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2020年に向けた戦力分析 読売ジャイアンツ編 Part3 ~ 補強の評価と総評


本記事では、読売ジャイアンツの2019年時点での強みと弱みを評価して、
二軍の若手、ドラフト、補強内容と合わせて見ることで、2020年シーズンに向けた戦力分析を行います。
この記事は3部構成のPart3で、補強の評価と総評を行います。


目次
1. 一軍と二軍の状況
2. ドラフト評価
3. 補強評価
4. 総評



一軍と二軍の状況(おさらい)

Part1では、2019年における巨人の各ポジションの状況から、
来季は一塁手・左翼手・右翼手でマイナスを計上する可能性が高い状況となっており、
これらのポジションに対して優先的な強化が必要な状況だと考察しました。

Part2では、2019年における巨人の二軍状況から、
弱点の一塁・両翼では他チームよりも大きい突き上げが期待できそうで、特に山下と北村が有力候補だと考察しました。
更にこれらのポジションに対して、ドラフトと補強で取られた動きを以下で考察していきます。



ドラフト



1位指名は堀田賢慎(投/19歳)、2位指名は太田龍(投/22歳)、3位以下では投手1人、捕手1人、外野手2人を指名しました。
6人中5人で高校生を指名する高校ドラフトとなりましたが、二軍の育成状況が良好で「次世代への種まき」がほぼ終わっているため、
そのさらに下の「次々世代(22歳以下)」の選手層を厚くする意図があったものと考えられます。

一方、弱点の一塁と両翼に対してドラフトで即戦力選手を獲得する動きは見られませんでした。
二軍のプロスペクトと補強でなんとかできるというフロントの自信が窺えます。



補強



外国人ではサンチェス(先)、パーラ(外)、ビエイラ(救)を獲得しました。
一軍で起用するにはまだ時間がかかりそうな育成上がりのモタを除くと、外国人野手はパーラのみという構成です。
一塁と両翼は外国人で埋めやすい点を考慮すると、外国人枠を2枠使って底上げを狙ってもよい状況に思えました。

パーラは外野守備が持ち味の中距離打者。MLBでは右翼でトップレベルのUZRをマークしています。
10年にわたってMLBで外野レギュラーを維持するなど実績は抜群で、本調子なら一定の水準で両翼の片方を埋められそうです。
オープン戦での起用を見ると、当面は右翼レギュラーで起用される方針のようです。



総評

弱点の一塁と両翼に対する補強はパーラのみにとどめ、あとは若手の成長に期待するという方針が窺えました。
ゆえに山下航汰、北村拓己といったプロスペクトがどれだけ成績を残せるかによって、チームの勝敗も大きく左右されそうです。

積極的に補強を行わなかったのは、これを機会に彼らに一軍打席を与えたいという狙いもあるかもしれません。
現在の巨人は坂本勇人と丸佳浩が大半のプラスを稼ぎ出していますが、共に衰えを意識しなければならない年齢を迎えています。
巨人が他チームに対して優位を保つには、長期的にプラスを稼ぎ出すストロングポイントを新たに作り出さなければなりません。

年齢の問題で、補強で獲得した選手は長期的な活躍は期待できないため、
長期的にプラスを稼ぎ出すストロングポイントを作るにはやはり自前で選手を育成する必要があります。
21世紀の巨人が12球団最多の8回の優勝を達成したのも、阿部や坂本といった自前野手が長期的にプラスを稼いだことが大きいです。
今オフの動きは、ストロングポイントを作るために現在の編成の穴を利用して若手に出場機会を与えたいという動きにも見えました。



戦力分析

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読売ジャイアンツ戦力分析

2014年戦力分析 読売ジャイアンツ編
2015年戦力分析 読売ジャイアンツ編
2017年戦力分析 読売ジャイアンツ編
2020年に向けた戦力分析 読売ジャイアンツ編

コメント

No title

まさにsamiさんの分析のとおりではないかと思います。坂本・丸の賞味期限が切れる前に、なんとか若手でストロングポイントを作ろうと必死なのでしょう。岡本は素晴らしい選手ですが、守備位置と守備力の関係から、彼1人が柱となるようでは心もとない。

外国人補強については、近年の巨人はスペイン語圏(中南米)の選手を好んでいるようで、マシソン、クック、ヤングマンの退団によって2020年は遂に外国人全員がスペイン語話者になりました。これによって選手間のコミュニケーションは向上すると思いますが、この縛りによって一塁手の補強ができなかった可能性もあります。

