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2020年に向けた戦力分析 北海道日本ハムファイターズ編 Part1 ～ 一軍の強みと弱み
- 2017/01/01
- 21:56
本記事では、北海道日本ハムファイターズの2019年時点での強みと弱みを評価して、
二軍の若手、ドラフト、補強内容と合わせて見ることで、2020年シーズンに向けた戦力分析を行います。
この記事は3部構成のPart1で、一軍の戦力状況を評価します。
強みと弱みの考え方
強みと弱みの定量化は「得失点差の改善に何点寄与したか」を基準に行いました。理由は以下の2点です。
1. 打撃(得点を増やすプレー)と、守備と投球(失点を減らすプレー)を同じ土俵で評価できる
2. 得失点差が改善すると、チームの貯金が増える傾向がある
日本プロ野球では、「得失点差」と「貯金」が極めて強い相関関係を持つことが知られており、
「得失点差の1/5」で「貯金」をおおよそ近似できるという経験則があります[1]。
よって「得失点差の改善に何点寄与したか」が分かれば「貯金増加にどれだけ貢献したか」も分かります。
一般的な目安として、優勝するためには「貯金20」、Aクラス入りには「貯金0」が必要です。
得失点差に換算して、優勝するためには「+100点」、Aクラス入りには「±0点」が必要になります。
それを踏まえたうえで「得失点差の改善に何点寄与したか」という観点から、日本ハムの強みと弱みを見ていきましょう。
チーム全体の状況
※打撃・守備・投球は「平均的なチームと比べて打撃・守備・投球で得失点差を何点分改善させたか」を示す。wOBA[2]、UZR[3]、FIP[4]を元に算出。
2019年、北海道日本ハムファイターズは5位となりました。貯金は-8、得失点差は-26。
得失点差への寄与を見ると投手陣はプラスを計上した一方、野手陣の担当領域(打撃/守備)ではマイナスを計上しました。
野手陣のマイナスの方が相対的に大きく、得失点差はAクラスライン(±0)を下回る結果になっています。
前年比では野手陣の数値の悪化が目立ち、打撃と守備で計70点下落しました。
優勝以降は選手流出が相次いでいるため、野手陣がやや大きい赤字を計上するシーズンが増えています。
投手陣は大谷の穴が顕在化した2017年に赤字化したものの、以降は2年連続の黒字キープとなりました。
各ポジションの状況
※打撃・守備は「平均的なチームと比較してそのポジションの打撃・守備で得失点差を何点分改善させたか」を示す。wOBA[2]とUZR[3]を元に算出。
右翼手が強みとなった一方、一塁手・二塁手・三塁手・左翼手が弱みとなっています。
左翼手に対し王柏融を獲得、一塁手と二塁手に清宮幸太郎と渡邉諒を抜擢するなど世代交代を意識した起用が取られましたが、
現時点ではいずれの選手も一軍へのアジャストに苦しんでおり、赤字を計上している状況です。
前年比で下落が大きかったのは三塁手・左翼手・指名打者の3ポジション。
三塁手のレアードと指名打者のアルシアの代替が上手くいかなかったこと、左翼手は近藤健介の守備貢献低下が響きました。
この3ポジションで70点下落しており、野手陣全体の寄与低下はここだけでほぼ説明できます。
※投球は「平均的な投手と比較して投球で得失点差を何点分改善させたか」を示す。FIP[4]を元に算出。
明確な強みとまでは言えないものの、先発投手と救援投手の両方でプラスを計上しました。
先発投手は他チームと比べてローテの谷間(6番手以降)でのマイナスがやや大きいですが、上位ローテでしっかりプラスを稼ぎました。
救援投手も選手層が薄いため敗戦処理のマイナスが大きいですが、勝ちパターンの石川直也と宮西尚生が埋め合わせました。
先発投手の平均投球回が4.62イニングとかなり短く、これはローテーション制が普及した1980年代以降では最も低い数値です。
MLBで流行しているオープナー起用の導入に加えて、通常起用の先発も5回までに降板するケースが目立ちました。
NPBでは打者が一巡するごとに投手が打たれやすくなる傾向があるため[5]、早めの降板の多さも先発の好成績の一因かもしれません。
どこを優先的に強化すべきか
※縦軸は「平均的なチームと比較してそのポジションで得失点差を何点分改善させたか」、
横軸は「そのポジションを構成する選手の平均年齢がリーグ平均と比べて何歳高いか」を示す。年齢が高いほど成績低下のリスクが他球団より高い。
得失点差の改善に対する選手獲得の費用対効果を考えると、マイナスの大きいポジションほど狙い目となります。
「-30点のポジションに±0点の選手を連れてくる」のと「±0点のポジションに+30点の選手を連れてくる」のとでは、
どちらも得失点差に対する改善効果は同じ(+30点)ですが、「±0点の選手」は「+30点の選手」より年俸/機会の点で獲得が容易です。
ただ、日本ハムは成績と年齢が綺麗にトレードオフの関係となっているのが判断を難しくさせています。
弱点ポジションはいずれも平均年齢が低く、加齢による成績低下が他球団より抑えられるため今後はマイナス縮小が期待できます。
それを踏まえた上であえて要強化ポジションを選ぶなら、計上しているマイナスの大きい二塁手と三塁手が候補となるでしょう。
また、中堅手は現状マイナスを出していませんが、西川遥輝がMLB挑戦を明言しているため、後継者を見つけておく必要があります。
Part2では、この3ポジション(二塁/三塁/中堅)に対して二軍からはどのような選手を供給できそうかを見ていきます。
2020年に向けた戦力分析 北海道日本ハムファイターズ編 Part2 ～ 二軍の育成状況
戦力分析
Part1 Part2 Part3 巨人編
Part1 Part2 Part3 DeNA編
Part1 Part2 Part3 阪神編
Part1 Part2 Part3 広島編
Part1 Part2 Part3 中日編
Part1 Part2 Part3 ヤクルト編
Part1 Part2 Part3 西武編
Part1 Part2 Part3 ソフトバンク編
Part1 Part2 Part3 楽天編
Part1 Part2 Part3 ロッテ編
Part1 Part2 Part3 日本ハム編
Part1 Part2 Part3 オリックス編
[1] Runs Per Win - 1.02 - Essense of Baseballが詳しいです。得失点差が10点改善すると勝利が1増えて敗戦が1減るため、貯金が2増える計算となります。
[2] wOBAを元に計算した。係数は1.02 - Essense of Baseballから引用。2017年-2019年のwOBA-PFを元に球場補正を行いました。
[3] リーグ平均が0となるように調整を行いました。
[4] 2017年-2019年のFIP-PFを元に球場補正を行いました。
[5] https://full-count.jp/2019/02/08/post295044/