2013年私的シルバースラッガー賞
- 2013/10/12
- 00:31
最も打撃の良かった選手を守備位置ごとに選出します。
今回は本拠地球場の影響と、リプレイスメント補正を取り入れてみました。
具体的な評価法は以下のようになります。巨人の阿部選手を例にします。
注)長くなるので、結果だけご覧になりたい方は読み飛ばしていただいて構いません。
1)RCAAを計算する
「平均的打力の野手が同じ打席数だけ立つ場合と比べて、どれだけチームの総得点を増やしたか」を示します。
阿部選手は41.70だったため、平均的な野手と比べチームの総得点を42点増やしたと評価できます。
2)Rrep(リプレイスメント補正)を計算する
故障などにより試合を欠場してしまうと、代わりに控え選手が試合に出ることになり、
結果的にチームの総得点を減らすことになります。
多く打席に立つことで、控え選手の出場を減らしたと評価されます。
控え選手が打席に立つことによる損失は、統計的に「600打席につき20点」
であることが知られているため、これを補正として算出します。
阿部選手は529打席に立ったため、「529÷600×20 = 17.63」となり、
控え選手を打席に立たせなかったことにより、チームの総得点を18点増やしたと評価できます。
3)球場補正を計算する
過去3年間の本拠地の得点パークファクター(球場ごとの得点の入りやすさ)を基に補正をかけます。
各球場ごとの具体的な補正値は以下のようになっています。(全て600打席あたり)
東京ドーム 1.13点
阪神甲子園球場 2.01点
マツダスタジアム 2.09点
ナゴヤドーム 6.47点
横浜スタジアム -5.52点
明治神宮野球場 -6.17点
Kスタ宮城 0.27点
西武ドーム -3.51点
QVCマリン -1.66点
ヤフオクドーム 3.34点
京セラドーム 2.62点
札幌ドーム 1.84点
算出にあたってプロ野球 ヌルデータ置き場様のデータを使用させていただきました。
この場を借りてお礼を申し上げます。
阿部選手は東京ドーム本拠地の球団で529打席に立ったため、「529÷600×1.13 = 0.99」となり、
球場の影響で創出した得点が1点低くなっていると評価されます。この影響を補正します。
4)1)~3)を足す
「41.70+17.63+0.99 = 60.52」となり、阿部選手は61点となります。
この値が打者としての最終評価となります。
5)ポジション出場割合を計算する
阿部選手は121試合に先発出場しました。その内訳は、
捕手:115試合 一塁手:4試合 指名打者:2試合
となっています。
今回はポジションごとに強打者を選出するのが目的です。
阿部選手が「捕手として」どれだけチームに打撃で貢献したかを調べたいので、
阿部選手の捕手としての出場割合を計算すると、
「115÷(115+4+2) = 95.0%」となります。
6)4)に5)をかける
「60.52×95.0% = 57.33」となり、
阿部選手の捕手としての打撃貢献は57点となりました。
今回この指標は「pRCAR(position Runs Created Above Replacement)」という名前にしました。
ネーミングに関しては適当なのでツッコまないでください。
■セリーグ投手

注)投手のRCAAは「平均的打力の投手が同じ打席数だけ立つ場合と比べて、
どれだけチームの総得点を増やしたか」を計算しました。
また控え投手とレギュラー投手の打撃力の差は0であるとみなし、「Rrep=0」としています。
■セリーグ捕手