今年の移籍市場の目玉野手はパーラ、ボーア、アデルリン・ロドリゲス、アダム・ジョーンズの4人でした。巨人が欲しがりそうな強打の一塁手、スペイン語圏、できれば左打ち、となると候補者がかなり少なかった。

もしバレンティンが一塁を守れるのなら、手を挙げていた可能性はあったんじゃないかと思います。

No title

仮に去年のFA商戦で美馬と鈴木大地を獲っていたらどうなってたんでしょうね。
個人的に戦力の上積みにはなるから一定の効果はあるとは思いますが、
体感上マイナスをプラスにする方がやりやすいので丸獲得程のインパクトは無いと思ってました。
(要は去年のFA商戦は弱点を埋まると言う意味では巨人にとって不作だった)

そういう意味では仮に今年山田哲人がメジャーに挑戦せずにFA宣言した場合、
巨人は単年当たり7億以上の大型契約でも獲得する価値があるなと思いますね。
(仮に菅野のポスティングを容認して予算算出しても十分お釣りがくる)
・山田がポスティング等によるメジャー挑戦を不気味な程匂わせない。
・長年固定できていないセカンドを歴代ベストナイン候補でしばらく埋められる。
・守備走塁に衰えが来てもファースト起用で問題無い打力。
・正二塁手筆頭格の吉川が腰の爆弾による通年でのレギュラーとしてのリスク。
複数年が終わるソトもチームの弱点を埋める能力がありますが、
外国人枠もありますしここは山田獲得に全振りした方が良いかなと。
(問題は同じく金満球団で長らく二塁に不満を抱えているホークスも名乗りを挙げる可能性か)

Re: No title

duplesさん、コメントありがとうございます!
返信が大変遅くなりまして申し訳ございません。

山下は怪我してしまったことに加えて、北村もなかなか使ってもらえていませんが、
岡本がコンバート先の三塁で素晴らしい働きを見せていますね。
坂本と菅野が衰えた後の、巨人の次の5年は岡本が柱になっていきそうな空気を感じました。

仰るように巨人は近年外国人の獲得方針を変えたように見えますが、
優れた選手をある程度安定して獲得できている理由はそのあたりにあるのかもしれませんね。
(一昔前はアメリカ出身の選手が多かったように思いますが、活躍できない選手が多かった印象がありますね)

最近報道が出てましたが、不自然に一塁手の補強がなかったのは、
ヘスス・アギラルの獲得に乗り出して失敗したという経緯だったみたいですね。(アギラルもスペイン語圏ですね)
ウィーラーの獲得を見ても、巨人のフロントとしてはやはり一塁手か左翼手を補強で埋める意図はあったようです。

Re: No title

コメントありがとうございます!
返信が大変遅れまして申し訳ございません。

先発投手は山口が抜けても層が十分厚いですし、
岡本のコンバートで鈴木も最も適性のある三塁では起用が難しい状況でした。(一塁・左翼での起用はあまり旨味がないです)
短期的な上積みは期待できるでしょうが、コストパフォーマンスの悪い補強になっていた可能性が高いですね。

FAは長期契約になることが多いので、コストパフォーマンスが悪い補強は長期的にペイロールを圧迫してしまいます。
昨年までの巨人なら優勝するためになりふり構わず獲得していたかもしれませんが、
優勝して余裕ができたので、長期的なチーム作りを意識してマネーゲームからは手を引いたのかなと思います。

巨人のセカンドは現有戦力である程度なんとかなるのではないかと個人的には思っています。
しかし、山田哲人は獲得によって強固なストロングポイントの構築が期待できる歴史的な選手なので、
編成状況を度外視して獲得を狙ってもよいクラスの選手だとは思います。

ただ、ソフトバンクは内野の世代交代が思わしくなく危機的状況になりつつあるので、
山田の獲得に関しては巨人よりも強いニーズを持っているはずです。
浅村への「4年28億」の提示が話題になりましたが、これよりも高い年俸を提示する可能性が高いように思われます。
ソフトバンクが本気のマネーゲームを仕掛けた時に、巨人が本気で張り合うかは疑問かなあと個人的には思うところです。
(巨人が好きでプレーしたいとか、在京球団でプレーしたいとか、そういった事情がないと獲得は難しいのかなと)

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