
 通算 シーズン 奪三振率
 通算 シーズン 与四球率
 通算 シーズン K%
 通算 シーズン BB%
 通算 シーズン wSB(盗塁得点)
 投手のシーズン本塁打記録
 セパ年度別 打低打高早見表
 年度別タイトル・表彰獲得者一覧
 平成時代のポジション別最多安打打者
 日本時代のイチローの全試合成績


■当ブログのデータについて
 Kazmix World
 日本プロ野球記録
 スタメンデータベース
 日本プロ野球私的統計研究会
 を参考にさせていただいています。

■お問い合わせ
 ご意見ご感想、間違いのご指摘など
 お問い合わせは コメント欄 及び
 ranzankeikoku.npbstats★gmail.com
 にお願い致します。(★を@に変換)

Twitter

検索フォーム

訪問者カウンター