■セリーグ一塁手

クラーク選手がロペス選手に迫っているのに注目。
■セリーグ二塁手

森野選手は他ポジションでの出場が多かったため惜しくも届かず。
■セリーグ三塁手

■セリーグ遊撃手

梶谷選手は後半戦で怒涛の活躍。
全試合出場した坂本選手を上回る打撃貢献を記録した。
■セリーグ左翼手

なぜか3位に右翼本職の人が食い込む。
■セリーグ中堅手

長野選手は右翼手と中堅手で出場がほぼ半々に割れてしまった。
■セリーグ右翼手

■パリーグ捕手

オリックスの伊藤選手が躍進。今季のパリーグは全体的に若手の台頭が目立った。
■パリーグ一塁手

■パリーグ二塁手

■パリーグ三塁手

6球団全てレギュラーが堅く、パ最大の激戦区と言えそう。
■パリーグ遊撃手

相次ぐメジャー流出で打撃型遊撃手はとうとう絶滅。世代交代の過渡期か。
■パリーグ左翼手

■パリーグ中堅手

長谷川選手は若干出場ポジションが割れたがギリギリ1位に。
■パリーグ右翼手

■パリーグ指名打者

指名打者専任選手が不在の球団もちらほら見られた。
■セリーグ総評

■パリーグ総評

■おまけ
異なるポジションの選手の比較をするために、ここから更に守備位置による補正をかけます。
具体的な補正値は、Baseball-Referenceさんのデータを引用させていただきました。
捕手 10.0点
一塁手 -10.0点
二塁手 3.0点
三塁手 2.5点
遊撃手 7.5点
左翼手 -7.5点
中堅手 2.5点
右翼手 -7.5点
指名打者 -15.0点
MLBのデータなので日本の野球に当てはまらないところもあるかもしれません。
これを600打席あたりの補正係数とし、選手の打席数に応じて補正をかけました。
Rposの部分がそれに当たります。

ここに守備による得点貢献を加えてRPWで割れば、WARに近い値が得られると思います。
阿部選手とバレンティン選手の差はおよそ14点となりました。
これは守備貢献の差で十分にひっくり返りうる量です。
以上から、阿部選手がMVPを獲得してもそこまで不思議なことではないと私は考えます。

楽天からはマギー選手、ジョーンズ選手の2人だけが選出。
今年の楽天打線躍進の要因として、この2人の他で打線に大穴を開けなかったことが一つ挙げられそうです。
ポジション毎に見ても、「リーグを代表する」とはいかないまでも、
そこそこの打力を持った選手が全てのポジションに揃っています。
今回は本拠地球場の影響と、リプレイスメント補正を取り入れてみました。
具体的な評価法は以下のようになります。巨人の阿部選手を例にします。
注)長くなるので、結果だけご覧になりたい方は読み飛ばしていただいて構いません。
1)RCAAを計算する
「平均的打力の野手が同じ打席数だけ立つ場合と比べて、どれだけチームの総得点を増やしたか」を示します。
阿部選手は41.70だったため、平均的な野手と比べチームの総得点を42点増やしたと評価できます。
2)Rrep(リプレイスメント補正)を計算する
故障などにより試合を欠場してしまうと、代わりに控え選手が試合に出ることになり、
結果的にチームの総得点を減らすことになります。
多く打席に立つことで、控え選手の出場を減らしたと評価されます。
控え選手が打席に立つことによる損失は、統計的に「600打席につき20点」
であることが知られているため、これを補正として算出します。
阿部選手は529打席に立ったため、「529÷600×20 = 17.63」となり、
控え選手を打席に立たせなかったことにより、チームの総得点を18点増やしたと評価できます。
3)球場補正を計算する
過去3年間の本拠地の得点パークファクター(球場ごとの得点の入りやすさ)を基に補正をかけます。
各球場ごとの具体的な補正値は以下のようになっています。(全て600打席あたり)
東京ドーム 1.13点
阪神甲子園球場 2.01点
マツダスタジアム 2.09点
ナゴヤドーム 6.47点
横浜スタジアム -5.52点
明治神宮野球場 -6.17点
Kスタ宮城 0.27点
西武ドーム -3.51点
QVCマリン -1.66点
ヤフオクドーム 3.34点
京セラドーム 2.62点
札幌ドーム 1.84点
算出にあたってプロ野球 ヌルデータ置き場様のデータを使用させていただきました。
この場を借りてお礼を申し上げます。
阿部選手は東京ドーム本拠地の球団で529打席に立ったため、「529÷600×1.13 = 0.99」となり、
球場の影響で創出した得点が1点低くなっていると評価されます。この影響を補正します。
4)1)~3)を足す
「41.70+17.63+0.99 = 60.52」となり、阿部選手は61点となります。
この値が打者としての最終評価となります。
5)ポジション出場割合を計算する
阿部選手は121試合に先発出場しました。その内訳は、
捕手:115試合 一塁手:4試合 指名打者:2試合
となっています。
今回はポジションごとに強打者を選出するのが目的です。
阿部選手が「捕手として」どれだけチームに打撃で貢献したかを調べたいので、
阿部選手の捕手としての出場割合を計算すると、
「115÷(115+4+2) = 95.0%」となります。
6)4)に5)をかける
「60.52×95.0% = 57.33」となり、
阿部選手の捕手としての打撃貢献は57点となりました。
今回この指標は「pRCAR(position Runs Created Above Replacement)」という名前にしました。
ネーミングに関しては適当なのでツッコまないでください。
■セリーグ投手

注)投手のRCAAは「平均的打力の投手が同じ打席数だけ立つ場合と比べて、
どれだけチームの総得点を増やしたか」を計算しました。
また控え投手とレギュラー投手の打撃力の差は0であるとみなし、「Rrep=0」としています。
■セリーグ捕手

■セリーグ一塁手

クラーク選手がロペス選手に迫っているのに注目。
■セリーグ二塁手

森野選手は他ポジションでの出場が多かったため惜しくも届かず。
■セリーグ三塁手

■セリーグ遊撃手

梶谷選手は後半戦で怒涛の活躍。
全試合出場した坂本選手を上回る打撃貢献を記録した。
■セリーグ左翼手

なぜか3位に右翼本職の人が食い込む。
■セリーグ中堅手

長野選手は右翼手と中堅手で出場がほぼ半々に割れてしまった。
■セリーグ右翼手

■パリーグ捕手

オリックスの伊藤選手が躍進。今季のパリーグは全体的に若手の台頭が目立った。
■パリーグ一塁手

■パリーグ二塁手

■パリーグ三塁手

6球団全てレギュラーが堅く、パ最大の激戦区と言えそう。
■パリーグ遊撃手

相次ぐメジャー流出で打撃型遊撃手はとうとう絶滅。世代交代の過渡期か。
■パリーグ左翼手

■パリーグ中堅手

長谷川選手は若干出場ポジションが割れたがギリギリ1位に。
■パリーグ右翼手

■パリーグ指名打者

指名打者専任選手が不在の球団もちらほら見られた。
■セリーグ総評

■パリーグ総評

■おまけ
異なるポジションの選手の比較をするために、ここから更に守備位置による補正をかけます。
具体的な補正値は、Baseball-Referenceさんのデータを引用させていただきました。
捕手 10.0点
一塁手 -10.0点
二塁手 3.0点
三塁手 2.5点
遊撃手 7.5点
左翼手 -7.5点
中堅手 2.5点
右翼手 -7.5点
指名打者 -15.0点
MLBのデータなので日本の野球に当てはまらないところもあるかもしれません。
これを600打席あたりの補正係数とし、選手の打席数に応じて補正をかけました。
Rposの部分がそれに当たります。

ここに守備による得点貢献を加えてRPWで割れば、WARに近い値が得られると思います。
阿部選手とバレンティン選手の差はおよそ14点となりました。
これは守備貢献の差で十分にひっくり返りうる量です。
以上から、阿部選手がMVPを獲得してもそこまで不思議なことではないと私は考えます。

楽天からはマギー選手、ジョーンズ選手の2人だけが選出。
今年の楽天打線躍進の要因として、この2人の他で打線に大穴を開けなかったことが一つ挙げられそうです。
ポジション毎に見ても、「リーグを代表する」とはいかないまでも、
そこそこの打力を持った選手が全てのポジションに揃っています。